マナーうんちく話521≪お心肥し≫
すっかり日射しが弱くなり、寒さが積もるようになってきましたね。
こうなるとつい日向に出て、身も心も温めてくれる、貴重な太陽の光を浴びたくなります。
《この道や行く人なしに秋の暮》(松尾芭蕉)
晩秋は「釣瓶落とし」と言われるように日暮れが早いわけですが、日が暮れた後の一本道は、後にも先にも誰一人いません。
言い知れぬ深い寂しさに見舞われて、つい背中を丸め、うつむき加減になりがちですね。
人生において孤独を感じることは多々あります。
また、上を目指せば目指すほど孤独は付いて来ます。
《下を向いたら虹を見つけることはできないよ》と喜劇王の異名を持つチャールズ・チャップリンはいっています。
確かに寂しさのあまりうつむいてばかりいたら、考え方や気分も全てマイナスになります。
やはり、寂しくても、苦しくても、上を見ることが大切だと思います。
上を見たら下を見ている時とは異なる風景に出会い、今まで見えなかったものも、はっきり見えるようになってきます。
赤や黄色の枯れ葉が舞い落ちる頃です。
それを見て気分が滅入ることもあるとおもいます。そこで、ネガティブになった気分を明るく前向きに変えてくれるコツに触れておきます。
気分が滅入ったら、先ずは何でもいいから「良かった事」を見つけて言葉で発して下さい。
次にやめて頂きたい三つの「D言葉」があります。
「どうせ」「でも」「だって」です。
これらの言葉は100回述べても解決にはなりません。
加えて、人と比較しないことも大切です。
「人は人、自分は自分」です。
従って怒る、妬む、愚痴るは禁物です。
ヒラヒラと舞い散る赤や黄色の落ち葉を見て「明日は我が身か?」とネガティブになるか、落ち葉は「春への備え」と受け止め、自然の叡智に感心するかでは雲泥の差があります。
マイナス思考が強ければ自分も暗くなるし、周囲の人も暗くなります。
考え方や捉え方次第で大きく変わることができます。
カーネギーは「身体と一緒で、心も日光浴できる。困った事が有れば笑いで吹き飛ばそう」といっています。常に笑顔やユーモアを心掛けることはとても大切です。さらに夢や生きがい、そしてチャレンジ精神を持つこともお勧めです、
日頃から前向きの言葉、つまり「ありがとう」「美味しい」「嬉しい」「楽しい」「素晴らしい」「すごい」「素敵」等の言葉は、自分も、そしてそれを聞いている周囲の人まで元気にしてくれます。
最後に、寂しさや苦しさを変えてくれる、とっておきの秘訣は、「これは自分自身を成長させてくれる特効薬」だと思うことです。
今味わっている寂しさや苦労が肥になり、自分を元気に育ててくれることになるわけですね。温室育ちより、路地で雨風に打たれた作物の方が、美味しくて栄養価も高いのです。
このことを、チャプリンもカーネギーも、暖かくて優しさにあふれた言葉で伝えてくれています。
生まれて死ぬまで長い人生と言う道を歩む以上、孤独や困難は付き物です。
不必要に立ち往生するのではなく、元気で歩んで下さい。
調子が良い時には前向きになれるしマナーも発揮できます。
調子が悪い時こそ素敵なマナーを発揮して下さいね。