マナーうんちく話780≪和室のマナー③[入室」≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

はき物を揃えたら、すり足で進んで頂き、いよいよ部屋に入ります。
はき物を丁寧に揃えると言うことは心を揃えることに繋がりますが、和室の部屋の前、すなわち襖の前では、再度正座して身と心を整えます。


襖は平安の頃からの非常に長い歴史を誇る、和風住宅の部屋を仕切る建具です。
壁ではなく、空間の形を柔軟に変化させ、防寒、湿気対策、さらに芸術的価値に富んでいます。

ちなみに、障子は中国から伝わった言葉ですが、襖は日本で生まれた言葉です。
詳しくは、「マナーうんちく話193《障子・襖の知識とマナー》」をご覧ください。

先ず、和室に入る時には基本的には座わります。
但し、和室でもテーブルとイス、あるいは絨毯やカーペットが敷いてある部屋なら、洋室の扱いになりますから立ったまま入ります。
また、カジュアルなシーンの場合も立ったままで良いと思います。

改まった席なら、襖の前でいったん正座して下さい。
洋室に入る時にはノックをしますが、和室の場合は「失礼いたします」と声を発します。

昔は、「コホン!」と咳払いをして、相手に「只今部屋の前に参りました。これから入ります」と伝えていたようです。

中から「どうぞ!」の声がかかると、襖をあけますが、襖の開け・閉ては1、2、3で行います。

①左に開く襖なら左手で、右に開く襖なら右手を「引き手」にかけ、約10㎝あけます。中の人にひと呼吸ついて頂くためです。

②引き手に掛けて手を襖の縁に異動させ、下へ向けてスッと下ろし、敷居から約10㎝の所で止め、襖を約半分くらい開きます。
この時点で、部屋の中の状況を素早く察知して下さい。
③手を変えて、残りを開けます。
但し全て開けないで約10㎝は残して下さいね。
何故なら閉める時に閉め安くなるからです。

開けたらしめなければいけません。
逆をすればいいわけです。
襖に近いほうの手で敷居から約10㎝の所を掴み、真ん中まで閉め、手を変えて、今度は少し上の部分を持ち、いっきに残り約10㎝まで閉めます。
再び手を変え、引き手にかけて最後まで閉めます。

以上のようにすれば、襖は大変美しく開け・閉(た)てすることができますが、襖の開け・閉てはそれなりに練習する必要があります。

難しかしいかも知れませんが、改まった場合は、座って3度に分けて開け閉てをするだけでも、かなり品良くできます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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