マナーうんちく話501≪三つ心・六つ躾・九つ言葉・・・。≫
今日は「七五三」です。
朝から雨ですが、「雨降って地固まる」ですね。
本来は男の子が数え年で3歳と5歳、女の子が3歳と7歳になった11月15日に、近くの氏神様にお参りしていたのが、最近では満年齢で祝う人も増えたようですし、お参りする日も15日に限定することが無くなりました。
しかし、お参りする目的は、節目の年を迎えられた事を喜ぶと共に、健やかな成長を祈念することで、これは今も昔も変わりません。
ただ、昔は今と違い、乳幼児の死亡率が非常に高かったため、子どもがすくすく育つことは、本当にうれしかったわけで、喜びを精一杯表現したようですね。
その衣装も昔ながらのしきたりがありますが、洋装でもかまいません。しかしできる限り、子供の晴れの日ですから「晴れ着」でお祝いしたいものです。
そして、子どもが正装すれば親も正装し、子どもと親の格を揃えることをお勧めします。
また、お祝いのしきたりも様々ですが、単に参拝だけなら2礼2拍手1礼でお参りします。住所・氏名を述べて、感謝の言葉もお忘れなく。
お祓いを受け祝詞(のりと)を挙げていただく場合は、事前予約をして、「初穂料(はつほりょう)」と表書きした祝儀袋を用意して下さい。
ちなみに「初穂」とは、その年に初めて収穫された稲穂の束のことです。
豊作の祈願や豊作を感謝して、稲穂や野菜を神前にお供えするわけですが、初穂料とは、お祝いの儀式で神社にお参りし、お祓いを受けたことに対する「神社や神官へ贈る謝礼の表書き」と認識すればよいでしょう。
神社への参拝が済んだら、親しい人等を招き食事をしますが、遠方の祖父母などから祝いを頂いた場合は、記念写真を同封して11月の終わり頃までに、子どもの名前で「内祝い」を送ればいいと思います。
ところで七五三と言えば千歳飴ですが、これには目出度いという意味と、長生きの意味が込められています。
江戸時代の初期に飴売りが飴を長くして、「千歳飴」とか「寿命糖」と言う縁起の良い名を付け、鶴亀や松竹梅等の吉祥柄を描き、浅草で発売したのが始まりとされています。江戸の商人は、「江戸しぐさ」を創造し、人付き合いをとても大切にしたそうですが、頭もよかったのですね。
また、千歳飴は節分の恵方巻きのように、長寿の縁起物ですから、「切らずに食べなければいけない」と思われるかもしれませんが、切って食べてOKです。
ところで、昔は現在と異なり、栄養面でも衛生面でも医療面でも非常に乏しく、乳幼児の死亡率が高く、7歳までは子どもは「神の子」とされ、神様次第だったわけです。だから、7歳になると男の子は袴を着、女の子は帯を締め、大人の仲間入りした事を認識すると共に神様に感謝したわけです。
晩婚化・晩産化・生涯未婚化・難婚化・諦婚化が益々進展し、結婚が遠のき、少子化に拍車がかからない現代において、多々ある通過儀礼の中でも特に大切にしたい行事が七五三だと思います。
加えて、子どもが健やかに成長する事を神様に感謝し、神様にお願いする以上は、一人前に成長したら、お礼参りもお忘れなく。
人に世話になればお礼を申しますが、神様に対しても同じですね。
私たちは、何かとお願い事が有れば神社にお参りしますが、出来れば、お願い事ばかりでなく、日頃から神社とご縁を持たれる事をお勧めします。
昔から日本人の生活と共に有ったのが神道で、年中行事やしきたりと非常に密接な関係にあるのが、全国に約81000社ある神社ですが、近くにあって遠きご縁になっている気がします。
日頃から神社を身近な存在として捉えると共に、参拝方法や様々な行事やしきたりに込められた本来の意味や意義を正しく理解すれば、人生で本当に大切な事が解ってくるかもしれません。
今日降った雨が、七五三を迎えた全ての子どもたちにとって、幸せな事が待っている祝福の雨になればいいですね。