マナーうんちく話560≪富士山と身土不二≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

長年の念願であった富士山が、ユネスコの世界遺産委員会で、「世界文化遺産登録」が決まりましたね。

陰になり日向になり、登録に向け地道な努力を積み重ねて来られた関係者に敬意を表したいと思います。

富士山は日本を代表する山で、古くから山岳信仰の対象になったり、詩歌や絵画のテーマにされたり、計り知れない文化的価値を有しているにもかかわらず、ゴミの不当投棄等のせいで紆余曲折があったことは、日本人全員が真摯に受け止め、今後につなげていくことが大切だと考えます。

この度の世界遺産登録で、さらに訪れる人が増え、ゴミ問題はますます深刻化されると予想されるだけあって、ゴミ問題に関する、自覚と認識が必要です。

そして、ゴミは何も山に限った事ではありません。
日本は島国ですから、四方を海に囲まれていますが、海辺のゴミも深刻な状況に陥っています。

周囲の景観も脅かすし、危険でもあるので早急な対策が必要です。

さらに、「飽食の国」日本の食品廃棄物も由々しき状態に陥っています。
食料自給率は先進国中最下位の国日本が、世界一「飽食の国」であり「美食の国」であることは素晴らしいことですが、世界一食べ物を廃棄することは感心できませんね。

地球上には、飢えで苦しんでいる人が10億人位いると言われていますが、心情的には、そのような人達に申し訳ない気持ちです。

ところで富士は「不二」とも書きます。
「身土不二」と言う言葉をご存知でしょうか?

仏教用語での「身土不二」と、食運動での「身土不二」が有りますが、ここでは食に関する話です。


人の身体と土地は非常に密接な関係にあり、自分が住んでいる土地で、その季節に取れた物を食べるのが、一番いいとする考えです。

昔の人は、三里四方で取れる物を食べていたわけです。
ちなみに、一里は約4㎞です。

自分の住んでいる土地で、季節・季節の旬の物を食べている頃は、食べ残しや、アレルギーはなかったと思います。

長年ホテルで、レストラン、宴会、結婚式の仕事を通じ、「食」に携わってきましたが、20年位前からでしょうか、食材は豊かになり、料理は贅沢になってきましたが、アレルギーに関することと、食品廃棄物に関することがとても気になるようになりました。

人類は常に飢えとの戦いでしたから、腹一杯ご馳走が食べられる事は、とてもいい事ですが、度を過ぎると、かえってマイナスになります。

食べ残しが多くなったり、アレルギーを始め、生活習慣病が多発することになれば本末転倒です。

「腹8分に医者いらず」と言う言葉も聞かれなくなりました。
満腹になるまで食べるより、8分目位が身体には良いよということです。
さらに、よく噛んで食べると、小食で済み、健康になると言う教えです。

さらに「一物全体食」と言葉もあります。
食材を丸ごと全て食べることです。つまり、野菜や果物は皮をむかずに、小さい魚は丸ごと生きている状態で食べると言う教えですね。

物質的に豊かになればなるほど、大量生産、大量消費のサイクルは加速され、その結果、食品廃棄物やごみは増加の一途をたどります。

改めて、自分の身体や自然に対するマナー、即ち思いやりの心を発揮したいものです。
喜劇王チャップリンの、「世界中の人がほんの少しだけステキなマナーを発揮すれば、世界はもっとよくなる」と言う言葉が身に沁みます。

富士山の世界遺産登録を機会に、マナーの大切さを再認識したいものです。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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