マナーうんちく話273≪幸福度と感謝の心≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

紫陽花と共に、梅雨時を彩る花に「合歓(ねむ)の木」が有りますが、今まさに見ごろですね。合歓の木と言えば、日本で初めて肢体不自由児養護施設「ねむの木学園」を設立された宮城まり子さんを思い浮かべる方も多いと思いますが、この木は、河原のように水の豊富な所に自生しており、フワフワした絹糸のような感じの、薄い桃色の大変美しい花です。
英語はSilk treeですが、いかにも的を射た表現だと思います。

昼花を咲かせ、夜になると、左右の葉が合わさって眠るように垂れ下がるので、「ネムノ木」という名前が付けられたそうです。
そして、漢字では、左右の葉がピッタリと合わさって様子が、夫婦が共寝する姿とよく似ているから、「合歓の木」と表現され、「非常に喜ばしい」とか、「共に喜びを分かち合う」等の意味を有し、幸せな様子を連想します。


ところで最近、世界機関、内閣府、大学等で「幸せ度」に関する調査結果や研究成果が話題を呼んでいますね。

前回触れました、経済開発機構(OECD)が、国民の幸福度を促成する「より良い暮らし指数」を発表しましたが、日本はOECD加盟国36カ国中21位です。
日本は豊かで便利で平和な国ですが、余暇とか食事の時間が極端に少ないのが原因のようです。
ちなみに1位はオーストリア、2位はノルウェー、3位はアメリカです。

一方、内閣府が近年、毎年行っている、国民の幸福度についての意識調査「国民生活選好度調査」では、幸福度が高いとされた人の割合が、29歳以下が55%、30代は61%、40代及び50代は55%、60台は51%、70代以上は44%という結果でした。経済統計とはひと味違う手法で、豊かさを測るためのこの数字を、どのように捉えるかは、人それぞれですが、やっと過半数を超えた数字では満足できませんね。

さらに、法政大学大学院が発表した「幸せ度」ランキングでは、全国1位は福井県、2位は富山県、3位は石川県で、岡山県は24位で、47位は大阪府となっています。1位の福井県は未婚率の低さ、出生率の高さ、犯罪の少なさ、及び正社員比率の高さが得点を上げ、最下位の大阪府は生活保護受給者の多さと治安の悪さが、厳しい点に繋がったと結論付けています。

幸せの感じ方は、人それぞれですが、幸福度と言えば、実に国民の95%以上の人が幸せを実感している小国、ブータンを思い起こす人も多いと思います。

日本はやっと50%の人が幸せを実感していますが、ブータンは95%以上の驚異的な数字です。この数字の違いはどこにあるのか?

ブータンの宗教的背景か、あまり他国を気にしない性格のせいか、学校教育に原因が有るのか、あるいは貧富の差が少ないからなのか、幸せを実感できる能力が高いのか、新聞やテレビを見る限りでは詳しい原因は理解できません。公的機関の、さらなる調査結果の発表を、期待するところで有ります。

しかし、いずれにせよ、四季が世界的に美しく、物質的にも恵まれ、教育や文化水準も高く、67年間戦争に無縁で、治安も世界のトップを走り続けている国が、日常生活に疲れ、多くの矛盾を抱え、心の豊かさを全く感じられない現状で有ることは、明白のようですね。


ところで皆さんは、人間にとって、「一番幸せな事」は何だと思いますか?
世界一「飽食の国」日本では、あまり実感されている人は少ないと思いますが、「食べ物を、不自由することなく、安心・安全の状態で食べられること」ではないでしょうか?

人類が誕生して仮に300万年とします。このうち、実に299万9950年間は、人間は常に「飢え」との戦いでした。日本でも、終戦直後は大半の人が食べ物に大変不自由しました。
満足に食べられるようになったのは、ここ半世紀前くらいからです。

しかし、地球全体では、総人口約70億人のうち、未だに約12億人の人は食べ物に非常に不自由しているのが現状です。さらに、約8億人の人は恒常的栄養失調をきたしています。加えて、1日数万人の人が飢餓で亡くなっています。

また、食べ物に不自由しなくても、病気になれば、まともに食べられなくなりますし、加齢になっても食べることに不自由します。

幸せを実感されてない方は、考え方を変えられることをお勧めします。
どう変えるかと言えば、「食べ物が、美味しく食べられるだけで、自分は幸せなのだ!」と感じることが大切ではないでしょうか?
そして、美味しく食べられることに感謝することも、併せて必要だと感じます。

「感謝する心」は、幸せへの一番の近道だと思うわけです。

最近、特にテーブルマナーの依頼が増えましたが、私のテーブルマナーの話は、先ずこのような話から始まります。

テーブルマナーの根幹をなすものは、「食べるという行為に心の美しさ」を加味することです。
心の美しさとは、「感謝の心」や「相手に対する思いやりの心」に他なりません。

7月6日(金)、「ライフパーク倉敷」(倉敷市福田町古新田)で、倉敷市民学習センター主催の「和食のテーブルマナー講座」が、10:00―正午まで開催されます。関心ある方はぜひお越しください。要予約⇒086-454-0011
当日は講義のみで、実践は7月20日(金)10:00-13:00です。






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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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