マナーうんちく話269≪顧客満足より従業員満足≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:ビジネスマナー

前回は、職場の雰囲気を良好に保つことが大変重要だと申しましたが、もう少し補足しておきます。
最近は、何もかも複雑多様化していますので一概には言えませんが、サービスには大きく分けて、目に見える「ハードウエア」、いわゆる設備、デザイン、料金、さらに味や見た目等の「ハード面におけるサービス」と、サービスを提供する人のマナーが問われる「ソフトウエア」、すなわち「人的なサービス」が有ります。

勿論職種により、ハード面が重視される場合も有りますが、一般的には、「良いサービス」とは、人的サービスを指すケースが多いです。

理想は、ハード面とソフト面のサービスが程良く調和していることですが、ここでは「人的サービス」に限定して話を進めます。

接客業で良いサービスと言えば、スタッフの「態度が優しい」「感じ良い」「心がこもっている」「笑顔が良い」「信頼が持てる」等、サービスを担当する人の人間性によるものが多いと思います。

そしてこれらは概して、マニュアル通りに機械的に対応するより、素敵なマナーを発揮したサービスが好まれています。

要は、サービスを担当する「人柄」がかなり大きいと言うことです。
だから、接客業全体の一致した理念は、「お客様に対する思いやりの心」で、真摯な態度で対応することではないでしょうか?

「顧客管理」と言う言葉が有りますが、お客さんをコンピューターで機械的に管理することは無理だと思います。従業員とお客さんの間に「心と心の交流」が有ってこそ可能になると私は思っています。そのためには、互いに素敵なマナーを発揮できることが望ましい姿ですね。

今の日本は、全ての面において豊かで便利です。
だからお客さんも、それが当たり前になっています。従って、接客を担当する人にも、かなりグレードの高いサービスを要求します。

勿論、それに答えることが必要ですが、そのためには、常にサービスに対しスキルアップを図る必要が有り、自分磨きに励むことが大切です。
さらなるマナー美人を目指して下さい。

接客の根幹をなすものが、「サービスを担当する人の人柄」だと認識していただいたら、そのスタッフが常にベストの状態でいることに、留意する必要が有ります。

以前、「衣食足りて礼節を知る」というお話しをしましたが、まさにその通りです。
お客様に満足して頂くサービスを提供するには、先ず自分自身が、身も心も健康であることが肝心だということです。

以前から「CS(顧客満足)」(Customer Satisfaction)という言葉が、経営に盛んに取り入れられましたが、その前に、「ES(従業員満足)」(Employee Satisfaction)ありきです。

「顧客満足」を得るためには、そこで働いている「従業員の満足度」を高めることです。
具体的には、従業員が、自分が所属している職場を好きになることです。
そのためには、その職場の雰囲気が良好で、風通しがよく、円滑なコミュニケーションが図られていることです。

日本で最初に成文化されたマナーは、聖徳太子が公布した「17条の憲法」ですが、その冒頭に「和を持って貴し」と書かれています。
この精神が1000年以上経過しても、日本の家庭・地域・職場において脈々と受け継がれています。

最近やたらと、「国際競争力」とか、「戦略」「戦術」等の言葉が飛び交っています。
これらの言葉は、勇ましくて活気が有るようですが、そこからは幸せは生まれません。
それに、競争に勝つためには、戦いを挑む人全員が一枚岩にならなければなりません。
競争する前に、職場の人達が「和する」事が大切です。

「顧客満足」=「従業員満足」=「和すること」
マナーはこのために存在します。
指導的立場にある人はこのことをしっかり認識して頂ければと思うわけです。

ちなみに、素敵なマナーは、指導的立場にある人が率先して身に付け、積極的に発揮することが何より大切です。
業績や従業員の生活が好転します。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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