マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
「晴れの国」岡山にも、冬将軍が居座ったみたいで、連日寒い日が続いております。
睡眠、バランスの良い栄養、休養をしっかり取り、元気でご活躍下さい。
1月6日の「小寒」から2月3日の節分の日までを「寒中」、もしくは「寒の内」といいます。手紙などで「寒中の候」「寒中の折」等と表現したり、「寒行」「寒中水泳」「寒げいこ」なども行われる頃です。
そして、日本では一年で最も寒いこの時節に、家庭で食する沢山の食べ物を仕込んできました。岡山県内の多くの地域でも、町内会や婦人会などが主催して、「味噌作り教室」等も開催されているのではと思います。
これまで、このコラムで何度もお話ししましたが、日本人は古くから、人と人との「和」をとても大切にすると共に、自然との調和も上手に取り図って来ました。ここが素晴らしいところです。
「寒い」「寒い」と言ってチジ困るのではなく、逆にこの時期の寒さを上手く利用して、「味噌」「醤油」「酒」等の発酵食品や、「寒天」「凍り豆腐(こおりどうふ)」等の保存食品を作ってきたわけです。寒い地方ならではの伝統食品も多々存在します。
では何故、味噌や醤油等の発酵食品は寒い時期に作るかと言えば、それらは温度に大変左右されるからです。発酵させる時に温度が大切なのは御承知の通りですが、気温が高い時期に仕込めば、発行のスピードが速まり美味しくなくなります。加えてカビのリスクも高まります。
また、寒中の水は、「寒の水」と言われ、味噌・醤油・酒造りに利用すると腐らないと言われています。
要は、寒中に、寒の水を使用して、寒い時期から時間をかけ、温かくなる頃まで、ゆっくり発酵して作るのが理にかなっているということです。
酒は自分の家で作るわけにはいきませんが、できれば「味噌」なんかは自宅で作れば最高ですね。大豆(だいず)・麹・塩、それに少しの手間暇が有れば作れます。お勧めです。
特に日本人にとって「味噌」はとてもなじみの深い大切な健康食品です。
それを家庭で「手作り」するということは、身体への最高の思いやりですね。
そしてもう一つの寒中のお勧めが「寒中見舞い」です。
四季の移り変わりが明確に分かれている日本では、生活様式を季節に調和させると共に、暑い時と寒い時には、相手の健康を気遣ってきました。
そして、寒中に、相手を気遣って差し出す季節のあいさつ状が「寒中見舞い」です。
今では、年賀状を出しそびれた時や、「喪中」で出せなかった代わりに出す場合が多いようです。ただ「寒中見舞いは」、年始の挨拶というより、寒中に出す便りですから、相手の安否を尋ねると同時に、こちらの近況などを書いて頂ければ良いと思います。
年賀状のように形式にこだわらず、自分の素直な気持ちを表現されたら如何でしょうか?
勿論、プライベートにもビジネスにもお勧めです。
この時、余った年賀状は使用しないでくださいね。
また、立春を過ぎたら「余寒見舞い」という表現になります。大体2月中旬から下旬くらいまでになります。
寒い季節を利用して作る発酵食品・保存食品や、寒い時期に相手の様子を伺う寒中見舞い等は、瑞穂の国であり、四季の美しい日本の、先人たちの生活の知恵の結晶であり、思いやりのある優しい心の表れで、何百年もの長い歴史を経過して、現代に受け継がれている優秀作品ばかりです。現代人が見習う値打は大いにありそうです。