マナーうんちく話587≪「ひょうたん」と「幸せ婚」≫
マナーうんちく話39《お見合いのマナー準備・本番編》
結婚願望がありながら、自分の力だけでは自信のない方にとって「お見合い」は大変お勧めです。しかし数多くのお世話をして、つくづく感じることは、あまりにも当事者が「親任せ過ぎると」いうことと、「お見合いのマナーがなっていない」ということです。これではいくら周囲の人が力んでも無理です。
勿論素晴らしいと感じる人も沢山いらっしゃいますが・・・
就職は社会性がとても求められます。だから就活においてマナーが必要なのです。婚活もマナー無視では希望が持てません。
決して悪い人ではなく、仕事・学歴・その他色々と素晴らしいものを持ちながら、マナーがなっていないために、折角の縁がモノにならないケースがあまりにも多いのが現実です。勿体ない限りです。
そこで今回はお見合いのマナーについて、2回に渡りお話を進めてまいります。
◆事前に交わす「釣り書」は誠実に
事前に交わす釣り書はとても重要な意味を持ちます。またお見合いをスムーズに進めるためにもとても参考になります。会話の糸口にもなりますね。ポイントは「誠実さ」にあります。始めに釣書についての説明をします。
釣り書とは、本来両者のつり合いを確かめる書面でしたが、今はその人のプロフィールを記入したものです。関西では「釣り書」、関東では「身上書(しんじょうしょ)」とよばれていました。記入する内容を纏めてみます。
・履歴書⇒住所、氏名、生年月日、本籍地、学歴、職歴、資格等記入。
・自己PR書⇒身長、体重、健康状態、収入、趣味、特技、宗教等記入。
・家族書⇒親、兄弟、叔父叔母等記入。
・写真⇒できれば正装とラフな最新のもの。裏に氏名と撮影年月日記入。
いずれも本人の直筆、縦書きで、3つ折りにしたものを無地の白い封筒に入れます。封筒には「釣り書」と記入し、自分の名前を書きます。
学歴、職歴などの記入方法は特に決まりはないですが、私はできるだけ詳しく書くことをお勧めします。理由は、それだけ会話がはずみます。共通点を探るきっかけにもなります。誠意が読み取れます。特に自己PRは個性豊かに記入されるのがいいですね。アピールポイントは明確にして下さい。
◆お見合い話が浮上したら
「この人とお見合いをしませんか?」といわれて釣り書を受け取ったら、「する」「しない」の返事を1週間以内にはキチンとして下さい。断る場合は速やかに釣書を返信して下さい。郵送の場合は、世話になったお礼と、断る理由を具体的に記入して下さい。今後のことがありますので。
「する」「しない」の判断は主体的にして下さい。
かって、7割がお見合い結婚だと書きましたが、すでに江戸時代には、プロの仲人が存在していました。成婚に至れば、結納額の1割が収入になります。従ってプロの仲人は、できるだけ会うようにするために、いいことを並びたてます。これを「仲人口」と言います。今でもしっかり残っています。だから信頼する人にお願いすることが大切になるわけですね。営業と同じですね。
反面、「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」と言う言葉もあります。
相手の年齢、学歴、職業、出身地等の基本的な情報は釣書で把握できますが、人柄は、会って、付き合ってみないと分からないということです。
就職するに当たっての「面接試験」とよく似ていますね。面接試験ではいかに好感を持ってもらえるかがポイントですが、お見合いも同じです。
信頼出来る人からのお勧めがあれば積極的に会ってみることが大切です。
◆お見合いの日時・場所・服装
互いの都合を優先しますが、時間厳守は言うまでもありません。
場所は元ホテルマンとしてはホテルが一押しです。午前、午後のティータイムがベターですね。
私も数多くのお世話をするに当たり、時間、場所と共に服装にもとても気を使います。当事者はそれ以上でしょう。男性はスーツ、女性はスーツかワンピースがお勧めです。靴の手入れもお忘れなく。但し合コン等はTPOに応じればいいでしょう。いずれにせよ互いに「見た目」はとても大切です。写真の段階で判断されるケースが多いので、笑顔の写真がお勧めです。勿論、人を容姿だけで判断すると大失敗しますけど、でも容姿は大きなウエイトを占めます。
◆対等な関係
男性と女性の間で上下関係は存在しません。対等です。従ってお見合いに要した経費は世話人のも含めて両者で2分するのが良いでしょう。
◆席次・自己紹介・会話の内容
世話人の指示に従えばいいでしょう。
最初は、世話人が互いを紹介してくれます。実際は世話人の進行の上手、下手もかなりありますが・・・
紹介されたら、笑顔で「よろしくお願いいたします」位はキチンと言いたいものですね。それから着席を促し、さらにドリンク等を聞いてくれます。その後はセオリー通りに話が進みますが、特に相手方の話を頷きながらキチンと聴いて下さい。世話人の進行の上手・下手に大きく左右されますが、おまかせした方がいいでしょう。
問題は二人だけになった時の会話や態度です。
「レディーファースト」がお勧めです。男性がある程度エスコートするべきです。男性がエスコート心を発揮したら女性はそれに気づかなくてはいけません。
例えば、ドリンクは男性が女性の好みを聞き、女性は素直に好みを伝えます。それを係りの人に男性がオーダーします。女性が飲み始めて男性が飲みます。
会話の内容はいきなり政治・経済・宗教等、そして横文字、専門用語も感心しません。ビジネスのプレゼンではないので、自分のことは謙虚に、相手のいい所を見て、それを具体的に褒め言葉を発する。事前の釣り書で会話の糸口を把握することが大切です。
会話の苦手な人も得意な人も、ポイントは、先ず今日の天気をポジティブに表現して下さい。例えば「良い雨が降りましたね」「晴れの国岡山を象徴するようなよい天気になりましたね」とかです。
次に相手のいい所をさりげなく褒めます。例えば「釣りが気を拝見したのですが、すごい資格をお持ちですね」「多彩な趣味をお持ちですね」とか。
以前このコラム欄で「奥ゆかしさ」について書きましたが、奥ゆかしいとは、相手の心の奥に行く、つまりあなたのことをもっと知りたいという気持ちにさせることです。最初は「おくゆさしさ」を発揮して、2回目の出会いに備えて下さい。そのためには、笑顔を添えて「聴き役」に徹することがポイントです。
足を組んだり、手を組んだり、髪の毛を触ったりはだめです。姿勢を正して、相手の目(目のあたり)をしっかり見るのがポイントです。