どうして人は自殺を考えるのか? ~真に自殺防止対策を考えるなら、まずは自殺願望者の心理構造を理解すること~

宮本章太郎

宮本章太郎

テーマ:心理学コラム・心理トレーニング、テクニック

自殺者数は減少傾向にあるものの
近年は若年層の自殺が増加しているようです。

政府や民間を問わず、様々な自殺対策や防止の取り組みがなされてますが
死にたい人の心理や理解に詳しくない方からすれば
どうして自殺なんかするんだろうと疑問に思うだけで
命の大切さや尊さだけが言われているように思います。

そのプレッシャーの板挟みがさらなる精神的なプレッシャーとなり
ますます自殺願望者を精神的に追い込んでしまう結果になっていることには
果たしてどれくらいの人が気づいているのでしょうか。

命の大切さなんて人に言われなくてもわかっているわけですが
そもそも人がどうして自殺願望を抱いてしまうのか
皆さんはおわかりでしょうか?お気づきでしょうか?

心理学の観点から私が皆さんに理解しておいてもらいたいのは
人は(自殺願望者は)本当は“死にたい”と思ってるわけではなく
“生きてたくない”と思ってるんですね。
(微妙にニュアンスが違うのと、たいていは本人自身も区別できていない)

自殺をしたいわけではなく(つまり死にたいのではなく)
ただただ辛い、しんどいこんな人生を生きていたくないのです。
早く終わって欲しい、終わらせたいだけなのです。

終わりがないなら自分で終わらせたいのですが
なかなか自分で終わらせるための行動(自殺)に至るまでが難しいから
常日頃から何かのキッカケで自分なんて早く死んでしまったら良いと思ってるんですね。

それは交通事故や病死でも何でも良いわけです。
それくらいこんな辛いしんどい人生なんて生きてたくない。

だから自分をいたわることなんてできませんし
生きていても何をするにも楽しいことなんてありませんし
ただ生きているだけが辛くてしんどい。

ということはコロナ禍なんてむしろ願ったり叶ったりの状況で
感染症対策よりもむしろ早く感染して肺炎にでもかかって死んでしまいたいと思っている。
自分なんてもうどうにでもなっていい。
他人の迷惑なんて考えられるような状態ではないわけですね。

これが無気力状態やうつの状態です。

それくらい今生きていることがしんどいだけで
早く死んでしまいたい(生きていたくない)という心理でいっぱいなのです。

皆さんはこの自殺願望者の心理構造がどのようなものかおわかりでしょうか?
少しでも理解は進みましたでしょうか?
自暴自棄やうつ状態がどんなに辛いかがおわかりいただけましたでしょうか?

だからこそ自殺の防止は誰にとっても他人事ではなく
心して皆が考えて取り組んでいかなければならない社会問題なのです。

ただ自殺の防止や命の大切さを訴え直接本人を説得しようとするだけでは
自殺行為をなくすなんて到底無理な話でしょう。

本当に自殺防止を考えるなら
自殺志願者に向けて直接本人に自殺をやめさせることではなく
まずは自殺志願者の心理構造を理解し
本人を取り巻く周りの環境面から改善に向けて取り組むこと。

自殺を望んでいる本人に自殺をやめるよう説得しても無駄です。
だって生きてたって良いことはないし、むしろしんどくて辛いだけで
生きてる価値を見いだせないのですから。
生きる気力を失っている状態なのですから。

そんな人に自殺はいけないから生きろというのは酷です。
余計心理的なプレッシャー(重圧)をかけているだけに過ぎません。

自分を傷つけてもいいと思ってるし(本当は傷つけたくはないけど)
そんな事を誰かに言えるはずがありません。(声を上げづらい)
問題は周りの人の何とか助けてあげたいという意気込みだけで
本人が精神的に抱えている心の問題の本質を何もわかってあげられてないことでしょうか。

普段からどうやったら早く死ねるのか
楽になれるのかということだけを考えてるような状態ですから
自分の命を大切になんてできませんし(心理的にそう思えない)
もはや自暴自棄になって健康状態や生活環境の悪化もますます深刻になるばかりでしょう。
(悪循環の始まり)

このような自殺願望者の心理構造を理解して
どのように自殺防止対策につなげていけば良いのかを考えていかなければ
ただ自殺防止自殺防止と綺麗事を言ってるだけでは
真の自殺防止なんて程遠い、単なる理想論で終わってしまうだけではないでしょうか?

真の自殺防止策とは本人を直接なんとかしようとする取り組みではなく
本人を取り巻く周りの環境に目を向けて改善につなげていくこと。

その中で精神的に支えになってくれる人の存在も大きいですが
それだけでは(心の拠り所、精神的支柱だけでは)状況は変わりませんので
やはり環境面の改善にこそ目を向け、真に取り組むべき問題だと私は考えます。

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宮本章太郎
専門家

宮本章太郎(心理カウンセラー)

京都カウンセリングラウンジ

心の健康のみならず、メンタルに関連して起こる様々な身体への影響や健康に関する知識が豊富ですので、うつ対策や不眠症の改善といった、総合的な健康法についても心理学の観点からアドバイスと情報提供が可能です。

宮本章太郎プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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