天才の仕組みとその条件 ~驚異の記憶力と天才であるがゆえの苦悩~

宮本章太郎

宮本章太郎

テーマ:心理学コラム・心理トレーニング、テクニック

天才と凡人、どちらが良いかと言われれば皆さん天才に決まってると思われるかもしれませんが
そもそも天才と凡人では何が違うのでしょうか?
そしてまた天才の条件とは何なのでしょうか?

実は天才と凡人の何が違うのかを簡単に言ってしまえば、その記憶力です。

記憶力といえば普通は何かを暗記して憶えるような記憶力の事だと思いますが
天才と言われる人の記憶力は私たちが思ってるような記憶力とは違います。

天才の記憶力、それは感覚的な記憶力です。

感覚的な記憶とは何かを暗記して憶えようとする記憶ではなく
記憶を感覚として(バランス感覚のような感覚器官で)憶える記憶の事です。
ちなみに自分でそうしようと意識して憶えてるわけではありません。

普通の人でも過去に受けた虐待やトラウマ体験など
何らかの出来事を突然フラッシュバックして思い出す事がありますが、まさにあの体験記憶こそが感覚的な記憶です。
(体験記憶と言っても必ずしも体験を伴うわけではなく、印象として強く残る印象記憶の面も持ち合わせています)

しかしこの記憶の仕組みが厄介なのは、自分が憶えたい事を選んで憶えられるような記憶ではなく
とにかく物事を感覚的に、印象的に憶えてしまうんですね。
だから些細な事でもずっと記憶に残ってるわけです。
普段は憶えてなくても脳裏に焼き付いてるのです。

それである時ふとしたキッカケで思い出したりする。
これがフラッシュバック現象と言われるものです。

そして天才はこの状態が常時なんですね。(体調や気分に影響されない)
特に強く印象に残ったから記憶されるわけではなく、印象の強弱に関わらず勝手に脳裏に焼き付くんです。
自分の意志とは無関係に自然に憶えてしまうんです。
別にその事を憶えようとして憶えてるわけでもなければ、自分の憶えたい記憶を選んで憶えられるのでもありません。

自分にとって都合の良い事だろうと悪い事だろうと無差別に勝手に憶えてしまう。
言い方を変えれば忘れる事が出来ないんです。
忘れたくても忘れられない。

だから普段は忘れててもいつまでも根に持ってたり
昨日の事でも何十年も昔の事でもつい今さっきまでの続きであるかのように突然記憶が甦るのです。

憶えようとして憶えられるような記憶ではなく、どこかにメモして留めておくような記憶でもなく
音やバランス感覚といった感覚器官がいつまでも憶えてるような記憶。
これが感覚的に憶える天才と言われる人が持つ驚異の記憶力の仕組みです。

もちろん自分で意識して(自分の意志で)そういう憶え方をしてるのではありません。

そしてこの記憶力がなぜ天才の条件なのかと言いますと
憶えてられる(忘れない)という事は記憶をそのままその場に留めてられるという事。

つまり記憶そのものが消去されない限り
遠い昔の記憶であってもまるでその場で起こってるかのようにいつでも参照する事が出来るという事です。

とはいえそれをいつでも自分の好きな時に好きな記憶だけを参照出来るなんてそんな都合良くは出来ませんが
ではいつ参照する事が出来るのかと言うと、何かキッカケが起こった時です。
外部から何らかの影響を受けたとか何らかの力が働いた時ですね。
(トラウマと同様の記憶ですから、よほど自分の内面に集中して自己洞察でもしなければ、自らのキッカケだけで記憶が甦る事は稀です)

天才は自由にいつでも好きな時に自分の記憶を参照出来るわけではありませんが
キッカケさえあればいつでも参照出来る状態にあるわけですから、何かキッカケがあれば何でもパッと繋げて考えられるわけです。

つまりこれが“ひらめき”と言われるものなんですね。(天才の条件)

天才はこの作業を無意識にですが常時行ってるわけです。

ただしこの記憶は良い事も悪い事も忘れていかないのでどんどん蓄積し、些細な事でもずっと憶えてるわけですから
いくら他人に羨ましがられようと本人にとって記憶が良いというのは本当は苦しみでしかありません。
だって忘れたくても忘れられないのですから。
ちょっと嫌な事があってもいつまでも憶えてるのですから。

人は忘れられるから辛い体験をしても過去に決別出来るのです。
その事を忘れて次に進んで行けるようになるんです。
それがいつまでもその時の状態のままずっと憶えてたらどうでしょうか?

常に虐待や被災体験を味わってないといけないだなんて、こんなに辛くて苦しい事はありません。

今回は天才の記憶の仕組みについて解説しただけですので、実際には常に苦しい状態にあるわけではありませんが
トラウマ体験と同じ仕組みだとご理解頂ければ天才と言っても他人が思うほど羨ましいものではなく
いかに苦悩に満ちた日常であるかがおわかり頂けるかと思います。

ちょうど重度の自閉症やサバン症候群の人が天才的な能力を備えてても
その日常はどれ程の生きづらさを抱えてるかを想像してみればわかりやすいでしょうか。

特に天才でも何でもない平凡な私たちでも(平凡だからこそ)
何の苦労も伴わずに何かを成し遂げる事は出来ないんだという事をこのコラムを通して少しでも感じて頂き
皆さんこれからそれぞれの人生の中で活かして頂ければ幸いです。

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宮本章太郎(心理カウンセラー)

京都カウンセリングラウンジ

心の健康のみならず、メンタルに関連して起こる様々な身体への影響や健康に関する知識が豊富ですので、うつ対策や不眠症の改善といった、総合的な健康法についても心理学の観点からアドバイスと情報提供が可能です。

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