行政職員様向けアンガーマネジメント講座
「制度」と「職場風土」を育てる企業の実践から学ぶ
今年度も、徳島県主催の「共働き・共育て」推進に向けた職場環境づくりセミナーに関わらせていただいています。
10月8日は、第2回セミナーにファシリテーターとして登壇しました。
今回は、西精工株式会社様とネッツトヨタ山陽株式会社様の2社にパネリストとしてご登壇いただき、男性育休の取得促進や、仕事と育児を両立できる職場づくりについてお話を伺いました。
両社とも、本当に素晴らしい取組をされていて、ファシリテーターを務めながら、私自身も大変勉強させていただきました。
制度の内容はもちろん、そこに至るまでの工夫や、人事担当者の皆さんの思いなど、実践されているからこそ語れるお話がたくさんありました。
育休を取る人だけでなく、支える人も大切に
今回、事前に参加者の皆さんからいただいた質問には、次のようなものがありました。
- 育休を取得しやすい風土はあるものの、仕事を引き継ぐ社員へのサポートが不足している
- 育休取得者に対する周囲の社員のやっかみがあり、若手社員も安心して取得できる環境をつくりたい
- 他社ではどのような工夫をしているのか知りたい
男性育休の取得が進む一方で、次の課題となっているのが、取得者を支える社員への配慮です。
育休を取る人も、その仕事を引き継ぐ人も、どちらも大切な社員。
制度を整えるだけでなく、誰かに負担が集中しない仕組みと、お互いを思いやる職場風土が必要です。
男性育休を当たり前にする、ネッツトヨタ山陽株式会社様の取組
ネッツトヨタ山陽株式会社様では、男女ともに育休取得率100%を実現されています。
特に印象的だったのは、人事担当者の皆さんの強い思いと、きめ細かな働きかけです。
- 妊娠・出産の報告を受けたら、早い段階で個別面談を実施
- 育休中の給付金や手取り額を具体的にシミュレーション
- 短期間でもよいので、まずは取得してもらう
- 業務の属人化を解消し、誰が休んでもチームでカバーできる体制づくり
- 管理職への働きかけや、取得しやすいスケジュールの提案
人事担当者の方からは、時には「悪者になる覚悟」で両立支援を推し進めてきたというお話もありました。
20代の男性社員が多い職場で、男女ともに育休取得率100%を実現されている背景には、こうした人事担当者の強い決意と、地道な働きかけがあります。
「申請を待つ」のではなく、「会社から声をかける」。この姿勢がとても印象的でした。
制度があるだけでは、なかなか利用は進みません。
人事担当者がここまで主体的に関わり、取得を後押しされていることに、私自身も多くの学びをいただきました。
現場の課題を一つひとつ制度に変えてきた西精工株式会社様の取組
一方、西精工株式会社様からは、工夫を凝らしたさまざまな両立支援制度についてお話しいただきました。
特に素晴らしいと感じたのは、現場で課題が見つかるたびに、その解決策を模索し、制度として形にしてこられたことです。
製造業でありながら、柔軟な働き方を実現するために、さまざまな制度を導入されています。
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
- 時間単位の年次有給休暇制度
- ファミリーサポート休暇(中学3年生の年度末まで)
- 失効した年次有給休暇を積み立て、治療や介護などに利用できるバックアップ休暇 他
こうした制度も、最初からすべて整っていたわけではありません。
社員の困りごとに耳を傾け、どうすれば働き続けられるのかを考え、できることから制度にしていく。
その繰り返しによって、現在の充実した両立支援制度が生まれています。
2017年にはプラチナくるみん認定も取得されています。
そして、制度の充実とともに大切にされているのが、「お互いを思いやる職場風土」です。
制度をつくることが目的ではなく、社員が安心して働き続けられることが目的。
課題を一つひとつ解決しながら、ここまで制度を充実させてこられたお話は、私自身にとっても大変勉強になりました。
男性育休の先にある、誰もが働き続けられる職場づくり
私からは、男性育休を取り巻く社会の変化や、企業が取り組むべき課題についてお伝えしました。
- 生産年齢人口が減少する一方で、就業者数が増えている背景
- 男性の育児参加が進む中で、マミートラックだけでなく「ダディートラック」も生じていること
- 介護休業は、高齢の親や祖父母だけでなく、要件を満たせば子や孫の介護にも利用できること
- 業務の棚卸しの進め方と、業務代替手当の制度設計のポイント
特に、育休取得者の業務を周囲の社員がカバーする際には、業務の棚卸しや分担の見直しが欠かせません。
また、業務代替手当などによって、支える側の社員の負担や貢献を適切に評価することも大切です。
実践されている企業のお話には、たくさんの学びがある
今回、改めて感じたのは、実際に取組を進めてこられた企業のお話には、制度の説明だけでは伝わらない学びがたくさんあるということです。
うまくいったことだけでなく、課題にどう向き合い、どのような工夫を重ねてきたのか。
その一つひとつが、これから両立支援に取り組む企業にとって、大きなヒントになると思います。
育児だけでなく、介護や病気など、誰もが仕事との両立を考える場面に直面する可能性があります。
誰かが休んでも仕事が回る職場をつくること。そして、誰もが安心して働き続けられる職場をつくること。
そのために必要なのは、制度と職場風土の両方を育てていくことが大切です。
貴重な実践を惜しみなくお話しくださった西精工株式会社様、ネッツトヨタ山陽株式会社様、本当にありがとうございました!
次回は12月、管理職向けオンラインセミナーに登壇します
そして、12月には本事業の管理職向けオンラインセミナーにも登壇予定です。
男性育休をはじめ、仕事と育児の両立支援を進めるうえで、管理職の理解と関わり方はとても重要です。
次回は、管理職の皆さんに向けて、育休を取得する社員も、その仕事を支える社員も、安心して働ける職場づくりについてお伝えする予定です。
12月も、多くの皆さんとご一緒できることを楽しみにしています。


