「ただただ我慢する」ということ
大学の教職員170名の皆さまにカスハラ対策研修
先日、大学の教職員の皆さまを対象に「カスタマーハラスメントへの適切な対応と心理的安全性の確保」をテーマとした研修に登壇しました。
こちらの大学では、数年前から毎年研修を担当させていただいており、
今年もこのような機会をいただけたことを大変うれしく思っています。
今回は170名の教職員の皆さまにご参加いただきました。
大学には、学生や保護者、受験生、地域住民、取引先など、さまざまな立場の方との関わりがあります。
その中で寄せられる意見や苦情には、大学として真摯に受け止め、改善につなげるべきものもあれば、社会通念上許容される範囲を超えた言動もあります。
今回の研修では、正当なクレームとカスタマーハラスメントの違いをはじめ、大学で起こり得る具体的な事例、組織としての対応方法、そして教職員が安心して相談できる職場づくりについてお伝えしました。
大切なのは、正当なクレームとカスハラの線引き
カスタマーハラスメント対策で、まず理解していただきたいのが、正当なクレームとカスタマーハラスメントの違いです。
苦情や改善の申し入れそのものが、カスタマーハラスメントになるわけではありません。
たとえ大学側にミスや不備があったとしても、それを理由に暴言を浴びせたり、人格を否定したり、執拗に責め続けたりすることが許されるわけではありません。
判断する際には、「要求の内容」と「要求の手段・態様」の両方に目を向ける必要があります。
研修では、保護者からの繰り返しの電話、SNSでの誹謗中傷、窓口での威圧的な言動など、大学ならではの事例も取り上げました。
そして、対応する教職員が一人で抱え込まず、組織として判断し、対応することの重要性についてもお伝えしました。
カスハラ対策は、対応する人の我慢や忍耐に頼るものではありません。
困ったときに相談できること、助けを求められること、組織として守ってもらえること。
そのような心理的安全性のある職場づくりが欠かせないと考えています。
「カスハラを受けない」だけでなく「カスハラをしない」社会へ
また、私がカスハラ対策を通じて伝えたいのは、単に「カスハラから働く人を守る」ということだけではありません。
誰もがカスハラを受けることも、することもない社会を目指すこと。
これも大切なテーマだと考えています。
私たちは誰でも、サービスを受ける側、意見や苦情を伝える側になることがあります。
そして、誰にでも失敗やミスはあります。
もちろん、問題が起きたときには、事実を確認し、必要な改善や適切な対応を求めることは大切です。
しかし、相手に感情をぶつけたり、どちらが正しいかという勝ち負けにこだわったり、自分の腹の虫を収めるために怒りをぶつけたりしても、問題の解決にはつながりません。
ここには、私が日頃からお伝えしているアンガーマネジメントの考え方も深く関わっています。
怒りは誰にでもある自然な感情です。
大切なのは、怒りを感じないことではなく、その怒りをどのような言動で表現するかということ。そして、何のために怒っているのか、どのような結果を望んでいるのかを考えることです。
失敗やミスに対しても、お互いの尊厳を大切にしながら、建設的な対話ができる社会であってほしいと思います。
互いを尊重し、安心して働ける職場づくりのために
カスタマーハラスメント対策は、働く人を守るための大切な取り組みです。
同時に、私たち一人ひとりが、自分自身の怒りとの向き合い方や、日頃の言動を振り返る機会にもなるのではないでしょうか。
自分の正しさを主張することと、相手の尊厳を傷つけることは違います。
また、問題の改善を求めることと、相手を責めたり攻撃したりすることも違います。
大切なのは、問題をより良い方向へと解決していくことだと思います。
今回も貴重な研修の機会をいただき、ありがとうございました。
これからも、一人ひとりの尊厳が大切にされ、互いを尊重しながら安心して働ける職場づくりに向けて、研修や実務支援を通じて取り組んでいきたいと思います。


