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ちょっといい言葉<181> 「楽観的になりたいなら、 客観的になることだ」

岸井謙児

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テーマ:ちょっといい言葉

今日のちょっといい言葉は精神科医の斎藤茂太さんのことばです。
「楽観的になりたいなら、客観的になることだ」

この言葉がどういう文脈で使われたのかわかりませんが、私はこの言葉、とっても納得します。前回のちょっといい言葉<180>で「悲観主義は気分だが、楽観主義は意思である」という哲学者アランの言葉を紹介しましたが、いや古今東西を問わず人間の真理かもしれません。

私のところへ来られるクライエントさんはほとんど全員が悲観的なムードに動かされて来室されます。それはそうですよ、これまでずっと苦しまれたり無力感に襲われてこられたからこそ、相談に訪れる訳ですから。しかし考えてみれば、そういう時の悲観主義は確かにある種のムードに流されてしまっている状態かもしれません。

ですから私がまずさせていただくことは、できるだけ事実をありのままにお聞きして客観的な見通しを持っていただくことです。その段階ではとても「楽観的」になどなれませんが、少なくとも感情に振り回されている状態から少しでも距離を置いていただくことを目指しています。たとえば問題となっている事態は、いつからどのくらいの頻度で起きているのか、場合によっては記録も取ってもらいます。それによって問題を客観的に眺める練習をしてもらうわけです。

ちょうど台風がやってくるときの天気予報のようなものでしょうか。この問題の台風はこれまでどういう進路で進んできて、現在どのくらいの距離にあり、その後どう進んでいく予想ができるか。それができればかなりの程度心の準備が整います。地震はなかなか予測できませんよね。だからいつやってくるかわからない。大きな余震にも驚かされます。こういう状態だとますます不安と混乱が増してくるのです。

そしてその後「ムードに振り回されているご自分」をもう一人の目で客観的に見つめる作業をしていただきます。こうすることで少なくとも今までの視点から、少し距離を置いて問題に向き合う経験をしていただくわけです。とはいえそれもそう簡単なことではなく、冷静に客観的にご自分を見ることができるようになると、問題の80%ぐらいは解決していると言えるかもわかりません。

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岸井謙児(臨床心理士)

カウンセリング・オフィス岸井

カウンセリング暦35年。子供から大人まで、うつ・対人関係の悩み・発達障害・不適応・ひきこもりに関わる問題に丁寧に、かつ誠実に対応します。また全国から電話・スカイプなどでも相談を多数受け付けています。

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