<選択制緘黙> 「話さない」のではなく、「話せない」のです。
最近よくお目にかかるさまざまな問題についてこれから少し取り上げています。今日は「限局性恐怖症」について。
ただし私は臨床心理士ですが、医者ではありません。ですから疾患を診断する立場ではありません。また、もしあなたこれから述べていくような症状に当てはまるとしても、自己判断で判断せず、お近くの信頼できる病院に行って専門の診断をしてもらってください。
さて、今回紹介するのは、特定の状況や事物への恐怖と不安に襲われてしまう状態。前回取り上げた「全般性」の不安ではなく、特定の状況・事物への恐怖・不安であり「限局性恐怖症」と呼ばれます。有名なところでは「高所恐怖症」「閉所恐怖症」などがありますね。以前関わったA君は「先端恐怖」だったようで、はさみなど先がとがったものがとても苦手でした。ですから散髪に行けません。髪の毛は伸び放題でした。
米国精神医学会「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM-5)」によると、限局性恐怖症は
A.特定の対象または状況への顕著な恐怖と不安
B.その恐怖の対象または状況がほとんどいつも、即時、恐怖や不安を誘発する
C.その恐怖の対象または状況は積極的に避けられる、または、強い恐怖や不安を感じながら耐え忍ばれている。
D.その恐怖または不安は、特定の対象や状況によって引き起こされる実際の危険性や社会文化的状況に釣り合わない。
E.その恐怖、不安、なたは回避は持続的であり、典型的には6ヵ月以上続いている。
などの診断基準によって診断されます。
もっと具体的に言えば次のような下位分類があります。
動物(例:クモ、虫、犬) 、自然環境(例:高所、嵐、水) 、血液・注射・負傷(例:注射針、侵襲的な医療処置) 、状況(例:航空機、アレベーター、閉所) 、その他(例:窒息やおう吐につながる状況;子どもでは大きな音や着ぐるみ)などなどです。
確かに、高所や閉所、クモや虫、注射や飛行機などは誰でも少しは恐怖や不安を感じますが、それが日常生活にも苦痛や機能障害を及ぼすようになると、治療の対象となるというわけです。ご本人にとっては本当に苦痛だと思います。
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