<選択制緘黙> 「話さない」のではなく、「話せない」のです。
前回、社交不安症についての説明をしましたが、今日は具体的な事例をお話ししましょう。ただし個人が特定されてもいけないので、いくつかの例を合成してお話しします。仮にA君としましょう。私がA君と出会ったのは大学の学生相談室でした。
彼はとてもまじめで繊細な青年で授業もそれなりに単位が取れていました。ただ、彼が心配なのはどうしても周囲の人間関係に心を開けない事でした。決して友達がほしくないわけではありません。むしろ友達や彼女がほしいと思っていたのですが、なかなか自分から周囲の人に話しかけることができないのです。
授業の中で集団の活動もあったのですが、そんな時自分が周りの人から馬鹿だと思われているんじゃないだろうか、自分が発表でもしたら目立ちたがり屋だと思われるんじゃないだろうか、と思ってしまい、結局おとなしく黙って過ごすしかなくなるのです。
あなたはA君と同じような経験をしたことははないでしょうか?決して特別な経験ではないかもしれませんね。最近のSNSでのやり取りなどは、まさにこのような経験につながるのではないか、と危惧しています。
またA君に話を聞くと、中学校の時にクラスでいじめにあったという話をしてくれました。クラスの中で積極的に活動していたA君がある時、クラスの中での多くの仲間か無視されるようになったのだそうです。いじめのターゲットはどんどん変わっていくので、A君の場合は短期間で済んだそうでしたが、彼にとってはとても傷が残る体験だったそうです。
A君は体育大会などでリレーのメンバーに選ばれるぐらい足が早かったのですが、これも「もし自分がライバルに抜かれてみんなに迷惑を変えたらどうしよう」と考えると不安になって結局、体育大会にも参加できませんでした。
結局A君は人からどう思われるか、ということが不安で、日常生活や学業に影響が及ぶため病院に受信し、服薬をするとともに、私と週に1回のカウンセリングを続けました。そして過去の辛い思い出の整理を通じて心の安定を取り戻し、無事に卒業していくことができたのです。
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