なぜ会社が成長すると「活躍する社員」が変わるのか|年商の壁を越える組織づくりと人材配置
外資系コンサルティング会社から、日本の大企業の役員に転職した私が、一番「参った」こと
2007年まで、私はニューヨークで外資系コンサルティング会社と契約し、約10年間、外資系企業のマネジメントに携わっていました。
その後、日本へ帰国し、日系の大企業に入り、役員になった私が、一番「参った」と感じたことの一つが、経営会議でした。
中でも印象に残っているのが、私がグループ会社の取締役を担当した、あるオーナー企業グループの役員統括会議です。
議長であるオーナー社長が会議に遅れてくることは珍しくなく、あらかじめ議題に沿って会議が進むのではなく、その時々に社長が気になっていることから話が始まります。前回の会議で協議され、「次回報告」となっていた案件の資料を持参しても、その案件自体が最後まで議題に上がらないこともありました。
会議の終了時間も明確ではありません。
そのため、参加する役員や部長は、経営会議の後には重要なアポイントを入れられない状態でした。
しかし、長年その会社に勤務する幹部の方々にとっては、それが当たり前の経営会議になっていました。
私は、この経験から強く学びました。会議を開いていることと、経営していることは、まったく同じではありません。何時間、経営会議を行ったとしても、重要な意思決定が行われず、決定事項が実行されなければ、会社は前には進みません。
経営会議で重要なのは、会議を開催したという事実ではありません。
その会議によって、会社として何をするのかが決まり、実行に移されたかどうかなのです。
経営会議の中心目的は「情報共有」ではなく「意思決定」である
経営会議には、当然、重要な情報を共有する機能もあります。
しかし、その中心目的を「情報共有」にしてはいけません。
オーナー社長が思いついたことを話し、幹部がそれを聞く。各部門長が順番に業績を報告し、社長がコメントする。これだけで終わるのであれば、それは経営会議というより「報告会」です。
経営会議の中心的な役割は、問題を特定し、その原因を分析し、考えられる選択肢を比較し、会社として何をするのかを決定すること、にあります。
そして、決定した後には、誰が責任を持って実行するのか、いつまでに実行するのか、まで決めなければなりません。つまり、経営会議とは、情報共有から始まり、意思決定を行い、実行責任へつなげる場なのです。
今、私が経営コンサルをする会社で、経営会議を改善するとき、私はまず、「この会議で、何を決めるのですか?」という問いから始めます。
売上数字を読み上げる会議をやめる
経営会議でよく見られるのが、各部門長が売上や利益などの数字を順番に読み上げる形式です。
しかし、資料を読めば分かる数字を、経営幹部が集まった場で一項目ずつ読み上げる必要はありません。会議資料は、原則として事前に作成し、参加者へ配布します。参加者は、それを事前に確認したうえで会議に参加します。
そうすれば、「今月の売上は3,800万円でした」という報告そのものではなく、「予算4,000万円に対して200万円不足した原因は何か」という議論から会議を始めることができます。
経営会議で見るべきなのは、数字を読み上げることよりも、その数字の中に現れている「差異」と「異常」です。
予算との差。
前年との差。
前月との差。
当初予測との差。
そして、なぜ、その差が発生したのか、放置した場合、どのような影響が出るのか、何を変えれば改善できるのか。
ここを議論します。
数字を報告するために経営会議を使うのではありません。数字を使って意思決定するために、経営会議を使うのです。
経営会議で必ず決める6つのこと
では、オーナー社長は、自社の経営会議をどのように運営すればよいのでしょうか?
まず、ここでいう経営会議と、会社法上の取締役会は区別して考える必要があります。
取締役会設置会社の取締役会には、法律上の権限と役割があります。
一方、ここでいう経営会議とは、日常的な経営課題について、経営陣が情報と知見を集め、意思決定と実行管理を行う社内のマネジメント会議を指しています。
そのうえで、私は経営会議で扱う内容を、次の6つに整理しています。
①現状の問題点の抽出
②その問題点の原因の協議
③問題点の解決の選択肢の抽出
④意思決定者による選択肢からの選択決定
⑤選択肢を実行する責任者
⑥選択肢を実行する期限
例えば、「営業部門の売上が予算未達だった」だけでは、まだ問題の入口にすぎません。
なぜ未達なのか。
新規商談数が少ないのか。
商談数は足りているが成約率が落ちているのか。
販売単価が下がっているのか。
既存顧客からの売上が減少しているのか。
原因によって、打つべき施策はまったく異なります。
原因を特定したうえで、
営業人員を増やす。
提案方法を変える。
価格を改定する。
広告投資を増やす。
商品構成を変更する。
などの選択肢を出します。
そして、意思決定者が選びます。
そのうえで、
誰が実行するのか。
いつまでに実行するのか。
を決めます。
ここまで決まって、初めて経営会議は経営行為になります。
「全員の意見を聞く」と「全員に決定権を与える」は違う
私は人材を採用するとき、会社の目標と成長ベクトルを見据えながら、今の経営陣や組織にはない能力を持っている人材を採用することを重視しています。
そして採用した後は、その人材の能力を最も発揮できるポジションと事業領域を考えます。
若い人材には、現在の能力より少し高い課題や責任を与え、成長できる機会をつくります。
また、国内だけに視野を限定せず、必要に応じて海外法人や海外事業の現場も経験させ、経営や事業を見る視野を広げてもらいます。
このように異なる経験、専門性、立場を持った人材が集まる経営会議では、各メンバーから上がってくる情報や意見は非常に有益です。したがって、URVグローバルグループの経営会議では、役職や担当領域にかかわらず、自由に意見を出すことを重視しています。
部門を越えて、
「私はこう考える」
「現地では、このリスクがある」
「その案より、こちらの方法がよい」
という意見を出してもらいます。
私自身も、優れた意見は積極的に経営判断へ取り入れます。
しかし、「全員の意見を聞くこと」と、「全員に決定権があること」は、まったく別です。
最終的な決定は、私を含む経営責任者、担当部門の責任者、現地法人の社長など、その事項について決定権と責任を持つ人間が行います。
誰が決めるのかを明確にし、その決定について責任を負う。
これが重要です。
意思決定の研究でも、参加者の役割と「誰が最終的に決めるのか」を明確にすることが、意思決定速度を高める重要な要素とされています。
全員の知見を使う。しかし、決定責任を曖昧にしない。
私は、この両立が経営会議では重要だと考えています。
経営会議に持ち込むのは「相談」ではなく「選択肢のある提案」
報告・連絡・相談は、日常業務では重要です。経営幹部から社長に対しても、日常的な報告や相談は当然必要です。
しかし、その内容が全社的な経営課題でないのであれば、経営幹部が多数参加する経営会議で長時間を使って行う必要はありません。
個別の業務報告や相談は、通常のマネジメントラインの中で処理します。
経営会議へ持ち込むべきなのは、「どうしたらよいでしょうか」というだけの相談ではなく、「会社として判断が必要な課題と、その選択肢」です。
例えば、
A案 投資額500万円 期待効果大 リスク中
B案 投資額200万円 期待効果中 リスク小
C案 今回は投資しない
というように、選択肢を整理します。
そのうえで、
必要な費用。
期待できる効果。
考えられるリスク。
実行に必要な期間。
他の事業への影響。
などを比較します。
そして参加者の知見と情報を使って議論し、決定権者が判断します。
経営会議は、「社長、どうしましょうか」と問題を社長へ投げる場所ではありません。担当者が考え抜いた選択肢を持ち込み、経営陣の知見を加え、会社として意思決定する場所なのです。
参加者の鉄則 会議の前に報告と調整を終わらせる
経営会議の効率と意思決定の質を高めるために、欠かせない鉄則があります。
まず、事前資料の配布です。会議が始まってから資料を配り、参加者が初めてその内容を読む状態では、そこから説明時間が必要になります。
資料は事前に作成し、参加者へ配布します。
Pre-read。つまり、事前に読むことです。そして、資料を事前に読むこと自体を、経営会議参加者の仕事と位置づけます。
「資料は送りました。しかし誰も読んでいませんでした」では意味がありません。
参加者は、資料を読み、何が問題なのか、どこに疑問があるのか、どの選択肢を支持するのか、追加で確認したいことは何か、まで考えて会議へ参加します。
これを前提とすれば、会議の冒頭から本題へ入ることができます。
世界企業の意思決定会議でも、プレゼンテーションや情報共有を事前資料へ移し、会議時間を議論と意思決定へ振り向ける考え方が採用されています。
経営幹部が集まる貴重な時間を、資料の読み上げに使わない。これは、効率的な経営会議をつくるうえで非常に重要です。
「検討します」で経営会議を終わらせない
経営会議でよく使われる言葉があります。
「検討します」「持ち帰ります」「関係部署と調整します」「次回までに考えます」
もちろん、本当に追加情報が必要な場合もあります。その場合、結論を出さないこと自体が間違いではありません。
問題なのは、
誰が検討するのか。
何を調べるのか。
いつまでに調べるのか。
その結果、誰が決めるのか。
が決まっていない状態です。それでは、単なる先送りです。
仮に、その場で最終結論を出せないとしても、「営業部長が10月15日までにA案とB案の費用対効果を再計算し、10月17日に社長が最終決定する」というところまで決めることはできます。
意思決定を先送りしないためには、「次に誰が何をするのか」を必ず確定させることが重要です。
経営会議は「意思決定ログ」で管理する
最後に、私は経営会議を「意思決定ログ」で管理することをお薦めします。一般的な議事録では、誰が何を発言したのかを長く記録することがあります。
もちろん、必要に応じて議事内容を記録することには意味があります。
しかし、経営を動かすために最も重要なのは、
何が問題だったのか。
何を決めたのか。
誰が責任者なのか。
いつまでに実行するのか。
です。
例えば、議題、問題、決定事項、実行責任者、期限、進捗状況を一覧化します。
そして、次回の経営会議では、前回の意思決定ログから確認します。
前回決めたことは実行されたのか。
期限を守ったのか。
実行した結果はどうだったのか。
当初想定した効果が出たのか。
問題があれば、どこを修正するのか。
これを継続します。
経営会議は、話すための場ではありません。決める、実行する、確認する、修正する、このような経営サイクルを回すための場です。その「意思決定の仕組み」を会社の中につくることです。
これが、成長企業における経営会議の役割だと、私は考えています。
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「経営会議を行っているが、報告だけで終わっている」
「結局、すべての意思決定が社長である自分に集中している」
「管理職を置いたが、重要な案件がすべて自分へ戻ってくる」
「会議では話し合うが、決定したことがなかなか実行されない」
このような状態は、単なる会議運営の問題ではなく、会社の成長に対して、意思決定と権限の仕組みが追いついていない可能性があります。
会社を次の成長段階へ進めるために、経営会議を含む経営システムそのものを見直します。
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/
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組織構造、権限、管理職の役割、数字の管理方法まで含め、次に何を変えるべきかを一緒に整理します。
https://direct.mbp-japan.com/menu/detail/936


