企業価値を計測する指標として使われる、EBITDAを理解しよう
もう「特別なこと」ではない、日本のM&A
日本のM&Aの2025年の件数は5,115件で前年比8.8%増、金額は35.7兆円で前年比74.7%増となり、件数・金額ともに2年連続で過去最高を更新しています。
このデータは、公表されているM&A統計に基づくものですが、統計に表れにくい中小企業のM&Aや資本提携まで含めれば、実際の市場規模はさらに大きいと考えられます。
もはやM&Aは、一部の大企業や高齢経営者だけが検討する特別な手法ではありません。企業経営者であれば、自社の成長戦略、資本政策、事業承継、そしてオーナー経営者自身の資産形成まで含めて、戦略的に活用を検討すべき経営手法になってきました。
「年収1億円の壁」を越えている人の正体は、M&A勝者
「年収1億円の壁」という言葉を聞いたことがありますか?
「103万円の壁」とは、まったく異なる意味の言葉です。日本の給与所得税は、累進課税制度を採用しています。そのため、所得が高くなればなるほど、税率も高くなる仕組みです。
税には、所得再分配の機能があります。高所得者から相対的に多くの税を負担してもらい、それを社会全体に再分配するために、累進課税制度が導入されています。
ところが、日本では、年収が1億円を超えるような超高所得者層になると、所得総額に対する所得税負担率が、一定の水準から下がる現象が指摘されています。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?
その大きな理由の一つは、超高所得者の所得が、給与所得だけではなく、配当所得や株式譲渡所得などで構成されているからです。株式等の譲渡所得は、原則として申告分離課税の対象となり、給与所得とは異なる税率体系で課税されます。
つまり、会社の利益から役員報酬を増やして給与所得として受け取るだけではなく、その利益を会社に内部留保し、企業価値を高めたうえで、将来、M&Aによって株式を譲渡するという選択肢を持つことで、オーナー経営者の手取り収入は大きく変わる可能性があります。
もちろん、実際の税務判断は、会社の状況、株式の保有形態、取得価額、譲渡時期、税制改正の影響などにより異なります。そのため、税理士などの専門家と連携した設計が不可欠です。
しかし、重要なことは、オーナー経営者にとってM&Aは、単なる会社売却ではなく、自分が育てた会社の価値を、最終的にどのような形で手取り化するかという、極めて重要な資本政策であるということです。
M&Aは、会社の事業承継だけの手法ではない
日本では、M&Aは、高齢化した経営者の事業承継の手段として注目を集めています。いわば、経営者の「終活」のような手法として位置づけられることが多いのが現状です。
その理由の一つは、M&A仲介事業者が売り手企業に営業を行う際、経営者の年齢が高い企業にアプローチした方が、営業効率が高いからです。そのため、M&A仲介事業者が「事業承継の手法」としてM&Aを強く打ち出し、広告展開をしてきたことも、日本におけるM&Aのイメージ形成に大きな影響を与えていると私は考えています。
しかし、M&Aは、事業承継のためだけの手法ではありません。
オーナー経営者にとって、M&Aは、成長のための事業資金を調達する手法であり、強力な経営パートナーを探す手法であり、最終的には、自分が育てた会社をより高い企業価値で資金化するための収穫戦略でもあります。
このような見地から、今後は、M&Aを単なる出口戦略ではなく、成長戦略として活用するオーナー経営者が増えていくと、私は考えています。
本当に、あなたは会社の株を100%、持ち続けなければならならないのですか?
自分で創業した会社、あるいは親から引き継いだ会社の株式を、オーナー社長が他社に譲渡し、共同経営に入ることは、勇気のいる決断です。
事実、私自身も、現在、URVグローバルグループの国内3法人については、私がホールディングス会社を100%所有し、そのホールディングス会社が各法人を100%所有する形をとっています。そのため、私が国内3法人の実質的な支配者となっています。
しかし、他方で、URVグローバルグループが出資する海外の現地法人では、世界のホールディングス会社にあたるシンガポール現地法人を除き、私が100%株式を所有する法人はありません。
これは、各国の外国資本規制という事情もありますが、それだけが理由ではありません。むしろ私は、現地に精通する企業や経営者と合弁会社を設立し、私の経営・海外進出の知見と、現地企業が持つ市場理解、政治力、人脈、事業経験を組み合わせることで、より強固な経営体制を構築するために、戦略的にこのような資本構成を採用しています。
つまり、株式を活用して他社と資本提携を行うことで、自社だけでは得られない経営資源を、成長の原動力に変えているのです。
では、オーナー社長が、自社の株式を100%持ち続ける必要は、本当にあるのでしょうか?
むしろ、自分よりも優れた経営者、自分よりも資金力のある会社、自社にない技術・人材・販路・信用力を持つ企業と資本提携を結ぶことで、その力や知見を経営に取り入れた方が、成長の速度も規模も大きくなり、結果として、経営者の生涯収入を高められる場合があります。
私は、このような目的で行うM&Aを「成長企業M&A」と位置づけています。事業承継目的のM&Aに加え、今後は、このような成長企業M&Aが日本でも増えていくと考えています。URVグローバルグループでは、成長企業M&Aに特化したアドバイザリーおよび仲介サービスを提供しています。
URVグローバルグループの「成長企業M&Aアドバイザリー」サービス
https://urv-group.com/services/consulting/growing-manda/
「成長企業M&A」 そのメリット
成長企業M&Aは、オーナー経営者にさまざまなメリットをもたらします。主なメリットを整理してみます。
メリット1 返済が不要な事業資金を調達できる
非上場企業の経営では、内部留保を超える事業資金の調達は、銀行などの金融機関からの借入に大きく依存してきました。
しかし、成長企業M&Aでは、オーナー経営者が代表取締役の立場を維持したまま、株式の一部譲渡、第三者割当増資、自己株式の処分などの方法を組み合わせることで、買い手企業や資本提携先から事業資金を調達することが可能です。
この方法で調達した資金は、借入金とは異なり、原則として返済を必要としない資本性の資金となります。さらに、買い手企業が株主として参画した後に、追加の新株発行を行うことで、より大きな成長資金を調達することも可能になります。
借入に依存せず、自己資本を厚くしながら成長資金を確保できる点は、成長企業M&Aの大きなメリットです。
メリット2 協働経営体制で、自分の弱みを補える
一人で経営する経営者は、孤独です。私が行う経営コンサルティングの仕事には、経営者へのメンタリングという要素も含まれています。
経営者は、部下である従業員に、簡単に弱音を吐くことはできません。経営上の不安をそのまま相談することも、慎重でなければなりません。部下は、経営者の迷いや弱音に敏感です。場合によっては、「この会社にいて大丈夫だろうか」と不安を抱くこともあります。
私は、自分自身の経営者としての経験、そして長年にわたり経営コンサルタントとして積み重ねてきた知見を基礎に、経営者に伴走しながら相談に乗っています。その相談内容は、経営戦略や財務戦略といった専門的な内容だけではありません。部下との接し方、幹部育成の悩み、将来の個人資産形成、事業承継、M&Aの判断まで、多岐にわたります。
もちろん、経営コンサルタントをメンターとして活用する方法もあります。しかし、経営、事業、人生の経験を豊富に積み、なおかつ人格的にも信頼できる経営コンサルタントが、世の中に数多くいるわけではありません。
そこで、経営者の弱みを、協働経営によって補うという方法があります。
自分よりも大きな事業を創り上げた経営者、自社にはない知見を持つ企業、資金力や販路を持つ会社に出資者として経営に参画してもらい、その知見を得ながら、自分の弱い部分を補う。そのような目的でM&Aを活用することも、極めて合理的な選択肢です。
メリット3 収益モデルに、収穫モデルを加えて、オーナーの生涯年収を高めることができる
日本を含む先進国の所得税制は、修正資本主義の考え方に基づき、所得再分配の機能を担っています。市場経済の基本を維持しながら、市場経済がもたらす格差を是正するために、給与所得には累進課税制度が採用されています。
特に日本は、給与所得に対する所得税・住民税の負担が重く、社会保険料の負担も大きい国です。そのため、給与所得が高いからといって、必ずしも手取り資産が大きく増えるとは限りません。
しかし、その所得再分配の仕組みは、すべての所得に同じように適用されているわけではありません。
会社の利益に対して支払う法人税や、株式の譲渡所得に対して支払う税は、給与所得とは異なる制度で課税されます。つまり、経営者がすべてを役員報酬として受け取るのではなく、会社に利益を残し、企業価値を高め、その株式価値を将来M&Aによって資金化するという設計を行えば、手取りベースでより大きな資産を残せる可能性があります。
M&Aは、最終的にオーナー経営者が育ててきた会社の純資産、収益力、将来価値、ブランド、組織、人材、顧客基盤を、株式価値として評価してもらう手法です。
社長として役員報酬を増やす「収益モデル」だけでなく、最後に大きな手取り資金を残す「収穫モデル」を組み合わせることが、オーナー経営者の生涯収入を大きく高めるための、M&Aの賢い活用法なのです。
メリット4 中小企業で終わらず、中堅企業、さらに大企業への道へ進める
M&Aは、オーナー経営者が会社を売り抜けるためだけの手法ではありません。
売り抜けるのではなく、自分の会社をIPOという手法で「公器」に変え、自分が保有する株式の価値を、市場価格のつく形に変換する方法もあります。その結果、中小企業から中堅企業へ、さらに大企業へと発展させたうえで、株式をより大きな価値に変えることも可能になります。
この方法を選ぶ場合、買い手や資本提携先は、投資ファンドや上場準備に知見を持つ企業などに絞る必要があります。また、IPOを目指すには、内部管理体制、会計、法務、労務、ガバナンス、事業計画などを計画的に整備しなければなりません。
しかし、計画的に進めることができれば、中小企業のまま事業会社に売却するよりも、はるかに大きな生涯資産を残せる可能性があります。さらに、上場企業の創業者として名を残すことも可能です。
メリット5 ブランディング強化で、求人と組織を大きく強化できる
仮に上場を目指すほどの大きな目標を掲げない会社であっても、自社より大きな企業グループに入ることにより、ブランディングを強化できる場合があります。
その結果、営業力、採用力、組織力、資金調達力が大きく向上することがあります。
私がURVグローバルグループを創業する前に役員を務めていた企業グループは、渋谷の東急グループが運営する高層ビルの高層階ワンフロアに、グループ各社の本社を置いていました。
渋谷から新宿の高層ビル群、さらには池袋サンシャインまで見渡せるオフィスフロアで、私も仕事をしていました。そして、M&Aの買収担当役員であった私がM&Aでグループに迎え入れた企業も、このオフィスに本社を移してきました。
中小企業単独の与信力では、到底入居できない高層オフィスビルに本社を移したことで、グループに入った企業は、営業、資金調達、求人などの面で、大きく力を高めていきました。また、元の従業員の皆さんも、職場環境が大きく変わったことで、モチベーションを高めていきました。
このような状態に、中小企業が自力で到達することは容易ではありません。しかし、M&Aの買い手企業や資本提携先を適切に選ぶことで、同じような効果を実現できる場合があります。
M&Aを戦略的に活用する時代の幕あけが、いま!
以上で見てきたように、M&Aは、事業承継を考える経営者の終活にとどまらない、さまざまなメリットを持つ経営手法です。
アメリカで発達した手法であるため、ゴールデンパラシュートのように、経営者が従業員を商品として売り、自分だけが利益を得て会社を去っていくようなイメージを持っている人も、まだ少なくありません。
しかし、日本の中小企業・成長企業におけるM&Aは、そのようなものばかりではありません。
資本を有効に自社へ引き寄せ、オーナー経営者一人では発揮できない力を取り込み、会社をさらに成長させ、その果実を最後に収穫する手法として、M&Aは今後も日本で広がっていくと考えられます。
私は、アメリカでM&Aアドバイザリー業務に携わり、日本では事業会社のM&A担当役員として、多くの企業をグループに迎え入れ、成長を支援してきました。
将来的にM&Aを活用したいと考えている経営者の方。
自分の会社を、どのように経営すれば、M&Aで有利な交渉ができる会社にできるのかを知りたい方。
事業承継ではなく、成長戦略として資本提携やM&Aを検討したい方。
役員報酬だけに依存するのではなく、企業価値を高め、将来の手取り資産を最大化したい方。
そのようなオーナー経営者の方は、ぜひ、下のURVグローバルグループの成長企業M&Aアドバイザリーサービスページをご覧ください。
このページでは、成長企業M&Aをどのように設計し、どのような買い手・資本提携先を選び、どのように企業価値を高めて交渉に臨むべきかを、経営者目線で整理しています。
M&Aは、会社を手放すためだけのものではありません。
会社をさらに成長させ、オーナー経営者の人生全体の収穫を最大化するための、極めて重要な経営戦略です。
URVグローバルグループの「成長企業M&Aアドバイザリー」サービス
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