【第二日】フィリピン マニラ経済圏 マカティ市から、市場調査状況をリアル発信します
1、見知らぬ国での海外出張での仕事の仕方
2025年6月23日。
明日、帰国日という短いホーチミンシチィの滞在の中で、この日は、本業の仕事に朝から夕方まで没頭し、ホテルに帰っての業務と、ホテルのロビーにお越しいただく来客の方々と会う予定が続きます。
海外出張で、土地勘があまりない地域では、仕事関係の方と約束をする場合、その約束の場所にたどり着くのが難しかったり、約束の場所で立っていると、ローカルのあまり質のよくないヒトに絡まれたりすることが多々あります。海外では、日本のような待ち合わせスポットというものが、あまりないのです。
従って、相手の会社を訪問する以外に、安全にビトに会う方法は、自分が泊っているホテルのロビーにヒトにお越しいただき、ロビーやホテルのレストランで商談をすることです。
僕は、日本でのビジネス出張では、ほぼ、3つ星のビジネスホテルに泊まり、ホテルは、寝るだけの場所として動き回ります。一方、海外出張では、5つ星の有名なホテルを、URVグローバルグループが海外出張手配で提携するHISの法人事業部さんにとっていただくようにしています。
海外出張のビジネスでは、必ず、ホテルが仕事の拠点になります。自分のオフィスがない海外出張先では、デスクワークは、ホテルの部屋や空港のラウンジで行います。そして、仕事の相手は、ホテルのロビーにお越しいただき、ホテルで商談をこなすようにしています。相手も、外のレストランなどで待ち合わせをすると、迷われる場合もあり、有名ホテルに来ていただくのが、相手にとっても、好都合なことが多いのです。
相手にホテルまで来ていただくためには、その土地にいる方が誰でも知っているホテルに宿泊する必要があります。
これ、ビジネス出張では、絶対に欠かすことができない条件だと僕は思っています。
昔、シンガポールで、URVグローバルグループで会社を創る前のことです。あるクライアント企業様の社長と一緒に行くシンガポール出張で、そのクライアント企業様の総務の方が、ホテルを手配されたことがあります。
手配をされた総務の方が、おそらく予算と空き情報だけで、ホテルを予約してしまったのでしょう。いざ、現地に行ってみると、そのホテルの前面道路は、車が駐停車できないエリアで、しかも、かなり辺鄙な場所にあるホテルでした。
食事がついていないホテルで、Grabもタクシーも呼ぶことができず、仕事も立ち往生してしまうはめに陥り、動きが全くとれなくなりました。
シンガポールには、当時も、僕の配下のパートナーや、リサーチャーがいましたので、車で迎えにきてもらい、仕事の行動はなんとかできましたが、非常に、仕事上、難儀をした経験があります。
ふんだんに時間があるバックパッカーや、学生の卒業旅行などは別として、短時間の滞在で、最大のパフォーマンスをあげなければならないビジネスの出張では、ホテル選びは、非常に重要です。繁華街に近すぎて、治安が悪い場所のホテルや、現地のヒトも知らないできたばかりの新しいホテルは、避けるべきです。
世界中の支店網があり、現地支店が手配できる体制の旅行社と契約を結び、会社に与信枠を設定して貰って、支払いを後払いにして、航空機を機動的に予約し、有名ホテルを手配してもらって、損害保険の付保も自動的に行える体制を作ることが、機動的な海外出張には欠かせません。
2、ホーチミンで20年以上活動する、日系の不動産業者の社長と会食をする
夕方に仕事の予定が予定通り、終了。
今日の夜は、ホーチミンで20年以上活動する、日系の不動産業者の社長と会食をすることになっていました。
ホテルのロビーで待ち合わせをさせていただき、ドンコイ通りをメコン川方面に行ったところにある、ベトナム料理のお店に連れて行っていただきます。
野菜のザウ・ムオン・サオ・トイと、お肉のボー・ザオ・ボー・ソイをとり、ベトナムに来たら欠かせないココナッツジュース(ココナッツの実をたち割って、中の果汁をそのまま飲む)を呑みながら、彼の話をお聞きします。
彼は、2020年代のはじめ、僕がPwCニューヨークに在職していたころに、ベトナムにやってこられました。以来、ホーチミンに基盤を置き、日系の大企業の駐在員の方々の住居などをご案内する不動産業を20年続けてこられた方です。
ベトナムの成長と、日系企業の進出状況を、ずっと見てこられた方のお話は、非常に興味があります。中でも、今の傾向の話に非常に興味がわきました。
今、日系企業の駐在員の数が、大きく減ってきているというのです。
既に、日系の大企業のベトナム進出は、ピークを通り過ぎました。もう、進出する企業は、すべて進出が終わっているそうです。大企業の新規の進出案件は、ほぼなくなり、中小企業の案件があるも、既に市場は飽和を迎えて、資金力のない中小企業は事業が安定的に続かない状態にあるようです。
加えて、大企業では、現地従業員のレベルがあがり、日本人駐在員を日本から派遣する必要性が少なくなった、ということです。
その結果、日本人ビジネスマンの数は、既にベトナムでは大きく減っている状態にあると言います。
なるほど、僕が考えても、今、日本では、人手不足が深刻化しており、一方、若者の内向き志向が強くなり、海外駐在の転勤を、大企業がさせにくくなっている事情もからんでいるのでしょう。
彼の、
「日系を対象とした不動産業から、別の不動産事業への転換を考えています。」
という台詞は、非常にショッキングでした。
海外進出支援事業を大きな事業の柱にする僕が、日系人ではなく、現地のローカルの人材を中心に海外事業を進めるべきと、考えていることに、彼の話は、大きく一致していました。
同時に、ベトナムは、相互関税を主張するアメリカら、ASEAN内で最も高い関税を突き付けられました。その結果、対米輸出ビジネスに絡む企業は、大きな打撃を受けていると言います。
3、ベトナムの成長性と、日本からの進出
ホーチミンで最もにぎやかなドンコイ通りには、2010年代は、外国人向けの土産物屋がたくさんありました。
コロナ禍を通り越した今、その土産物屋が消えていたことが印象的でした。今は、ベトナムのローカルの富裕層向けのブランドショップが軒を連ねています。
これは、コロナ禍で消失した外国人の数が、いまもって、戻っていないことを示しています。
ベトナムほどの外資誘致に積極的な国でさえ、インバウンドを当て込んだビジネスというものが、いかに継続しないかを物語っていると、僕は感じました。
サプライチェーンの多角化を当て込んだ進出も、世界最大の市場であるアメリカの政策の変更で、大きな逆風に見舞われます。
今後の海外進出では、インバウンドやサプライチェーンを目当てにする進出ではなく、現地のローカルの経済的成長と、高所得者層・中間層の需要を取り込む、その国と一緒に成長する、息の長い進出でなければ、事業の継続性にかけるのではないかという思いを、ベトナムで強く感じました。
短期間に、多くの人と会い、今のベトナムを観た、有意義な視察でした。
明日、羽田空港に向けて、帰国します。明日からは、日本で、たくさんのクライアントの企業経営者の方が、僕を待っておられます。
続く



