【第三日最終日】ベトナム ホーチミンシティから、市場視察状況をリアル発信します
1、昼食を、現地で活動するM&Aのアドバイザリーの方とレタントン通りへ
2025年6月22日。
ベトナム ホーチミンシティに昨日の夜に到着し、今日から本格的な仕事と視察を開始します。
ホテルでビッフェの朝食をとり、朝9時から、今回の出張のメインの目標である、クライントの事業提携のための商談に向かいます。午前10時30分に、当初予定の成果をあげて商談が終了。
今回、僕が宿泊している、ドンコイ通りのサイゴン川近くにある、ホテルグランドサイゴンの部屋に戻り、シャワーで素早く汗を流したあと、昼食を一緒にとると約束していた方と、ホテルのロビーでの待ち合わせに向かいます。彼は、僕が、2017年までグループ企業の役員を務めていた企業で課長職だった方。今は、ベトナムでM&Aのアドバイザリーをはじめとするコンサルをされている、いわば、僕の同業者です。
彼の手配するgrabで、ドンコイ通りから、レタントン通りへ向かいます。
ベトナム経済成長の原動力 チャイナプラスワン
今回、僕は、ベトナムのホーチミン市には、コロナ禍後、はじめての訪問になります。Grab
の車窓から見える景色は、コロナ禍を通して、大きく変わりました。
街の様子も大きく変わりましたが、やはり、物価の高騰が凄まじいと感じます。
ベトナムは、タイと並び、チャイナプラスワンの外資の動きを吸収して、成長しました。チャイナプラスワンというのは、つまりは、中国進出をした欧米や日本の企業が、チャイナリスクを避けるためのリルクヘッジとしての投資先、またはサプライチェーンを多角化するための投資先、を言います。
「世界の工場」中国が、共産党体制維持を最重視する政策を続けるに及び、そこから退避する企業の投資の恩恵を受けて、ベトナム経済が発展しました。
言い換えれば、ベトナムの経済発展の原動力は、内需ではなく、海外からの投資です。そのため、流れ込む莫大な外資によって、極端なインフレが起きるのは当然のことです。
今、トランプ政権が成立し、相互関税の政策をアメリカ合衆国がとるに至り、中国からベトナムに逃避する中国資本が増えています。これもまた、ベトナムのインフレを加速させる原因になっています。
日系人エリア レタントン通り
レタントン通りは、日系人が集まるエリアです。日本人観光客というよりは、ビジネスでベトナムに来ている人たちが、この周辺に多く居住し、日本人にとって、ホーチミンで一番、過ごしやすい街でもあります。
日本語で書かれた看板が並び、日本人街には、多くの居酒屋や、ガールズバー、そして日本人男性をターゲットとした、アオザイを着た女の子のマッサージ店(ほとんどが、売春ありの店)が、密集しています。
昼食は、彼が予約をしてくれた、日系のイタリアンレストランで、2時間ほどかけて、さまざまな情報交換をしながら、とりました。
2、レタントン通りで、靴磨きに捕まる
彼と別れて、レタントン通りから、ドンコイ通りに向かって歩いていると、様々なローカルの人たちが、声をかけてきます。日系人エリアは、彼らにとって、絶好の、商売に適した地なのです。
フィリピンのマカティ市では、街路に、銃の安全装置を外している警官が大量に展開しているため、街路で、外国人相手に商売をするローカルは、ほぼいません。
一方、ベトナムは、そのあたりが自由なのでしょう。
社会主義政権であるベトナムのぼうが、資本主義民主主義政権であるフィリピンよりも、自由であるというのは、不思議だなあ、と思いながら歩いていると、一人の靴磨きのローカルが、僕の足元を指さして、つきまとってきます。
普通、僕は、このようなローカルを寄せ付けたりはしないのですが、その時、ちょうど、その直前に降っていたスコールの作った水たまりに踏み込んで靴が汚れていたことと、僕のバードな仕事での歩行(僕は、ウオーキングを含め、一日に12,000歩平均で歩く人なので)で、靴がいたんでいたこともあり、その靴磨きのローカルに捕まってみることにしました。
彼は、僕の靴をスピーディに磨き上げ、傷んでいた箇所を補強し、靴の中敷きまで交換してくれました。これで、いくら請求してくるかと思いましたが、そのローカルの話す言葉(彼は、おそらく英語で話しているつもりのようですが、全く英語になっておらず)、金額が全く聞き取れないので、20万ドン札を2枚(日本円で約3000円程度)、財布から取り出して渡して、足早にそこから立ち去りました。
もちろん、そのローカルは、もっと高い金額を叫ぶ言葉を僕の背中にわめいていましたが、価格を先にきめたわけではないので、僕は、さっさとその場を離れました。
レタントン通りには、ベトナムドンの金額換算に慣れていない日系人をターゲットとする怪しいローカルが溢れています。日本人街に入ると、アオザイを着てマッサージ店の店前に客待ちをするベトナム人の女の子も溢れています。
豊満な胸の谷間をアオザイから露出させた、やり手の女の子に話を聞いてみると、狭い店の中には、約200人のベトナム人の若い女の子が、無給で働いているとのこと(つまり、マッサージではなく、売春で客から受けるおカネからの店からの分け前だけが、彼女たちの収入になるということ)。
靴磨きの男性にせよ、このようなマッサージ店の女の子にせよ、この国の激しいインフレが生み出した強烈な貧困が、このようなローカルの、固定収入なき労働者を生み出しているわけです。
一方で、僕のような外資の事業家は、新興国に投資し、事業を進めて、その国の高い教育ある従業員に給与を出すことによって、これらの国の貧富の差を更に広げることに貢献してしまっているのです。
グローバル化と、それに伴う資本主義は、激しい貧富の格差を生み出すことは、自明の理です。一方、日本のように、その格差を広げないための選挙対策の目先のばらまき政策を重視すれば、成長性と経済効率性を犠牲にすることになります。
このグローバリゼーションが生み出す矛盾が、アメリカにトランプ政権を誕生させて、世界のグローバリゼーションを破壊し、一方で、日本の与野党が目先の選挙対策で競い合う愚策で、日本という国の経済競争力や国家財政を壊滅への道に進めているわけです。
欧米や日本の先進国の迷走に対して、極端な貧富の差を尻目に発展する新興国もまた、大きな矛盾を抱えていることを、僕は、レタントン通りを歩きながら実感したわけです。
3、夜は、寿司励さんのカウンターで、お任せ料理を堪能する
再びホテルに戻り、猛烈な湿気と暑さで、ぐしょぐしょになった身体をシャワーで洗い流し、一服したのち、僕は、夜の街に繰り出しました。
30分ほど歩いて、今日、予約をしてあった、寿司励(すしれい)さんにお邪魔します。
この店は、今、フィリピンで開業を目指す高級焼肉店のデザインと施工監理をお願いしている、一級建築士の近森穣さんが、10年前に設計デザインされた、高級割烹のお寿司屋さんです。
お任せのコースをカウンターでいただきました。日本で修業したのち、海外各国で高級寿司で握ってきた寿司職人の澤口さんとのお話を楽しみながら、日本の銀座の寿司屋さんで出される程度のお寿司とお料理を堪能させていただきました。
日本でも、銀座あたりでしか食べられない高級な寿司を、ローカルの富裕層に出すお店が、10年以上経営し続けることができるのもまた、このベトナムという国の姿なのだと、僕は感じました。
明日の行動に備えて、今夜は、レタントン通りなどに寄り道せず、ホテルに帰って、ぐっすりと寝ることにします。
続く



