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1.多くの中小企業の業績は、何故、成長をしてゆかないのか?
「業績が右肩あがり」という言葉は、成長を遂げる企業の典型的な表現方法になっています。
しかし、日本の中小企業の殆どは、業績が前年と比較してあがっていません。勿論、それに対して、経費や費用が変わらず、少額でも黒字を出し続けているのであれば、それは、一つの経営の仕方かもしれません。
しかし、通常、企業というものは、業績があがらないからと言って、経費は費用も変わらないということは、まずありえません。企業の経費や費用というものは、基本的に時間とともに、上昇するのが普通です。
まして、世界的にインフレが進行し、円安が進行している状態で、円ベースの売上があがらなければ、企業の業績は、前年と数字が同じでも、減少をしているのと同じことなのです。
現在の日本では、インフレ率が2%程度を政府や目標にしており、かつ、それに加えて円安が進行しています。従って、対前年比で、売上が5%程度上昇を毎年続けていかなければ、実際には、業績はマイナスということになってしまいます。
従って、企業というものは、前年と業績が同じであっても、どんどん経営が苦しくなってしまいます。
企業の経営というものは、「今のままでいいや」と社長が考えた瞬間、もう、減退に入ります。成長を志向しなければ、企業の経営は、維持できないのです。
多くの日本の中小企業が、成長をしてゆかないのは、ほとんどの場合、経営者である社長が、「食べていければいい」「今のままでいい」という発想に立って、行動をしていることに原因があります。
企業は、今のままでいい、と考えたら、今のままで維持できません。
成長を志向しなければ、維持できないのです。
このことを、中小企業の経営者の方は、よく、自覚をすることが肝要です。
2.成長をするために、経営者が採るべき発想
では、自分の会社が成長を続けるために、経営者である社長は、どのような発想をとる必要があるでしょうか?
企業が成長するというためには、二つの条件が揃う必要があります。
①既存の事業のマーケティング策が発展し続けられること
②既存事業のイノベーション策を編み出し続けること
③新規事業での売上を獲得すること
①既存の事業のマーケティング策が発展し続けられること
既存事業の売上とは、顧客平均単価×顧客数という式で成り立っています。
そして、顧客数とは、常連顧客数+新規顧客数―離脱顧客数という式で成り立っています。
企業の経営者が最も大切にすべきことは、常連顧客数の維持です。
これが、リピーター政策です。
リピーター政策の如何によって、常連顧客数―離脱顧客数の数値が決まってきます。
マーケティング政策の根本は、新規顧客の獲得の前の段階で、まず、常連顧客のリピート購買の維持上昇と、離脱顧客をできる限り喰いとめることにあります。
そして、このリピート政策が上手に機能している企業の場合、新規顧客獲得も、シナジー効果によって、上手く機能をはじめます。
リピート顧客の購買行動をみて、あるいは、リピート顧客の紹介を受けて、新規顧客が、増えるからです。
そして、リピーター政策の上に、新規顧客獲得のマーケティング政策が乗ってくることで、より多くの顧客数が獲得できるようになります。
②既存事業のイノベーション策を編み出し続けること
一方で、顧客を飽きさせないための商品改良、リピーターへのサービスなど、常連顧客を維持すること、離脱顧客を少しでも食い止めることをせずに、新規顧客だけを追求する策を打ち続けても、企業は成長しません。既存事業を守るためには、マーケティング策だけでは困難であり、既存事業それ自体に、イノベーションが不可欠です。
何故ならば、新規顧客になるポテンシャルが高い領域では、必ず競合が参入し、マーケットはレッドオーシャン化するからです。
レッドオーシャン化した成熟した市場では、既存商品で、新規の顧客を広告力や価格破壊力だけで集めても、企業は成長し、存続することはできないのです。
リピーター政策の基本は、既存の商品を買ってくれる顧客に、新たな商品の価値を提案し、買い続けてもらうことです。
そのため、経営者には、自分の商品や、顧客のニーズを、全く新たな視点で観察し、新しい価値に自己改革を続ける行動が不可欠となります。
③新規事業での売上を獲得すること
さて、①②の行動は、企業が現在の既存事業の売上を減らさずに存続するためのものです。
しかし、現在、企業を取り囲む外部環境は流動的であり、不安定です。そして、そのため、企業は新たな参入先を目指して行動しています。仮に、自社を取り囲む環境が安定的で利益が出せるビジネスモデルを持っていたとしても、よほどの高い参入障壁を持っていない限り、競合がどんどん参入してきます。
従って、①の守りの行動だけでは、企業は、存続すらできません。
②を加えることによって、企業は存続かできますが、成長することはできません。
企業が成長を遂げるためには、既存事業とシナジーを持つ事業、自社の強みを活かせる事業に向けて新規事業を打ち出してゆくことが必要です。
新規事業の打ち出しには、経営者は、広い視野を持って、事業機会の創出をし続けなければなりません。
3.エスノグラフィー(参与観察)とは?
②と③の活動のために必要なのは、経営者には、広い視野、あるいは全く新たな視点で、市場を観察し、新しい価値に自己改革を続ける行動です。
このような行動を導く手法の一つが、エスノグラフィー(参与観察)です。
エスノグラフィーとは、未知なるものを受け入れるための方法論のことです。
自分がこれまで持ってきた視点や、とってきた行動から、未知なる領域の視点や行動に移行するためには、どうするか、ということです。
既存事業のイノベーションを生み出し、新規事業を生み出すためには、自分の既成の視点や殻を破る必要があります。
エスノグラフィーは、まず、子供のような好奇心をもって、対象から学ぶことから出発します。統計データーなどを使った分析は、あくまでも、過去の既成の対象を分析しているだけですから、エスノグラフィーの対極に位置する見方です。
このような方法から脱却し、好奇心をもって、あらゆる対象や社会事象をみて行きます。
そのうえで、目にしたものを体系化し、パターンを探してゆきます。
4.成長する社長は、好奇心が旺盛
実際、経営の現場で成長する社長は、データー分析を好むコンサルのような発想に立っていません。
経営コンサルタントの僕は、データー収集や分析は勿論得意ですが、イノベーションや新規事業の発想には、経営コンサルタント的な自分の視点を捨てて、アントレプレナーシップに満ちた成長企業の経営者の視点に立ちます。
過去の経験則や成功体験は、勿論、経営には役立つ場面もあり、データー分析やそれを基本にしたロジカルシンキングも、経営者の重要な思考法の一つです。
しかし、イノベーションや新規事業の立案には、過去の経験則の逆張りの発想や、非常識な発想が求められることが多く、経営コンサルタント的な視点が、邪魔になることが多いのです。
僕のように、金融系経営コンサルタントとして、過去、様々な経営指導経験や分析を積んできた人間でも、その自分を否定して、子供のような視点に帰ることが求められるのです。
経営の現場というものは、教科書やデーター分析では、答がでないことが多々あります。
僕が、自分の経営コンサルタントとしての殻を破って、成長するビジネスアイデアやイノベーションを創出するとき、用いる方法論が、エスノグラフィーなのです。
5.未知なる領域を楽しめ
成長できる企業の経営者の共通の特徴は、好奇心が旺盛で、子供のような純真さを持っていることです。
周囲に目を凝らし、様々なヒトの話に耳を傾け、問を投げかけ、そして、「相手の身になって考える」ことができます。
反対に、自分の過去の成功体験にしがみつき、周囲の新しい情報やヒトの話を聞こうとしない経営者は、過去の遺産を食いつぶす「下り坂」に入っています。
時代の流れや、外部環境の変化、お客様のニーズなどは、「見えないもの」「未知なるもの」です。しかし、見えないものや、未知なるものが、ないわけではありません。
それにしっかり目を凝らし、耳を傾け、えられた情報をベースに自分のアタマで考えること。
これが、エスノグラフィーが教える方法論です。
経営者が、これを身に着けることが成長への重要な基本的な資質となります。
続く
松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
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