店員から暴行を受けた|被害届と損害賠償
キャストや店から「被害届を出す」と言われると、何から手を付ければよいのか分からなくなる方が少なくありません。弁護士に相談しようと考えても、何を持って行けばよいのか、どこまで話せばよいのかが分からず、相談をためらってしまうこともあるでしょう。この記事では、被害届を出すと告げられた風俗トラブルについて、相談の前に揃えておきたい資料と、自分で作っておきたい整理メモの項目を、チェックリストの形でまとめます。
この記事は、2023年7月施行の刑法改正(不同意性交等罪・不同意わいせつ罪の新設)と、同時期に施行された性的姿態撮影等処罰法を前提に記載しています。個別の事情によって取るべき対応は異なりますので、具体的な判断は弁護士にご相談ください。
「被害届を出す」と言われた段階で、まず分けておきたいこと
相談の準備に入る前に、いま自分がどの段階にいるのかを分けておくと、集める資料の優先順位が見えやすくなります。同じ「被害届」という言葉でも、まだ出されていないのか、すでに出されたと聞かされているのか、警察から実際に連絡が来ているのかで、急ぐべき点が変わるためです。
また、誰がその言葉を口にしたのかも分けておきたい点です。キャスト本人が言ったのか、店の担当者が言ったのか、キャストの知人を名乗る人物なのかによって、話し合いの相手や確かめるべき事項が異なります。金銭の支払いを求める話と一緒に「被害届」という言葉が出ているのかどうかも、後の対応を考えるうえで大切な事情です。
| 段階 | 主な状況 | 相談で特に確認したいこと |
|---|---|---|
| 告げられただけ | 店やキャストから「被害届を出す」と言われたが、警察からの連絡はない | 請求の有無と内容、相手方の連絡先、書面への署名の有無 |
| 出したと聞かされた | 「もう被害届を出した」と言われた | その話の出どころ、警察からの連絡の有無、示談の申入れの可否 |
| 警察から連絡があった | 警察署から電話や呼出しがあった | 連絡してきた警察署と担当者、呼出しの日時、事情聴取への備え |
なお、「被害届を出した」という話が本当かどうかを、自分で警察に問い合わせて確かめようとする方もいます。ただ、警察は捜査の状況を外部に答えないのが通常であり、問い合わせたことで自分の側の情報だけが先に伝わることもあります。確かめ方も含めて、弁護士に相談してから決める方が安全です。
被害届が出されると何が起きるのかを、簡単に押さえておく
被害届は、被害を受けたと考える人が、その事実を警察に申告する書面です。被害届が出されたからといって、直ちに逮捕されるとは限りません。警察は申告の内容をもとに、関係者からの聴取や資料の確認を進め、事件として扱うかどうかを判断していきます。被害届とは別に、処罰を求める意思を明確に示す「告訴」という手続もあります。
風俗の場面で問題とされやすい不同意性交等罪や不同意わいせつ罪、盗撮に関わる性的姿態撮影等の罪は、いずれも被害者の告訴がなくても捜査や起訴ができる罪とされています。そのため、話し合いがまとまったかどうかにかかわらず、手続が進むことはあり得ます。一方で、被害者との示談が成立しているかどうかは、検察官が処分を決める際に考慮される事情の一つです。資料を揃えておくことは、こうした見通しを弁護士と検討するための土台になります。
相談前に揃えたい資料
資料は、利用の記録、相手方とのやり取り、書面や支払いの記録、警察とのやり取りの4つに分けて集めると、抜けが出にくくなります。手元にないものを無理に集める必要はありません。あるものを消さずに残しておくことが、最初の準備になります。
利用と予約の記録
店の名前や利用した日時が分かる資料は、事実関係を整理する出発点です。予約の際のメールやSMS、店のサイトの予約画面、利用したホテルの領収書などがこれにあたります。
- 店の名前、所在地、サイトのURLが分かる画面。
- 予約の日時、コース、指名したキャストの名前が分かるメールやSMS。
- 支払った利用料金の領収書やカード利用の明細。
- 利用したホテルや自宅の場所、入退室の時刻が分かる記録。
相手方とのやり取り
「被害届を出す」と言われた経緯を示す資料です。電話の着信履歴、SMSやLINEのメッセージ、留守番電話の録音など、相手方から届いたものはそのまま残しておきます。会話を録音していた場合は、録音の日時と相手が分かるようにしておくと役立ちます。
録音がない場合でも、言われた言葉をできるだけそのまま書き留めたメモには意味があります。時間が経つほど記憶はあいまいになりますので、思い出せるうちに書いておくことが大切です。
書かされた書面・渡したもの・支払った記録
その場で念書や誓約書、示談書に署名した場合、その写しや写真は重要な資料です。写しを受け取っていない場合でも、書面の題名、書かれていた金額、署名した場所と時刻などを覚えている範囲で書き出しておきます。
身分証や免許証を撮影されたり預けさせられたりした場合、スマホの中身を見せた場合、その場で現金を渡した場合なども、何をいつ誰に渡したのかを記録しておきたい事項です。振込をした場合は、振込先の口座名義や振込の控えを残しておきます。
警察とのやり取り
警察から連絡があった場合は、警察署の名前、担当者の名前と部署、連絡のあった日時、伝えられた内容を記録します。呼出しの日時が決まっている場合は、その日程も相談の際に必ずお伝えください。日程によっては、相談の進め方そのものが変わることがあります。
自分で作っておきたい整理メモの項目
資料とは別に、自分の言葉で経緯をまとめた整理メモがあると、相談の時間を事実の確認ではなく対応の検討に使いやすくなります。きれいな文章にする必要はなく、時系列で短く書き並べる形で十分です。
- 利用した日時、店の名前、キャストの名前。
- 利用中に起きたことと、自分が覚えている範囲の具体的な状況。
- トラブルになったきっかけと、その直後に誰が何と言ったか。
- 「被害届を出す」と言われた日時、言った人物、そのときの言葉。
- 金銭の請求があった場合の金額、支払期限、支払方法。
- 署名した書面、渡したもの、撮影されたものの内容。
- その後の連絡の回数と方法、警察からの連絡の有無。
- 自分が心配していること(家族・勤務先への影響など)と、望む解決の形。
整理メモで気をつけたいのは、「覚えていること」と「相手から言われたこと」を分けて書くことです。相手方の主張と自分の認識が食い違っている場合、その違いがどこにあるのかが、相談の中で最も検討の対象になりやすい部分です。自分の認識を相手の言い分に合わせて書き換えてしまうと、後から事実関係を整理し直すのが難しくなるおそれがあります。
反対に、自分に不利に思える事情も書き落とさないようにしてください。弁護士には守秘義務があり、相談の内容が外部に伝わることはありません。不利な事情を含めて把握できているほど、見通しを立てやすくなります。
資料を揃えるときに避けたいこと
準備のつもりで取った行動が、かえって状況を複雑にしてしまうことがあります。次のような行動は、相談の前には控えておく方がよいでしょう。
- 相手方とのメッセージや着信履歴を、気まずさから削除すること。
- 事実を確かめようとして、キャスト本人に個人的に連絡を取ること。
- 相手方に求められるまま、謝罪文や経緯を書いた文章を送ること。
- 「これで終わりにする」との口約束だけを頼りに、追加の支払いに応じること。
- 整理メモを後から書き直し、最初に書いたものを残さないこと。
特に、キャスト本人への直接の連絡は、意図とは関係なく、相手方への働きかけと受け取られることがあります。被害届に関わる状況では、相手方との連絡は弁護士を通す方が落ち着いて進めやすくなります。
相談前チェックリスト
ここまでの内容を、相談の前に確認しやすいチェックリストにまとめます。すべてが揃っていなくても相談は可能ですので、手元にあるものから確かめてください。
- いまの段階(告げられただけ・出したと聞かされた・警察から連絡があった)の確認。
- 「被害届」という言葉を口にした人物と日時の記録。
- 店の名前、利用日時、キャストの名前が分かる資料。
- 相手方からのSMS・LINE・着信履歴の保存。
- 会話の録音、または言われた言葉のメモ。
- 署名した書面の写し、写真、または内容を書き出したメモ。
- 渡したもの、撮影されたもの、支払った金額の記録。
- 警察からの連絡の有無と、連絡があった場合の警察署・担当者・日時。
- 時系列の整理メモ(自分の認識と相手の言い分を分けたもの)。
- 心配していることと、望む解決の形のメモ。
資料が揃っていなくても、早めに相談できます
「資料が十分に揃ってから相談しよう」と考えて時間が過ぎてしまうことは、できれば避けたいところです。被害届に関わる状況では、相手方との話し合いの進み具合や、警察からの連絡の時期によって、選べる手立てが変わることがあります。
録音や書面の写しがない場合でも、整理メモと手元の履歴があれば、相談を始めることはできます。何が足りないのか、どの資料を優先して残すべきかは、相談の中で一緒に確認していけば十分です。
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「被害届を出す」と言われた直後は、相手方の言葉に押されて、その場で判断を求められているように感じることがあります。それでも、手元の記録を消さずに残し、自分の認識を書き留めておくだけで、相談の場で検討できることは大きく広がります。不安な状況が続いている方は、資料が揃うのを待たずにご相談ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


