【風俗トラブル】昔利用した店の女性から、別の名前で連絡が来たら?
担当ホストから「店を移ることになったから、次の店にも来てほしい」と言われ、移籍先に通うようになった後で、前の店から売掛の支払いや「違約金」を求める連絡が届くことがあります。前の店に払うべきなのか、担当に払えば済むのか、そもそも払う必要があるのかが分からず、不安なまま連絡に応じてしまう方も少なくありません。この記事では、担当の移籍をきっかけに前の店から請求を受けたときに、請求の中身をどう分けて考えるか、支払う前に何を確かめるか、弁護士に相談すると何ができるかを順に整理します。
この記事は、2025年6月28日に施行された改正風営法(悪質ホストクラブ対策)と、2020年4月施行の改正民法(消滅時効)の内容を前提に、2026年11月時点の情報で作成しています。個別の事情によって結論が変わることがありますので、具体的な判断は専門家にご相談ください。
担当の移籍をきっかけに起きやすい請求
ホストクラブでは、ホストが別の店に移ることを「移籍」と呼び、担当ホストが指名客に移籍先への来店を頼むことは珍しくありません。業界では、移籍の際に前の店に残っている売掛を清算してから移るのが通常の扱いとされていますが、清算が済まないまま移籍し、後になって前の店と担当、客の三者の間でお金の行き先が問題になることがあります。
弁護士ドットコムにも、売掛をした店がすでに閉店し、担当ホストは別の店に移っていて、本人に直接渡すよう求められているという相談や、何年も前の売掛について、立て替えたホストの代理人を名乗る人から支払いを求められたという相談が寄せられています。移籍が絡む請求は、誰が、何の名目で、いくらを求めているのかが分かりにくくなりやすいのが特徴です。
前の店からの請求を3つに分けて考える
前の店で飲食した分の売掛
前の店で実際に飲食をし、その代金を後払いにしていた分は、ご自身の飲食代金ですので、原則として支払う義務がある部分です。ただし、金額が注文の内容と合っているか、頼んでいない飲食が含まれていないか、すでに一部を払った分が差し引かれているかは、明細で確かめる必要があります。
担当ホスト自身が前の店に負っているお金
担当が店から前借りをしていた、罰金や「飛び」の清算金を求められている、といった担当個人と店との間のお金は、客が負担するものではありません。前の店から「担当が払わずに辞めたので代わりに払ってほしい」と言われても、ご自身がその債務を引き受ける約束をしていない限り、支払う理由はないと考えられます。
「担当について行った」ことへの違約金や罰金
「客を他店に連れて行かれた損害」「担当を替えずに他店に行ったことへの罰金」といった名目の請求は、客の側に支払いの根拠が見当たらないことが多い類型です。仮に前の店で誓約書などに署名していたとしても、内容によっては消費者契約法や公序良俗の観点から効力が争われる余地があります。
| 請求の名目 | 考え方の目安 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 前の店での飲食代(売掛) | 原則として支払う義務がある部分 | 明細・既払い分・注文していない飲食の有無 |
| 担当ホストが店に負う借金・罰金 | 客が負担する理由は通常ない | 自分が引き受ける約束をしたかどうか |
| 移籍に伴う違約金・罰金 | 根拠が乏しいことが多い | 誓約書の有無と、その文言 |
誰に払うべき売掛なのかを確かめる
ホストクラブの売掛には、店が客に直接請求するものと、担当ホストがいったん店に代金を立て替えて、後から客に請求するものがあります。どちらの形かによって、支払う相手が変わります。
担当がすでに前の店に立て替えて払っていれば、前の店が客に同じ金額を請求する根拠はなくなり、請求できるのは立て替えた担当ということになります。反対に、担当が立て替えをしないまま移籍していれば、請求する権利は前の店に残っています。この確認をしないまま、移籍先で担当に「前の店の分も俺に払えばいい」と言われて渡してしまうと、前の店から改めて請求され、二重に払う結果になるおそれがあります。
また、移籍先の店で「前の店の分もまとめておく」として新しい借用書や伝票への署名を求められることがあります。前の店の売掛を移籍先や担当への新しい借金に組み替える書面になっていることがあり、署名すると後から争いにくくなる場合がありますので、内容を確かめる前の署名は控えたほうがよいでしょう。
支払いや返事をする前に確かめておきたいこと
- 請求しているのが前の店なのか、担当個人なのか、代理人なのか。
- 請求額の内訳と、飲食した日付ごとの明細。
- すでに支払った分が差し引かれているかどうか。
- 担当が前の店に立て替えて払っているかどうか。
- 前の店や移籍先で署名した書面があるか、その控えが手元にあるか。
- 支払先が店の口座か、個人名義の口座か。
明細を求めても出てこない、口頭で金額が変わる、支払期限だけを強く迫られる、といった場合は、すぐに払わずにいったん立ち止まることをおすすめします。支払うことになった場合でも、受領を確認できる形で払い、領収書や振込の記録を残しておくことが大切です。
改正風営法で禁じられた取立てや要求
2025年6月28日に施行された改正風営法では、ホストクラブなどの接待飲食営業について、客の恋愛感情などにつけ込んで飲食を求めること、料金について事実と違う説明をすること、注文していない飲食を提供すること、売掛の支払いのために売春や性風俗店での勤務などを求めることなどが禁止されました。売掛の支払いを迫る際に威圧的な言動をとることも規制の対象とされています。
「移籍先にも来てくれないと困る」と恋愛感情を利用して来店を促され、移籍先でも売掛が膨らんだ場合や、前の店の売掛を理由に働き先を紹介された場合には、こうした規制との関係も含めて整理する必要があります。改正の全体像は【2025年6月施行】改正風営法で何が変わったか|色恋営業と売掛金の規制、取立ての場面については【風俗トラブル】売掛の取立てで威迫された|22条の2と刑事罰が使える場面と【風俗トラブル】『売掛を返すために働け』と言われた|53条2項が正面から禁じた要求で解説しています。
なお、風営法上の禁止に違反したことから、ただちに売掛の支払義務がなくなるわけではありません。払う必要のある売掛かどうかの見分け方は【風俗トラブル・ホストクラブ】ホストクラブの売掛を請求された|改正後に『払う必要のある売掛』を見分けるをご覧ください。
時間が経ってから請求されたとき
担当の移籍から時間が経ち、前の店との連絡が途絶えた後で、急に書面が届くこともあります。飲食代金は、以前は1年で時効にかかるとされていましたが、2020年4月1日施行の改正民法で短期の時効は廃止され、それ以降に生じた売掛は、原則として請求できることを知った時から5年で時効にかかります。いつの売掛か、途中で一部を払ったり支払いを約束したりしていないかによって扱いが変わりますので、「何年も前だから払わなくてよい」と自己判断せずに確認することが大切です。時効の考え方は風俗トラブルの時効早見表|公訴時効と民事の消滅時効はいつ終わるのかで整理しています。
家族や勤務先に知らせると言われたとき
前の店から「払わないなら家族に連絡する」「職場に行く」と言われることがあります。正当な売掛の請求であっても、支払わせるために家族や勤務先に知らせることを告げて迫る行為は、内容によっては恐喝や脅迫として扱われる場合があります。言われた内容は、日時とともにメッセージの画面や録音で残しておきましょう。請求が脅しに変わる線引きは店の請求が恐喝に変わる線引き|正当な権利行使との境界、家族に知られずに進める工夫は家族に知られずに解決できるか|連絡方法・書面の送付先の設計で取り上げています。
身の危険を感じる場面では、ためらわずに警察に相談してください。緊急でない相談は警察相談専用電話(#9110)、契約や料金に関する相談は消費者ホットライン(188)も利用できます。
弁護士に相談すると何ができるか
弁護士にご依頼いただくと、前の店や担当、代理人からの連絡の窓口を弁護士に切り替え、ご本人が直接やり取りしなくて済むようにすることができます。そのうえで、請求の内訳と根拠となる書面の開示を求め、支払う必要のある部分と、支払う理由のない部分とを切り分けて交渉します。
前の店と担当の双方から請求されているような場合には、誰に対する債務なのかを確定させたうえで、二重払いにならない形で清算の条件を決め、支払いが済んだ後に追加の請求が来ないよう合意書にまとめることも検討します。受任後の相手方との関係の変化については受任通知とは何か|送られると相手方との関係はどう変わるかで説明しています。
よくあるご質問
担当に「前の店の分は俺が払っておいた」と言われました。前の店からの請求は無視してよいですか?
担当が本当に立て替えて払っていれば、前の店からの請求には応じる必要がないと考えられますが、担当の説明だけでは確認ができません。前の店に支払い済みかどうかを問い合わせる、担当に支払いの記録を見せてもらうなど、記録で確かめてから対応を決めるのが安全です。
前の店に行かなくなったのは担当が辞めたからです。それでも請求に応じる必要はありますか?
来店しなくなった理由にかかわらず、前の店で実際に飲食した分の代金は、原則として支払う義務が残ります。一方で、担当について行ったこと自体を理由とする違約金や、担当個人の借金の肩代わりは、通常は支払う理由がありません。
移籍先の店でも売掛があります。前の店の分とまとめて相談できますか?
前の店と移籍先の店の両方について、まとめてご相談いただけます。どちらの店にいくら、どの名目で求められているのかを一覧にし、支払いの優先順位や交渉の進め方を一緒に整理します。
担当の移籍が絡む請求は、前の店、担当、移籍先の三者の関係が入り組み、ご本人だけで正しい支払先を見極めるのが難しいことがあります。手元の明細やメッセージ、署名した書面を捨てずに残し、払う前にご相談いただくことで、二重払いや根拠のない支払いを避けやすくなります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


