【風俗トラブル】「女の子が被害届を出した」と言われたが、本当か確かめる方法はある?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

本記事は2026年11月時点の法令に基づいています。2023年7月施行の刑法改正(不同意性交等罪・不同意わいせつ罪)と、2025年6月施行の拘禁刑の導入を反映しています。


風俗店を利用した後、店の担当者から「女の子が被害届を出した」「もう警察に届けてある」と告げられ、示談金の支払いを求められるというご相談があります。言われたことが本当なのか、それとも支払いを急がせるための言葉なのか、確かめたいと考えるのは自然なことです。

 ただ、被害届が出ているかどうかを利用者の側から確実に知る方法は、実際には限られています。本記事では、確かめる手段にどこまでの見込みがあるのかと、確かめられないまま何を整えておけばよいのかを整理します。

「相談」「被害届」「告訴」は別のもの

 店側の言葉には、警察との関わり方が区別されないまま伝えられていることがあります。まずは、それぞれの意味を確認しておきます。

言葉内容手続上の位置づけ
警察への相談被害に遭ったかもしれないと警察に話し、助言を受けることそれだけで捜査が始まるとは限らない
被害届犯罪の被害に遭った事実を警察に申告する書面捜査のきっかけになるが、処罰を求める意思表示までは含まない
告訴犯罪の事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示受理した警察は書類などを検察官に送付する(刑事訴訟法242条)


 警察は、犯罪による被害の届出を受理しなければならないとされています(犯罪捜査規範61条)。申告の内容が犯罪に当たりうるものであれば、被害届は受理されるという前提で考えておくのが無難です。

 一方で、警察に相談しただけの段階を、店側が「被害届を出した」と言い換えている場合もあります。言葉どおりに受け止める前に、どの段階の話なのかを分けて考えることが出発点になります。警察への相談を告げられた場面については、【風俗トラブル】キャストが警察に相談したと聞かされた|本当かどうか確かめる方法はあるかでも解説しています。

警察に問い合わせても、はっきりした答えは得にくい

 被害届は警察に出されるものなので、警察に聞けば分かるのではないかと考える方は少なくありません。しかし、この方法で確かな答えを得られることはあまり多くありません。

利用者本人が問い合わせた場合

 被害届が出ているかどうかは捜査にかかわる情報のため、警察は明確な回答をしないことが多いとされています。電話で尋ねても「お答えできません」「必要があればこちらから連絡します」といった応対になるのが一般的です。

弁護士が問い合わせた場合

 弁護士からの問い合わせであっても、警察が被害届の有無を明かさない扱いは基本的に変わりません。応対の様子から状況を推し量れることはありますが、確かな答えが得られるとは考えないほうがよいでしょう。

問い合わせることで生じること

 警察に尋ねるときは、自分の氏名や利用した日時、店名などを伝えることになります。被害届が出ていなかったとしても、自分から事情を申し出た形になる面があります。問い合わせるかどうか、問い合わせるなら何をどこまで話すかは、事前に弁護士と相談して決めることをおすすめします。

店やキャストに確かめるときの注意

 警察が答えない以上、残る手段は「被害届を出した」と言っている側に確かめることです。店やキャストは捜査上の秘密を守る立場にはないため、具体的な説明を求めること自体は考えられます。ただし、相手が本当のことを話すとは限らず、確かめ方を誤ると状況が悪くなるおそれもあります。

  • キャスト本人に直接連絡を取ると、被害届が出ていた場合に、被害者への働きかけと受け取られるおそれがあります。
  • 「どこの警察署に、いつ出したのか」を尋ねることはできますが、答えが返ってきても、それだけで提出の事実が確かめられるわけではありません。
  • 受理番号を告げられた場合も、その番号を手がかりに警察へ照会して、回答が得られるとは限りません。
  • やり取りを重ねるうちに説明が変わっていないか、金額が増えていないかを記録しておくことが役立ちます。


 店側から「疑うなら警察に聞けばいい」と言われることもありますが、先に述べたとおり警察から明確な答えは得にくいため、その言葉自体は判断の材料になりにくいといえます。また、「払わなければ被害届を出す」「家族や勤務先に知らせる」と告げて金銭を求める行為は、要求の仕方によっては恐喝(刑法249条)として問題になることもあります。

本当に被害届が出ていれば、どのような形で分かるのか

 被害届が受理され、警察が捜査を進めると判断した場合、利用者の側にも何らかの動きとして現れてくるのが一般的です。

  • 警察から電話や書面で連絡があり、任意で事情を聞きたいと求められることがあります。
  • 事案によっては、事前の連絡がないまま逮捕に至ることもあります。
  • 弁護人が捜査機関を通じて示談を申し入れると、捜査機関が被害者の意向を確かめたうえで連絡先を伝えるかどうかが決まります。


 弁護人を通じた示談の申入れの過程で、捜査機関に事件の記録があるかどうかが間接的に見えてくることもあります。ただし、捜査機関がどの段階で何を伝えるかは事案によって異なり、必ず分かるというものではありません。

 警察から連絡が来るまでの期間に決まった目安はなく、利用から数週間、数か月たってから連絡が来ることもあります。連絡がないことだけで、被害届が出ていないと判断することもできません。受理された後の流れについては、【風俗トラブル】被害届が受理されたと言われた|その後の流れと呼び出しまでの期間で解説しています。

確かめられないまま、支払いを急がない

 「被害届を出した」という言葉は、「示談に応じれば取り下げる」という申し出とあわせて伝えられることが少なくありません。ここで注意したいのは、被害届が出ているかどうか分からない状態で、取下げを条件にした支払いに応じることの危うさです。

取下げで手続が終わるとは限らない

 不同意性交等罪(刑法177条)や不同意わいせつ罪(刑法176条)は、被害者の告訴がなくても起訴できる罪です。被害届が取り下げられても、捜査機関がそれだけで捜査を終えるとは限りません。示談の意味は、被害者が処罰を望まない意思(宥恕)を書面で明らかにし、処分を判断する際に考慮してもらう点にあります。

示談の相手が被害を受けた本人かどうか

 店の担当者や知人を名乗る人物との間で金銭のやり取りをしても、キャスト本人の意思が確認できなければ、本人による宥恕や被害届の取下げにつながらないおそれがあります。支払った後に事情が変わった場面については、【風俗トラブル】示談金を払ったのに被害届を出された|合意の効果と刑事手続と【風俗トラブル】支払った後に相手が別人だと分かった|本人確認をしない示談の危うさもご参照ください。

示談書に残しておきたい内容

 示談をするのであれば、被害届が出ているかどうかにかかわらず書面の内容を整えておくことが大切です。被害届を出している場合は取り下げること、出していない場合は今後出さないこと、処罰を求めないこと、示談金のほかに請求しないことなどを明記しておくと、後日の紛争を防ぎやすくなります。条項の考え方は風俗トラブルの示談書に必ず入れる6条項|抜けると後で効かないで整理しています。

この段階で整えておきたいこと


  1. 利用した日時、店名、キャストの名前、利用した場所を書き出しておくこと。
  2. 店やキャストとのやり取り(着信履歴・メッセージ・録音)を消さずに保存しておくこと。
  3. 署名した書面や預けた身分証があれば、その内容を控えておくこと。
  4. 請求額や支払期限を一方的に告げられても、その場で約束しないこと。
  5. キャスト本人や警察への連絡は、弁護士と方針を決めてから行うこと。


 当日の出来事について、自分の記憶と店側の説明が食い違う場合もあります。覚えていることを早めに書き留めておくことは、示談を進める場合にも、警察から事情を聞かれた場合にも役立ちます。店との交渉の窓口をどうするかは、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情を参考にしてください。

よくあるご質問


被害届が出ていなければ、何もしなくてよいのですか

 現時点で出ていなくても、今後出される可能性は残ります。店からの連絡を放置していると、請求の口調が強まったり、相手が警察に相談したりすることもあります。被害届の有無にかかわらず、請求の中身と当日の事実を整理しておくことが大切です。

身に覚えがないのに「被害届を出した」と言われました

 思い当たることがない場合でも、相手の言い分をその場で否定し続けたり、反論のために相手と長くやり取りしたりすることは避けたほうがよいでしょう。当日の経過を時系列で書き出し、店とのやり取りを保存したうえで、どのように応じるかを弁護士と検討することをおすすめします。事実と異なる内容で支払いを約束してしまうと、後から争う際の妨げになることがあります。

自分から警察署に行けば、確かめられますか

 自ら警察署に出向いて事情を話すことは、状況によっては処分の判断で考慮される場合もありますが、話した内容はそのまま記録に残ります。何をどのように話すかを含め、事前に弁護士と相談したうえで判断することをおすすめします。

弁護士に依頼すれば、被害届が出ているか分かりますか

 弁護士からの問い合わせでも、警察が被害届の有無を明かすことは基本的にありません。弁護士にご依頼いただく意味は、確認そのものよりも、店との窓口を代わり、示談の相手や条件を確かめながら交渉を進められる点にあります。

確かめられない不安を一人で抱え込まないために

 「被害届を出した」と言われたとき、その真偽を確かめることにこだわるほど、相手との直接のやり取りが増え、かえって状況が複雑になることがあります。大切なのは、被害届が出ていても出ていなくても困らないように、事実の整理と記録の保存を進め、支払いや連絡の判断を急がないことです。弁護士法人若井綜合法律事務所では、店との窓口を代わり、請求の内容と示談の相手を確かめながら対応を進めています。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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