【解決事例】キャストに無断録音が発覚し70万円の示談書を書かされた男性が、弁護士の交渉で10万円に減額した事例
この記事では、デリヘルなどを利用した後に、ラブホテルやビジネスホテルなどの宿泊施設から、利用した客が直接、清掃費や休業補償を求められた場面を取り上げます。店やキャストから請求を受けた場合の考え方は、文中の関連記事もあわせてご覧ください。
デリヘルなどを利用した後、ホテルから「部屋がひどく汚れていた」「シーツやマットレスを交換した」「しばらく部屋を使えなかった」と連絡があり、清掃費や交換費用に加えて休業補償まで求められることがあります。利用の事情を人に話しにくいこともあり、示された金額をそのまま払ってしまう方も少なくありません。
結論からお伝えすると、利用者の不注意などで通常の清掃を超える汚れや破損が生じた場合には、実際にかかった費用の範囲で負担を求められることがあります。ただし、ホテルが示した金額がすべてそのまま認められるわけではありません。特に休業補償は、部屋を使えなかったことで実際に売上が減ったといえるかどうかが問われるため、根拠を確かめる余地が大きい項目です。この記事では、請求の法的な位置づけ、項目ごとの見方、連絡を受けたときの進め方を順に整理します。
ホテルが利用者に費用を求める法的な根拠
ホテルを利用すると、利用者とホテルとの間には宿泊契約(休憩利用を含みます)が成立します。多くのホテルの約款や利用規約には、利用者の故意や過失によってホテルに損害を与えたときは賠償する、という趣旨の定めが置かれています。この定めや、民法の債務不履行(民法415条)・不法行為(民法709条)の考え方から、利用者の不注意で部屋や備品を汚したり壊したりした場合には、損害を賠償する責任が生じることがあります。
気をつけたいのは、部屋を汚したのが自分ではなくキャストだった場合です。ホテルとの契約の当事者は部屋を借りた利用者であるため、契約上は、自分が招き入れた人の行為についても責任を問われる余地があります。また、ホテルによっては宿泊者以外の入室そのものを約款で禁じていることがあり、その場合は汚損とは別に、契約違反として扱われる可能性もあります。
一方で、通常の利用で生じる汚れを落とすための清掃は、利用料金に含まれていると考えるのが一般的です。請求を受けたときは、まず「通常の清掃の範囲を超える汚れや破損が本当にあったのか」を出発点に考えます。
請求される項目ごとの見方
| 請求項目 | 負担を求められやすい場面 | 確かめたい点 |
|---|---|---|
| 特別清掃費 | 通常の清掃では落ちない汚れがあり、業者への依頼や追加の作業が必要になった場合 | 作業の内容と時間、業者の見積書や請求書があるか |
| リネン・マットレスなどの交換費 | 洗っても使えない状態になり、交換が必要になった場合 | 本当に交換が必要だったか、交換した物の購入時期と使用年数 |
| 備品の修理費 | 設備や備品が壊れ、修理が必要になった場合 | 破損した時期と原因、修理見積りの内容 |
| 休業補償(営業損害) | 部屋を使えない期間に、実際に客を受けられず売上が減った場合 | 使えなかった期間、その間の稼働状況、ほかの空室で対応できなかったか |
清掃費・交換費は「実費」が基本
清掃費や交換費として求められるのは、原則として実際にかかった費用です。ホテル側が見積書や業者の請求書を示せない場合や、作業内容に比べて金額が大きいと感じる場合には、内訳の説明を求めることができます。
マットレスやソファなどを交換した場合でも、すでに何年も使っていた物であれば、新品の購入代金がそのまま損害になるとは限りません。使用年数に応じて価値が下がっている分を考慮すべきだという考え方は、金額の交渉でよく用いられます。
休業補償は根拠を確かめる余地が大きい
休業補償は、汚れた部屋を清掃や修理のために使えなかった期間に、本来得られたはずの売上を補うという名目の請求です。民法では、賠償の対象になるのは通常生じる範囲の損害などに限られるとされており(民法416条)、部屋を使えなかったというだけで、当然に一定額が認められるわけではありません。
たとえば、清掃が数時間で終わった場合や、その時間帯にほかの空室が十分にあった場合には、実際に売上が減ったとはいいにくいことがあります。反対に、満室が続く時期に長く部屋を使えなかった事情があれば、一定の金額が認められる可能性もあります。いずれにしても、使えなかった期間と、その間の予約や稼働の状況をホテル側が具体的に示せるかどうかが分かれ目になります。
「汚損時は一律○万円」という定めがある場合
室内の案内や利用規約に「汚損した場合は清掃費として一律○万円」と書かれていることがあります。こうした定めは、損害賠償の額をあらかじめ決めておくもの(損害賠償額の予定)として扱われることがあります。ただ、実際に生じ得る損害と比べて著しく高い金額であれば、消費者契約法などの規定により、過大な部分の効力が問題になる余地があります。考え方の詳細は損害賠償額の予定(民法420条)は風俗の規約でも有効かで解説しています。
刑事事件になることはあるのか
うっかり汚してしまった、体調が急に悪くなって汚してしまったといった過失による汚損であれば、それだけで犯罪になることは通常ありません。費用の負担は、基本的に民事上の問題として話し合うことになります。
一方、わざと部屋を汚したり備品を壊したりした場合には、器物損壊罪(刑法261条)が問題になる余地があります。物を物理的に壊した場合に限らず、汚すことによってその物を使えない状態にした場合も含まれ得るとされています。故意を疑われるような説明を受けたときや、ホテルから「警察に届ける」と言われたときは、やり取りを進める前に一度弁護士に相談しておくと安心です。
ホテルから連絡を受けたときの進め方
- 汚れや破損の状況を写真で示してもらい、自分でも可能な範囲で記録を残します。
- 請求の内訳(清掃費・交換費・休業補償それぞれの金額と根拠)を、書面やメールで出してもらいます。
- その場で金額を確定させる書面への署名や、その場での支払いはいったん控え、内容を確かめる時間をもらいます。
- 作業の記録、業者の見積書、交換した物の購入時期、休業の期間と稼働状況など、金額の裏付けを確認します。
- 支払う場合は金額と支払方法を合意書にまとめ、これ以上の請求をしない旨の条項(清算条項)を入れてもらいます。
連絡が来るのは、チェックアウトから数時間後のこともあれば、数日から数週間たってからのこともあります。ホテルが加入している保険から修理費などが支払われた場合には、しばらくたってから保険会社やその代理人の弁護士から請求書が届くこともあります。時間がたってからの請求でも、まず内訳と根拠を確かめるという進め方は変わりません。利用時の状況をどう記録しておくかについては、【風俗トラブル】利用後に「規約違反だった」と言われた|利用時の記録を残しておくも参考になります。
会社名で予約していた場合や、連絡先を書いた場合には、ホテルからの連絡が勤務先や自宅に届くことを心配される方も多いでしょう。連絡の窓口を本人の携帯電話に限ってもらうよう頼む、弁護士に窓口を任せるといった方法で、事情を知られる範囲を抑えられることがあります。自宅への郵便が気になる場合は【風俗トラブル】配偶者宛てに郵便を送ると言われた|家族に届く前にできることもあわせてご覧ください。
店からも請求を受けている場合の整理
ホテルからの請求と同時に、店から「ホテルに迷惑をかけた」「キャストが嫌な思いをした」として、罰金や示談金を求められることもあります。この場合、ホテルとの関係(部屋の汚損による損害)と、店やキャストとの関係(利用時の行為をめぐる請求)は分けて整理する必要があります。同じ損害について、ホテルと店の両方に重ねて支払う理由はありません。
店から「ホテルへの弁償をこちらで立て替えた」と言われた場合も、実際にホテルへ支払ったのか、いくら支払ったのかを確かめないまま応じるのは避けたいところです。店との交渉の進め方は、【風俗トラブル】請求額が連絡のたびに増えていく|金額が動く請求への向き合い方や【風俗トラブル】店から届いた請求書面に「法的措置」と書いてある|本当に訴えられるのかで詳しく取り上げています。
保険が使えることもある
個人賠償責任保険(火災保険・自動車保険・クレジットカードなどに付いていることが多い補償)に加入している場合、他人の物を壊したり汚したりしたときの賠償が補償の対象になることがあります。ただし、ホテルの備品のように借りている物の損害は対象外とする契約もあり、補償の範囲は保険ごとに異なります。また、家族名義の保険を使うと、手続の過程で家族に事情が伝わる可能性もあります。使えるかどうか、使うかどうかは、保険の約款を確かめたうえで判断するとよいでしょう。
弁護士に相談するメリット
ホテルからの請求は、店からの請求と比べると金額が小さいこともあり、「早く終わらせたい」という気持ちから、内訳を確かめずに支払ってしまいがちです。弁護士が間に入ることで、清掃費・交換費・休業補償のそれぞれについて根拠の提示を求め、実際の損害に見合った金額かどうかを落ち着いて検討できます。ホテルとのやり取りの窓口を弁護士に移せば、勤務先や家族に連絡が届く心配を抑えることにもつながります。
店からの請求が重なっている場合や、出張先・旅行先のホテルで起きた場合には、複数の相手方とのやり取りを並行して進める必要があります。自分で対応するか任せるかの判断は【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情、遠方での出来事については【風俗トラブル】出張先・旅行先の店でトラブル|東京に戻ってからの交渉もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
キャストが汚したのに、自分が払わなければならないのですか?
ホテルとの契約の当事者は部屋を借りた利用者であるため、ホテルから利用者に請求が来ること自体はあり得ます。ただ、汚した経緯によっては、利用者がホテルに支払った後に、店やキャストとの間で負担を調整できる場合もあります。まずはホテルへの支払いが必要な範囲を確かめ、そのうえで店との関係を整理するのが順序です。
チェックアウトのときは何も言われなかったのに、後から請求されました。払う必要はありますか?
清掃の段階で汚れや破損が見つかり、後日連絡が来ることは珍しくありません。後からの請求だから無効になるわけではありませんが、退室後にほかの利用者や従業員が出入りした可能性もあるため、いつ、どの状態で見つかったのかを写真や記録で確かめることが大切です。
示された金額をすでに払ってしまいました。取り戻せますか?
金額に納得して支払った場合、後から返してもらうのは簡単ではありません。ただ、強く迫られてその場で払わされた事情や、実際の損害を大きく超える金額だった事情があれば、返還を求める余地が残ることもあります。支払いの経緯を記録にまとめたうえでご相談ください。振込の直後であれば、【風俗トラブル】振り込んでしまった直後|振込を止められるか・取り戻せるかで取れる手段を整理しています。
ホテルから請求を受けたらご相談ください
ホテルから清掃費や休業補償を求められたときは、汚れや破損が通常の清掃を超えるものだったか、金額に裏付けがあるかを一つずつ確かめることで、負担すべき範囲が見えてきます。利用の事情を知られたくないという気持ちから一人で対応を急ぐ前に、請求の内容を一緒に整理するところから始めてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


