共有物・共同名義の物を持ち出した|「他人の物」といえるか
本記事は、2025年12月30日に施行された改正ストーカー規制法(職権による警告の創設など)を反映しています。個別の事案での見通しは、経緯や残っている記録によって異なります。
別れた後も、相手がどうしているのか気になってしまうのは自然なことです。直接連絡するのは控えているものの、共通の友人に「最近元気にしている?」と聞いてしまった、あるいは聞こうか迷っているという方もいらっしゃると思います。
共通の友人に元恋人の様子を一度尋ねたことだけで、直ちに処罰の対象になるわけではありません。ただし、聞き方や回数、聞いた内容の使い方によっては、ストーカー規制法の「つきまとい等」にあたると評価されたり、友人を通じたつきまといとして元恋人や友人が警察に相談したりすることがあります。
この記事では、共通の友人に元恋人の様子を聞く行為が法律の上でどのように評価され得るのか、問題とされやすい場面、すでに警察から連絡が来た場合の対応を整理します。
様子を聞くこと自体は、法律で列挙された行為ではありません
ストーカー規制法は、恋愛感情などの好意の感情や、それが満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的で行われる一定の行為を「つきまとい等」として定めています(同法2条1項)。つきまといや待ち伏せ、見張り、監視していると告げる行為、面会や交際の要求、拒まれた後の連続した電話やメッセージなどがこれにあたります。
共通の友人と雑談をする中で「あの人は元気?」と尋ねることは、これらの行為そのものではありません。友人のほうから近況を話してきた場合も同様です。
一方で、この法律は元恋人本人に対する行為だけでなく、その家族や「社会生活において密接な関係を有する者」に対する行為も対象にしています。共通の友人はこの「密接な関係を有する者」に含まれ得るため、友人への働きかけ方によっては、友人に対するつきまとい等として扱われる可能性があります。「友人に聞いただけだから元恋人とは関係ない」とは言い切れない点に注意が必要です。
問題とされやすい場面
聞いた内容を元恋人に伝える
友人から聞いた居場所や予定をもとに、元恋人に「昨日は〇〇にいたらしいね」「新しい職場に慣れた?」などと伝えると、その行動を監視していると思わせる事項を告げる行為(同法2条1項2号)にあたる可能性があります。本人に直接伝えなくても、SNSに書き込むなど、元恋人が知り得る状態に置くことも同じように評価されることがあります。
友人に伝言や仲介を頼む
「会いたいと伝えてほしい」「一度だけ話せる場を作ってほしい」と友人に頼むことは、友人を通じて元恋人に面会を求めていると受け止められることがあります。元恋人がすでに連絡を控えてほしいと伝えている場合には、直接の連絡を避けていても、友人を介した要求として問題にされる余地があります。
友人に繰り返し尋ねる・答えを迫る
友人が答えを渋っているのに何度も連絡したり、友人の自宅や職場に出向いて聞き出そうとしたりすると、友人に対するつきまとい等と評価される可能性があります。友人自身が負担を感じ、元恋人に相談したり警察に届け出たりする場面も考えられます。
弁護士ドットコムなどの法律相談サイトにも、交際を断った相手が自分の友人のもとを訪ねて居場所を聞いていたことに不安を感じているという相談や、元配偶者の友人をSNSでフォローしていたことをきっかけに警察から事情を聴かれたという相談が寄せられています。聞く側に悪意がなくても、相手や友人が不安を覚えれば、警察が事情を聴くことはあり得ます。
| 場面 | 問題になり得る点 | 考えられる対応 |
|---|---|---|
| 雑談の中で一度近況を尋ねた | 直ちに問題とされることは少ない | それ以上は聞かない |
| 居場所・勤務先・予定を具体的に尋ねた | 聞いた内容の使い方によっては見張りや監視の告知につながる | 具体的な情報は聞かない |
| 伝言や会う場の設定を頼んだ | 友人を介した面会の要求と受け止められることがある | 頼みごとを取り下げる |
| 断られた後も友人に尋ね続けた | 友人に対するつきまとい等と評価される可能性 | 友人への連絡を控える |
| 警告・禁止命令を受けた後に尋ねた | 違反を疑われ、より重い手続に進むおそれ | 速やかに弁護士に相談する |
評価を分けるポイント
同じように「様子を聞いた」という行為でも、法律上の位置づけは事情によって変わります。主に次のような点が見られます。
- 復縁を求める気持ちや、別れに納得できない気持ちから聞いているかどうか。
- 聞いた回数や頻度、聞いた期間の長さ。
- 居場所や勤務先、交際相手の有無など、どこまで具体的な情報を求めたか。
- 元恋人や友人が、連絡や詮索を控えてほしいと伝えていたかどうか。
- 聞いた内容を元恋人への連絡や接近に使ったかどうか。
- 警察から警告や禁止命令などを受けていたかどうか。
なお、つきまとい等にあたる行為を一度した段階では、直ちに処罰されるわけではなく、警察による警告や公安委員会による禁止命令の対象になるかどうかが問題になります。これを同じ相手に繰り返すと「ストーカー行為」として処罰の対象になり、法定刑は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金とされています。2025年12月30日からは、相手からの申出がなくても警察が職権で警告を行えるようになりました。
すでに警告や禁止命令を受けている場合
警察から警告を受けている場合や、公安委員会から禁止命令を受けている場合は、共通の友人に元恋人の様子を聞くことにも、より慎重になる必要があります。直接の連絡をやめていても、友人を通じて居場所を探ったり気持ちを伝えたりすれば、元恋人への働きかけを続けているとみられるおそれがあるためです。
とくに禁止命令に違反してストーカー行為をした場合には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金という、より重い法定刑が定められています。禁止命令の内容は一人ひとり異なりますので、どこまでの行為が禁じられているのかが分からない場合は、自分で判断せずに弁護士に確認することをおすすめします。
友人や警察から指摘を受けたときにすること
友人から「もう聞かないでほしい」と言われたり、警察から「友人を通じて探られていると相談があった」と連絡が来たりした場合は、次の点を意識して行動します。
- 元恋人の様子を尋ねることを、その時点でやめます。
- 友人に弁明や伝言を頼むことも控えます。
- 元恋人の自宅や勤務先、よく行く場所には近づかないようにします。
- 友人とのやり取りや自分が送ったメッセージは、削除せずに保存しておきます。
- 警察から呼び出しを受けた場合は、応じる前に弁護士に相談します。
友人とのやり取りを消してしまうと、実際にはどの程度の頻度で何を聞いていたのかを後から説明しにくくなります。聞いた回数が少なく、内容も近況の確認にとどまっていたことを示すためにも、記録は残しておくほうが安全です。
共通の友人との付き合い方
共通の友人との関係そのものを断つ必要はありません。ただ、元恋人との関係が終わった後しばらくは、友人を板挟みにしない付き合い方を意識することが、誤解を避けることにもつながります。
共通の友人は、元恋人とも自分とも付き合いを続けたいと考えていることが多く、どちらか一方の求めに応じ続けることは負担になりがちです。友人が困っている様子を見せたときは、それ以上頼まないことが、結果として自分を守ることにもなります。
- 元恋人の話題を自分から持ち出さないこと。
- 友人が話してきた近況にも、深く質問を重ねないこと。
- 居場所や勤務先、新しい交際相手について尋ねないこと。
- 元恋人への伝言や、会う場の設定を頼まないこと。
- 友人の投稿から元恋人の様子を探ることを習慣にしないこと。
よくあるご質問
友人のほうから元恋人の話をしてきた場合も問題になりますか
友人が自発的に近況を話したことについて、聞いた側が責任を問われることは通常考えにくいところです。ただし、その情報をもとに元恋人に連絡したり、聞いた場所へ出向いたりすれば、その行動が問題とされる可能性があります。
共通の友人の集まりに元恋人も来る場合、参加してよいですか
警告や禁止命令を受けていなければ、集まりに参加すること自体が禁じられるわけではありません。ただ、その場で元恋人に話しかけ続けたり、帰り道に後を追ったりすると、つきまといなどと受け止められることがあります。警告などを受けている場合は、参加を見送るか、事前に弁護士に相談するのが無難です。
共通の友人のSNSを通じて元恋人の投稿を見るのは問題になりますか
公開されている投稿を閲覧すること自体は、ストーカー規制法が定める行為にはあたらないと考えられます。ただし、見た内容に触れて元恋人に連絡したり、投稿にあった場所へ出向いたりすれば、監視していると告げる行為や見張りなどと評価される可能性があります。また、友人の投稿に元恋人あてと読めるコメントを繰り返すことも、誤解を招くもとになります。
一度聞いただけなのに警察から連絡が来ました。どうすればよいですか
警察が連絡してくる段階では、事情を確認するにとどまることも少なくありません。何を、いつ、何回聞いたのかを時系列で整理し、友人とのやり取りを保存したうえで、弁護士に相談してから対応を決めるとよいでしょう。
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弁護士にご相談いただく意味
共通の友人に元恋人の様子を聞いたことがどう評価されるかは、聞いた目的や回数、元恋人や友人の受け止め方、警告などの有無によって変わります。自分では近況を確かめただけのつもりでも、相手の側からは違って見えていることもあります。当事務所では、これまでのやり取りを一緒に整理し、警察への対応や、元恋人・友人との今後の距離の取り方を検討します。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


