【風俗トラブル】女性がその場で「妊娠したらどうする」と言い出したら、どう応じる?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

本記事は、風俗店を利用した男性側の立場から、2026年10月時点の法令と一般的な考え方をもとに整理したものです。個別の事情によって結論が変わることがありますので、具体的な対応はご相談のうえでご判断ください。


利用中や終わった直後に、女性から「妊娠したらどうするの」と言われ、どう返せばよいか分からなくなったというご相談があります。避妊具が破れた・外れた、避妊具を着けずに行為に及んだなど、心当たりがある場面ほど、その一言は重く感じられるものです。

 この段階では、妊娠しているかどうかはまだ誰にも分かりません。一方で、その場でのやり取りは、後日「妊娠した」と連絡が来たときに、双方の言い分を左右する材料になることがあります。本記事では、その場で避けたい応じ方と、伝えておいてよいこと、後日連絡が来た場合の法的な整理を順に見ていきます。

「妊娠したらどうする」という言葉が出る場面

 この言葉が出るのは、多くの場合、避妊具の破損や外れ、避妊具を使わない行為があった直後です。本来は本番行為を前提としない店で行為に及んでいた場合には、妊娠の不安に加えて、店のルール違反や同意の有無が問題にされることもあります。

 女性がこの言葉を口にする理由はさまざまです。純粋に不安を感じて確かめたい場合もあれば、店に報告するかどうか迷っている場合、後の話し合いを見据えて相手の反応を確かめている場合も考えられます。どの意図かをその場で見極めることは難しく、決めつけて応じることは避けたいところです。

 大切なのは、相手の不安に向き合う姿勢と、金額や責任の範囲を約束することを分けて考えることです。この2つを混ぜてしまうと、後から整理するのが難しくなります。

その場で避けたい応じ方


「責任を取る」「全部払う」と約束する

 動揺から、相手を安心させようとして「何かあったら全部責任を取る」「費用は全部出す」と口にしてしまうことがあります。口頭の約束でも、内容によっては後で「約束した」と主張される根拠になり得ます。何を、どこまで、いくら負担するのかが曖昧なまま約束すると、後日の請求の範囲が広がるおそれがあります。

 気遣いの言葉をかけることは問題ありませんが、具体的な負担の内容は、妊娠の有無や事実関係が分かってから話し合うという順序を守る方が無難です。

事実と違う内容を認める

 女性や店から「本番をしたよね」「避妊しないでと頼んだよね」などと確認され、その場の空気から事実と異なる内容に同意してしまうケースがあります。一度認めた発言を後から撤回することは容易ではありません。認めるかどうかの前に、何があったかを落ち着いて振り返ることが先です。認めてしまった後の考え方は、本番を認める発言をしてしまった後にできること|自認の撤回と限界で解説しています。

その場で現金を渡す・書面に署名する

 「妊娠したときのために」と現金を求められたり、念書や借用書への署名を求められたりすることがあります。妊娠するかどうかも分からない時点で金額を確定させる書面は、後の負担を一方的に重くするおそれがあります。強い言葉で迫られて書いた書面の扱いについては、脅されて署名した念書・示談書は有効か|「無効」と「取消し」の違いもご参照ください。

突き放す言葉で話を終わらせる

 反対に、「自分には関係ない」「他の客の子かもしれない」といった言葉で話を打ち切ることも、避けた方がよい対応です。後で触れるとおり、妊娠・中絶に至った場合に男性が話し合いに応じない態度をとることは、それ自体が問題とされることがあります。感情的な言葉は録音されていることもあり、後の交渉で不利に働くおそれもあります。言葉の選び方については、【男女トラブル】妊娠を告げられたときに言ってはいけない言葉|後で不利になる発言でも取り上げています。

その場で伝えてよいこと・確かめておきたいこと


話し合いに応じる意思を示す

 「もし妊娠が分かったら、そのときにきちんと話をしたい」「連絡をもらえれば対応を考える」といった、話し合いに応じる意思を示す程度の返答であれば、具体的な金額や責任を約束することにはなりません。相手の不安を受け止めつつ、判断は事実が分かってからにするという姿勢を伝えることが、双方にとって落ち着いた着地点になりやすいといえます。

 その際、連絡の取り方も確認しておくとよいでしょう。店を通じて連絡するのか、個人の連絡先を交換するのかによって、後のやり取りの記録の残り方が変わります。本名や住所、勤務先まで伝える必要があるかどうかは、慎重に考えてください。

緊急避妊薬の費用を求められたとき

 避妊具の破損などがあった直後には、緊急避妊薬(いわゆるアフターピル)の話が出ることがあります。緊急避妊薬は、性行為からできるだけ早く服用するほど効果が期待できるとされています。服用するかどうかを決めるのは女性本人ですが、費用の負担を申し出ることは、相手の負担を軽くする行動として意味を持つ場合があります。

 費用を渡す場合は、「緊急避妊薬の費用として」と目的をはっきりさせ、金額と日時を記録に残しておくことをおすすめします。名目が曖昧なまま渡すと、後になって「示談金の一部にすぎない」など、別の意味づけをされるおそれがあります。

その日の事実を記録しておく

 帰宅後、記憶が新しいうちに次の点をメモしておくと、後日連絡が来たときに役立ちます。

  • 利用日時、店名、女性の源氏名。
  • 避妊具を使っていたかどうかと、破損や外れに気づいた時点。
  • 行為に至った経緯と、双方のやり取りの内容。
  • 「妊娠したら」と言われたときの言葉と、自分の返答。
  • 渡した金銭があれば、その金額と名目。


 やり取りを録音しておきたいと考える方もいますが、録音の扱いには注意点があります。録音はどこまで証拠になるか|風俗トラブルでの残し方もあわせてご覧ください。

後日「妊娠した」と連絡が来たときの法的な整理


まず妊娠の事実と時期を確かめる

 連絡が来たら、最初に確かめたいのは、妊娠が医療機関で確認されたものか、市販の検査薬の結果だけか、という点です。医療機関の診断であれば、妊娠週数と利用日との整合も見えてきます。弁護士ドットコムでも、検査薬の陽性だけを根拠に連絡を受けた、利用から1か月ほどたって費用を求められた、といった相談が数多く寄せられています。

 ただし、確認を求めるときの伝え方には配慮が必要です。疑いをぶつけるような言い方は相手の感情を害し、話し合いをこじらせる原因になります。父親であるかどうかの確認についても、方法や時期を含めて冷静に話し合うことが求められます。妊娠を理由とした請求が疑わしい場面の見分け方は、「妊娠した」「病気になった」と請求されたら|妊娠詐欺・示談金詐欺の見極め方で解説しています。

中絶費用の負担

 双方の合意のもとでの性行為によって妊娠し、中絶に至った場合、その費用は男女で分担すべきものと考えるのが一般的です。実務上は折半とするケースが多く見られますが、事情によって割合は変わります。

 この点について、東京高等裁判所の平成21年10月15日の判決は、男性も胎児の父親として、中絶に伴う女性の身体的・精神的・経済的な不利益を軽減する行為をすべき立場にあり、これを怠った場合には不法行為が成立し得るという考え方を示したものとして、よく紹介されています。合意の性行為であっても、話し合いに応じず連絡を断つといった対応は、法的な責任を問われる余地があるということです。

 費用の考え方は、本番後に妊娠・中絶費用を請求された場合の対処法|弁護士が解説や【男女トラブル】中絶費用は折半なのか|「おかしい」と感じたときの整理の仕方でも詳しく取り上げています。

慰謝料や休業補償を求められた場合

 合意のうえでの性行為による妊娠・中絶であれば、男性が慰謝料を支払う義務は原則として生じないと考えられています。他方で、避妊すると偽った場合や、同意のない行為があった場合などは、慰謝料が認められる可能性があります。手術の前後に仕事を休んだ分の補償を求められることもありますが、休んだ期間や金額の根拠を確かめたうえで、費用の分担とあわせて話し合うのが通常の進め方です。

 風俗の場面では、本来認められていない本番行為があったとされると、妊娠の問題とあわせて、不同意性交等罪にあたるとの主張がされることもあります。同意の有無が争いになる場合は、金銭の問題だけでは済まない可能性があるため、早めに専門家へ相談することが望ましいといえます。避妊の有無が争点になる場面については、避妊の有無が争点になる場面|感染・妊娠の主張と請求をご参照ください。

店から連絡が来た場合

 妊娠の連絡が、女性本人ではなく店から来ることもあります。妊娠や中絶に伴う負担を受けるのは女性本人であり、店が当然に代わって請求できるわけではありません。店と話をまとめても、女性本人から別に請求される可能性が残ることもあるため、誰と、何について合意するのかを確認することが重要です。

請求が繰り返される・不自然だと感じたら

 支払った後に、入院費や休業補償など名目を変えて追加の請求が続く、根拠となる書類を示さないまま金額だけが上がっていく、「家族や職場に知らせる」と告げられる、といった経過をたどる相談も見られます。

 一度支払った後でも、その後の請求にどう応じるかは改めて考えることができます。支払いを続ける前に、それまでの経緯と支払った金額、その名目を整理したうえで、専門家に相談することを検討してください。家族や勤務先への通知をほのめかして金銭を求める行為は、内容によっては恐喝などの犯罪にあたる可能性もあります。

弁護士に相談するメリット

 弁護士が窓口になると、ご本人が女性や店と直接やり取りをする必要がなくなり、感情的な行き違いを避けやすくなります。診断書や費用の領収書など、請求の根拠となる資料の確認を求め、負担すべき範囲を整理したうえで、清算条項や接触禁止条項を含む合意書を取り交わすことで、同じ件で再び請求されることを防ぐ手当てもできます。

 「妊娠したらどうする」と言われた段階で、まだ何も起きていなくても、その後の対応を相談することは可能です。当事務所でも、妊娠を理由とした請求について、弁護士が間に入り解決した事例があります。


 解決の内容は、事実関係や残っている記録によって異なります。同じ結果になるとは限らない点はご了承ください。

まとめ


  • その場では、気遣いの言葉をかけることと、金額や責任を約束することを分けて考えます。
  • 事実と違う内容を認めたり、念書や借用書に署名したりすることは避けます。
  • 突き放す言葉で話を打ち切ると、後に不利に働くことがあります。
  • 緊急避妊薬の費用などを渡す場合は、名目と金額を記録に残します。
  • 後日連絡が来たら、妊娠の事実と時期を確かめたうえで、費用の分担を話し合います。
  • 請求が繰り返される、不自然だと感じる場合は、支払いを続ける前に専門家へ相談します。


 「妊娠したらどうする」という一言は、その時点では何も確定していないからこそ、応じ方によって後の展開が変わります。慌てて約束をする前に、事実を記録し、落ち着いて次の一手を考えることが大切です。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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