【風俗トラブル・キャスト側】在籍時の写真を店が消してくれない、削除を求められる?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

本記事は、2026年10月時点の法令(2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法を含む)をもとに、風俗店で働いていた方の立場から解説しています。


店を辞めたのに、ホームページや情報サイトに在籍していたときの写真が載ったままになっている。店に連絡しても「そのうち消す」と言われたまま変わらない。こうしたご相談は、退店後の悩みとして少なくありません。今の生活や仕事への影響を考えると、一日でも早く消してほしいと感じるのは自然なことです。

 この記事では、退店後も写真を載せ続けることが法的にどう評価されるのか、どこに・どの順番で削除を求めればよいのかを整理します。

辞めた後も写真が残り続ける、よくある場面


  • 退店を伝えたのに、店の公式サイトに源氏名と写真が残っている。
  • 店のサイトからは消えたが、店が広告を出していた情報サイトに残っている。
  • 「消しておく」と言われてから数か月たっても、そのままになっている。
  • 体験入店だけで辞めたのに、撮影した写真が掲載されている。
  • 別の源氏名のプロフィールに、自分の写真が使い回されている。


 店が写真を消さない理由としては、在籍人数を多く見せたい、集客のために残しておきたいといった事情のほか、単に管理が行き届かず放置されている場合もあるといわれています。いずれの理由であっても、本人が掲載をやめてほしいと伝えている以上、そのままにしてよいことにはなりません。

退店後の掲載はやめるよう求めることができる


肖像権には「公表されない利益」が含まれる

 人には、自分の容ぼうをみだりに撮影されず、また撮影された写真をみだりに公表されない人格的な利益があると、最高裁判所の判例でも認められています。一般に「肖像権」と呼ばれる権利です。

 在籍中に撮影と掲載を承諾していたとしても、その承諾は「店で働いている間、集客のために使う」という範囲のものと考えるのが通常です。辞めた後まで無期限に使ってよいと承諾したとは、特別な事情がない限り考えにくいでしょう。そのため、退店後に本人が掲載をやめるよう求めているのに載せ続けることは、肖像権やプライバシーの侵害にあたる可能性があります。

「写真の権利は店にある」と言われたとき

 店から「撮影費用を出したのは店だから」「写真の権利は店のものだ」と言われることがあります。たしかに、写真の著作権はカメラマンや店の側にあることが多いと考えられます。しかし、著作権と、写っている人の肖像権は別の権利です。著作権を持っているからといって、写っている人の意思に反して公表し続けてよいことにはなりません。

 契約書に「退店後も写真を使用できる」といった定めがある場合は、その内容を確認する必要があります。ただ、風俗店では契約書が作られていない、あるいは控えを受け取っていないことも珍しくありません。また、定めがあったとしても、期限のない使用まで当然に有効とされるかは、契約時の説明や条項の内容によって争う余地があります。手元に書類がない場合でも、あきらめる前に一度ご相談ください。

モザイクやぼかしが入っている場合

 顔にモザイクやぼかしが入っていても、髪型や体型、服装、背景などから知人が見れば本人と分かる状態であれば、削除を求める理由になり得ます。反対に、誰が写っているのか全く特定できない写真であれば、権利侵害と評価されにくくなります。「自分だと分かるかどうか」が一つの分かれ目です。

まず、写真が載っている場所を洗い出す


掲載場所管理している人削除を求める先
店の公式サイト・店のSNS店店
店が広告を出している情報サイトサイト運営会社(掲載内容は店が入稿)まず店、応じなければサイト運営会社
店と無関係の転載サイト・掲示板第三者サイト管理者・サーバー管理者
検索結果に表示される画像検索事業者元のページの削除後、検索事業者


 店の公式サイトだけを確認して安心してしまうと、情報サイトに残っていることに後から気づく場合があります。地域名と店名、在籍時の源氏名などで検索し、写真が残っているページを一つずつ確認してください。見つけたページは、URLと表示日時が分かる形でスクリーンショットを保存しておくと、後の削除請求で役立ちます。

削除を求める順序


  1. 写真が載っているページを洗い出し、URLと画面を保存する。
  2. 店に対し、掲載の停止を記録が残る方法で求める。
  3. 期限を過ぎても消えない場合、情報サイトの運営会社やサーバー管理者に削除を申し出る。
  4. それでも応じない場合、弁護士から書面で削除を求める。
  5. 任意の対応が得られない場合、裁判所の手続を検討する。


店への伝え方

 店には、源氏名、退店した時期、写真が載っているページのURLを示し、すべての掲載を停止してほしいと伝えます。電話だけでは「言った・言わない」になりやすいため、LINEやメールなど、やり取りが残る方法を選ぶと安心です。「〇日までに削除を確認できなければ、運営会社への申出などを検討します」と期限を区切っておくと、その後の対応に移りやすくなります。

 なお、店が把握していない本名や現在の住所を、削除の依頼のために新たに伝える必要は通常ありません。退店の際にもめていて店と直接やり取りしたくない場合は、最初から弁護士を窓口にする方法もあります。

店が応じないとき、サイトの運営会社やサーバー管理者へ

 店が動かなくても、写真が載っているサイトの運営会社やサーバーの管理者に対して、直接削除を申し出ることができます。サイト側は、権利侵害の申出を受けて投稿者に削除に同意するか照会し、7日以内に反論がなければ削除しても責任を問われにくい仕組みが法律で設けられています。

 2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、総務大臣が指定した大規模なプラットフォーム事業者に対し、削除申出への判断と通知を原則7日以内に行うことが義務付けられました。風俗情報サイトの多くは、この指定の対象ではありませんが、申出窓口を設けているサイトもあります。制度の詳しい内容は、【男女トラブル】情報流通プラットフォーム対処法で削除依頼はどう変わったのか、【男女トラブル】削除申出への回答期限|以前と何が違うのかで解説しています。

それでも残るとき、裁判所の手続

 店やサイト側が任意の削除に応じない場合には、裁判所に削除を命じる仮処分を申し立てる方法があります。サーバーが海外にあるなど、請求の届け先から調べる必要がある場合については、【男女トラブル】プラットフォームが海外にある場合の削除|届かない請求への備えをご覧ください。元のページが消えた後も検索結果に画像が残る場合の考え方は、検索結果からの削除はどこまで認められるかで整理しています。

「罰金を払えば消す」と言われたら

 削除を求めたところ、「急に辞めた分の罰金を払えば消す」「消してほしければ一度出勤しろ」などと条件を付けられることがあります。しかし、写真の掲載をやめることと、店が主張する罰金や違約金の問題は、本来切り離して考えるものです。罰金を支払わなければ肖像権侵害が続いてよいということにはなりません。

 退店時の罰金や違約金がそもそも支払う必要のあるものかどうかは、キャスト側の「罰金」「違約金」|遅刻・当欠・退店で引かれるお金は適法かで解説しています。また、「家族や職場に知らせる」といった言葉で支払いを迫られている場合は、それ自体が別の問題をはらむおそれがあります。その場で応じず、やり取りを保存したうえでご相談ください。

使用料や慰謝料を求めることはできるか

 退店後、掲載をやめるよう求めたにもかかわらず載せ続けられた期間については、肖像権侵害を理由に慰謝料などを請求できる可能性があります。ただし、認められる金額は掲載の期間や態様、本人の受けた影響などによって異なり、必ずしも大きな額になるとは限りません。多くの方にとって最優先なのは、一日でも早く写真が消えることだと思います。金銭の請求をどこまで求めるかは、削除の見通しと合わせて考えるのが現実的です。

弁護士に依頼すると変わること

 弁護士が代理人になると、店とのやり取りはすべて弁護士が引き受けるため、ご本人が店と直接連絡を取る必要がなくなります。本人からの依頼には応じなかった店が、弁護士名義の書面を受けて対応を改めることもあります。

 また、店の公式サイトだけでなく、情報サイトや転載先を含めて掲載箇所をまとめて洗い出し、それぞれの管理者に必要な申出を行うことができます。削除を確認した後に、再び掲載しないこと、写真データを破棄することなどを書面で約束させておけば、同じことが繰り返されるおそれを小さくできます。

よくあるご質問


体験入店だけで辞めた場合も、削除を求められますか

 求めることができます。在籍期間の長さにかかわらず、本人の意思に反して写真を公表し続けてよい理由にはなりません。体験入店の段階で「写真は店に任せる」といった書面に署名している場合は、その内容を確認したうえで対応を考えます。

連絡せずに辞めてしまった場合でも、削除を求められますか

 辞め方に問題があったとしても、それを理由に写真を載せ続けてよいことにはならないと考えられます。店が損害を主張してくることはあり得ますが、それは写真の削除とは別の問題として整理します。

削除を求めると、店に今の住所が知られてしまいませんか

 店に対する削除の依頼で、現在の住所を伝える必要は通常ありません。弁護士が窓口になる場合も、ご本人の連絡先を店に伝えずに進めることができます。裁判所の手続を使う場合には住所の扱いに配慮が必要になるため、事前にご相談ください。

写真が残っていることに気づいたら

 退店後の写真の掲載は、時間がたつほど転載や保存が広がり、消すべき場所が増えていくおそれがあります。気づいた段階で掲載箇所を記録し、店への申出から順に進めることが、結果として早く消すことにつながります。ご自身で店に連絡するのが難しい事情がある場合も、無理に一人で抱えず、早めに専門家にご相談ください。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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