【風俗トラブル】キャバクラでキャストに触れたと言われた|請求と刑事の両面
利用した店が無許可営業だったと分かると、「自分も違法な店を使った側なのだから、警察に相談すれば一緒に罰せられるのではないか」と考え、店からの高額な請求や脅しに一人で向き合ってしまう方がいます。しかし、店の営業が違法であることと、利用した客が処罰されるかどうかは、法律上は別々に考えるものです。この記事では、無許可営業の店とのトラブルで警察に相談してよい場面、相談する前に整理しておきたいこと、警察だけでは解決しにくい部分について解説します。
本記事は、2025年改正の風営法を含め、2026年10月時点の法令に基づいて記載しています。個別の事情によって結論が変わることがありますので、具体的な対応は専門家にご相談ください。
無許可営業の店とのトラブルでも、警察に相談することはできます
結論から申し上げると、店が許可や届出を欠いた違法な営業をしていた場合でも、客が警察に相談すること自体は問題ありません。警察は、店の営業形態にかかわらず、暴行・脅迫・恐喝・監禁といった犯罪にあたりうる行為の相談を受け付けています。
むしろ、違法営業の店は、正規の店に比べて料金や請求の手順が不透明であったり、背後に別の組織が関わっていたりすることがあり、トラブルが深刻になりやすい面があります。「違法な店を使った自分が悪い」と考えて相談をためらうと、請求に応じ続ける結果になりかねません。
ただし、相談の場では、利用した経緯や店内での出来事についても聞かれることがあります。自分にとって説明しにくい事情が含まれている場合には、どこまでが店側の問題で、どこからが自分自身の行為の問題なのかを先に整理しておくことが大切です。
「無許可営業」の店とはどのような店か
風営法では、店の業態によって、公安委員会の許可が必要なものと、届出が必要なものに分かれています。一般に「無許可営業」「違法風俗店」と呼ばれるのは、これらの手続を経ずに営業している店や、営業が禁止されている地域で営業している店です。
| 業態の例 | 風営法上の手続 | 違法営業になる典型例 |
|---|---|---|
| キャバクラ・ホストクラブなど接待を伴う飲食店 | 公安委員会の許可 | 許可を受けずに接待を伴う営業をする |
| 店舗型ヘルス・ソープランドなど | 公安委員会への届出 | 届出をせずに営業する、禁止地域で営業する |
| デリバリーヘルスなど | 公安委員会への届出 | 届出をせずに営業する |
| 「エステ」「マッサージ」を名乗る店 | 性的サービスを提供するなら届出が必要 | 届出をせずに性的サービスを提供する |
2025年の風営法改正では、許可を受けずに風俗営業を行った場合の罰則が、5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金へと引き上げられました。警視庁も、許可なく営業する店や禁止地域での営業、店内での売春行為などを、盛り場の環境を悪化させる要因として挙げています。
これらの規制は、いずれも営業する側に向けられたものです。表向きは一般のエステやマッサージ店として宣伝し、実際には性的サービスを提供している店もあるため、利用した後になって無許可営業だったと知るケースも少なくありません。
店が違法営業でも、客の立場はどう考えられるか
無許可営業や無届営業は店の営業に関する違反であり、風営法には、そうした店を利用した客を処罰する規定は置かれていません。弁護士ドットコムに寄せられた同種の質問に対しても、利用したことだけで客が罪に問われるのは考えにくい一方、店が摘発された際に参考人として事情を聞かれることはある、という趣旨の回答が見られます。
また、店内で性交があった場合、客は売春防止法上の「売春の相手方」にあたりえますが、同法は売春を禁止しつつ、成人どうしの売春の相手方となった者を処罰する規定は設けていません。
一方で、店が違法営業であったかどうかとは関係なく、客自身の行為が犯罪として問われる場面はあります。次のような事情がある場合は、警察に相談する前に、弁護士に事情を伝えて方針を立てることをおすすめします。
- 相手が18歳未満であった可能性がある場合の児童買春。
- 相手の同意がなかったと主張されている場合の不同意性交等罪・不同意わいせつ罪。
- 無断で撮影や録音をした場合の撮影罪や迷惑防止条例違反。
- 不特定の人から見える場所での行為が問題になる場合の公然わいせつ罪。
これらに心当たりがない場合でも、店側が「警察に行けばお前も捕まる」と告げて支払いを迫ることがあります。そうした言葉が事実に基づくものなのか、支払わせるための材料として使われているのかは、落ち着いて切り分けて考える必要があります。
警察への相談が考えられる主な場面
店から帰してもらえない、所持品を取り上げられた
店の事務所やホテルの部屋から出してもらえない、財布やスマートフォン、身分証を取り上げられて返してもらえないといった状況は、監禁罪や強要罪などにあたる可能性があります。身の安全に関わる状況であれば、その場で110番通報することをためらう必要はありません。
「払わなければ家族や会社に知らせる」と迫られた
利用の事実を家族や勤務先に知らせると告げて金銭を要求する行為は、恐喝罪にあたる可能性があります。恐喝罪の法定刑は10年以下の拘禁刑と定められています。要求に一度応じると、金額を変えて請求が繰り返されることもあるため、支払う前に相談先を確保しておくことが大切です。
説明のない高額な料金を請求された
入店前に示された料金と大きく異なる金額を請求される、いわゆるぼったくりの被害も、違法営業の店で起きやすいトラブルです。東京都などでは、性風俗店などによる不当な料金の取立てを規制する条例が設けられています。警視庁は、意識がもうろうとしている間に現金やカードを抜き取られる被害についても注意を呼びかけています。
カードで身に覚えのない決済がされていた
利用後にカードの明細を確認したところ、利用していない金額が決済されていた場合には、警察への相談とあわせて、カード会社への連絡を早めに行う必要があります。カード会社への申出には期限が設けられていることが多いため、明細はできるだけ早く確認しておきましょう。
警察に相談するときの窓口と準備
相談の窓口は、状況の緊急度によって使い分けます。
| 状況 | 主な窓口 |
|---|---|
| 今まさに危険がある、帰してもらえない | 110番通報 |
| すぐの危険はないが、脅しや請求が続いている | 警察相談専用電話「#9110」、最寄りの警察署 |
| 店の違法営業そのものを知らせたい | 警察署の生活安全課など |
相談に行く前には、次のような情報を手元にそろえておくと、話が進みやすくなります。
- 店名、広告や予約サイトの画面、店の電話番号。
- 利用した日時と場所。
- 請求された金額と、その名目。
- 脅しを受けたときのメッセージや通話の記録。
- 支払った場合の振込先や領収書。
- 取り上げられた物や書かされた書面の内容。
警察では、相談内容を確認するなかで、利用の経緯について質問されることがあります。事実と異なる説明をすると、後の手続で不利に扱われるおそれがあるため、分からないことは分からないと伝え、自分の行為について不安がある部分は、事前に弁護士と確認しておくと安心です。
警察だけでは届きにくい部分と、弁護士ができること
警察が対応するのは、犯罪にあたりうる行為についての捜査や、身の安全の確保です。一方で、店から求められている金額を支払う義務があるのか、すでに書いてしまった書面にどのような効力があるのか、といった民事上の問題について、警察が当事者の間に入って交渉することは基本的にありません。
また、違法営業の店では、店長や関係者を名乗る人物が「示談」を取りまとめようとすることがあります。弁護士でない者が報酬を得る目的で法律上の交渉を行うことは、弁護士法72条が禁じる非弁行為にあたる可能性があるとされており、実際に風俗店の店長らが客との示談交渉をめぐって弁護士法違反の疑いで逮捕された例も報道されています。その場の雰囲気に流されて、店が用意した書面に署名したり、求められるまま支払ったりすることは避けた方がよいでしょう。
弁護士が代理人として窓口になると、店からの連絡は弁護士に向かうことになり、ご本人が直接やり取りをする負担を減らせます。請求に根拠があるかどうかを確認したうえで、支払う必要のないものには応じず、必要な場合には内容を確定させた合意書を取り交わすといった対応が考えられます。脅しや請求が続く場合には、警察と連携しながら進めることもあります。
よくあるご質問
警察に相談すると、家族や勤務先に利用したことが知られますか
警察が相談内容を家族や勤務先に積極的に伝えることは、通常は想定しにくいところです。ただし、事件として捜査が進んだ場合には、連絡先として登録している電話番号などに警察から連絡が入ることがあります。家族に知られることへの不安がある場合は、連絡を受ける方法についても相談の際に伝えておくとよいでしょう。
店が摘発された場合、利用客にも連絡が来ますか
予約時の電話番号や決済の記録から、警察が利用客に連絡し、参考人として事情を聞くことはあります。参考人としての事情聴取は、その人を被疑者として扱うものとは異なりますが、何を聞かれ、どう答えるかについて不安がある場合は、応じる前に弁護士に相談しておくと落ち着いて対応できます。
違法営業の店と交わした約束や書面は無効になりますか
店が違法営業をしていたことだけで、交わした書面がすべて無効になるとは限りません。書面の内容、署名した経緯、脅しの有無などによって判断が分かれます。署名してしまった書面がある場合は、写しや写真を手元に残し、支払う前に内容を確認することをおすすめします。
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まとめ
店が無許可営業であったとしても、帰してもらえない、脅されて金銭を求められているといった状況であれば、警察に相談することができます。違法営業そのものは店の側の問題であり、利用したことだけを理由に相談をあきらめる必要はありません。一方で、ご自身の行為について不安な点がある場合や、請求への対応を誰かに任せたい場合には、警察と弁護士の役割の違いを踏まえて、相談の順序を考えることが大切です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


