かかとからつま先へ~走る時の、重心移動の考え方~【解説動画あり】
こんにちは、姿勢トレーナーの八巻です。
前々回からお送りしている
「体に備わるピュアな歩き方」のお話。
早くも反響をいただいております。
・現代人の多くは、太もも後側の筋肉を使った歩きがきちんと出来ていない
前回は、そんなお話をしました。
前回記事:~歩く時、メインで使う脚は後へ行く方の脚ですよ!~
歩く時、足は前へ出す方の足では無く、
着地してから後へ踏み出す足をメインにして使うのだというお話でした。
正しく歩く動作が、骨盤後傾を直す!
歩き方と姿勢の関係についてお話をしておくと、
前回お話した「脚を後ろに振る動作」を歩きの中で使えていないと、
骨盤後傾の姿勢になっていきます。
こちらの画像を見てみましょう。
(月刊スキーグラフィック2013年8月号特集
「正しく立つ・歩くでスキーが変わる」より:筆者監修)
左のモデルさんと右の私とで、脚と骨盤の位置を見比べてみましょう。
私の方は足の真上に骨盤が来ていますが、
モデルさんの方の骨盤は足より後にあります。
これは撮影時に「ややストライドを広めに」とお願いして歩いてもらったのですが、
そうすると大体姿勢がこのようになる人が多いんですね。
「大股で歩く」→「足だけ前へ大きく出てしまう」人が多い証拠です。
足を前へ出す方が強くなると、
左のように骨盤が後傾した姿勢になってしまいます。
前回もお話したように、体を進める時は
足を前へ出すのでは無く、後へ脚を使う意識が必要です。
その動作があると、太ももが骨盤の前から後へスイングされ、
右のように骨盤の下まで太ももが移動してきてくれます。
骨盤が後傾した姿勢の本質は、
「股関節伸展」という、太ももが体の後ろにスイングされる動作が弱い事にあります。
この動作を改善しないまま(股関節伸展の要素が無いまま)、
骨盤体操のような事をしても姿勢の本質をとらえていないので、
本当に正しい姿勢というのは決して身に付かないでしょう。
では、脚を後ろに向けて使う動作はどのように練習すればいいのでしょうか?
ここからはその練習の仕方をご紹介しましょう。
”股関節伸展”のトレーニングエクササイズ
①”レッグ”で”プッシュ”して”アップする
仰向けの姿勢で、膝を立てます。膝はこぶし一つくらいあけます。
そこから両足の裏で地面を下に向けて押し出していきます。
その押し出す力だけを使って、お尻を浮かせていきます。
膝から肩までが一直線に並ぶ位までお尻を頑張って上げてみましょう。
似たようなエクササイズで「ヒップリフト」というエクササイズがありますが、
これはただお尻を上下させるだけで、それでは効果が薄いんですね。
大切なのは「足で地面を押し出して体を浮かせる」事です。
腕立て伏せは手で体を押し上げていきますよね?
その要領で、足で体を押し上げるようにします。
なので、「ヒップリフト」ではなく、
「レッグ・プッシュ・アップ」と名付けます。
”股関節伸展”のトレーニングエクササイズ
②地面を押して体が移動する感覚を知ろう!
もう一つは「ライイング・レッグプレス」というエクササイズです。
足で体を押す感覚がよくわからないという方には、
その感覚がつかみやすいエクササイズです。
画像のように誰かにやってもらってもいいですが、
足の力が強いとパートナーが押されて危ないので
壁を使った方がいいでしょう。
足の裏を壁につけ、足で壁を体から遠ざけるように押し出します。
それに対して体が壁と逆の方向に動けばOKです。
フローリングの上など、比較的滑りやすいところの上でやるといいです。
体がどう動くのかを感じながら、エクササイズをしよう。
という訳で、まずは「足で地面を押し出す」動作を鍛えるエクササイズの入門編をご紹介しました。
足で地面を押し出す事で、体がどう動くのかを感じながらエクササイズを行うのがポイントです。
力まずにやるのもポイントです。
動作エクササイズの注意点:
筋肉を意識してやらない。
今回ご紹介した「レッグ・プッシュアップ」は、
正しく出来た時、回数を続けるともも裏の筋肉がきつくなってきます。
それは「股関節伸展」という、
大腿骨が体の後ろにスイングされる動作が出来たからこその感覚なので、
「太もも後の筋肉を意識して」エクササイズをしないようにしてください。
余談ですが、よくテレビでトップアスリートの動作を分析して、
「このアスリートはハムストリングス(もも裏の筋肉)が発達している」などと言っているのをみますが、
だからと言ってもも裏の筋肉を鍛えたり、走る時にもも裏を意識したりしても
速く走れるようになる訳ではありません。
大事なのは、どういう動作をした結果でその筋肉が発達していったのかを考える事です。
なので「この動作で体がどう動くか?」を感じながらエクササイズをする事が大事なのです。
今後も私が紹介するエクササイズは、
そういう目線でみて取り組んでいただければと存じます。
次回は立って行うエクササイズをご紹介しますので、
お楽しみに。