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八巻稔秀プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

シニア・高齢者のQOL上昇のために、鍛えるべき筋肉は「抗重力筋」。その本当に効果的な鍛え方をご紹介!

八巻稔秀

八巻稔秀

テーマ:カラダ調整体操

こんにちは、
姿勢・動作改善トレーナーの八巻です。



5月より、藤沢市の県立体育センターで、
グループレッスン「カラダ調整体操」がスタートします。
コロナの状況が気になるところですが、
既に1年延期になっているのでスタートが待ち遠しいです。




私は現在2回行っているスポーツジムにて会員向けに
カラダ調整体操を行っています。
平日昼間という事で主な参加者は70代以上の高齢者です。



という事で、今回は高齢者向けの筋力トレーニングに関してのお話をしていこうかと思います。



元気で健康な高齢者と接していてわかる、
元気な高齢者はここが違う。



スポーツジムで現在体操教室を行っていて
参加している方々の体力はそれぞれですが、
でも皆さん本当に元気です。




健康を維持するために、必要な事をいろいろ身をもって教えてくれる気がしています。


そこには気構えとか、他とコミュニケーションをとることとか、
精神的な要素も含まれると思いますが、

今回は、健康な高齢者はフィジカル的にどこが優れているのか?

というところを分析していきたいと思います。



そうすれば、健康な方へシフトさせるには
どういう事をやっていったらいいかがわかってきますよね!




元気な高齢者が、フィジカル的に優れている点とは??





1.そもそも体力がある


運動を継続的に行っていて、そもそも体力があります。
スポーツをずっと続けていて、体力の低下と戦ってきているんですね。


こういう人達に対して指導者側がすべき事としては、
運動によって体を壊さないように気をつけてあげさえすればいいと思います。




2.瞬発力がある


体力があるというのはざっくりとした事ですが、
ここからはもう少し具体的な事になります。


歳を重ねてくると一番衰えてくるのが、
素早い動きです。


全力で走るとか、ジャンプするとかいう動きの事です。



転んでケガをしやすくなるのは、
瞬発力が衰える事も大きな要因です。



よく高齢者のために低負荷・低回数で筋肉を鍛える効果があると採用される
「スロートレーニング」があります。
このトレーニングはゆっくりとした動作で行う事がポイントなのですが、
通常このスピードでは筋肉は使わないだろというスピードで行うので、
筋肥大をさせるという効果しか無いと考えた方がいいかもしれません。


ゆっくりとした動作で筋力を鍛えると、
それだけでは速い動作の時にはその筋力はあまり役立ちません。
素早い動作も練習しないと、その力は充分に発揮されないのですね。


ですから、筋肉を鍛えて終わりではなく、
そこから素早い動きもエクササイズの中に取り入れていく必要があります。




3.腰が曲がっていない


80歳前後でもスタスタと身軽で元気な人は、
総じて”体が立って”います。


姿勢がいいんですね。


腰が曲がりながらも頑張って来られる方もいますが、
総合すると姿勢の崩れが小さいですよね。
姿勢の崩れが少なく背筋が伸びていると、単純に若く見えます。
自然に積極的にもなれそうです。



姿勢がいいと、身軽で動きやすいから瞬発力が衰えにくい。

だから運動を積極的に出来るから体力も維持出来る。


そういうプラスの連鎖が起こるのではないでしょうか?



で、健康を保つ秘訣として、一番大きく考えたいのが
この3つめの項目なんですね。



「腰が曲がっていない姿勢」を維持する事、またはそこに戻す事が、
アンチエイジングの一番のテーマだと私は思うんですね。



アンチエイジングの秘訣は、”重力に抗う力を落とさない”事!




若い人と、高齢者の一般的な姿勢の違いってどこにあるでしょうか?


おじいちゃん・おばあちゃんをイラストで描くなど表現をする時は、
大体背中を丸めますよね。


そうですね、高齢になると、背中が丸まる人が多くなります。




それってどうして起こるかというと、

「重力に負けて体がつぶされる」

から起こるのですね。




よく、歳をとると身長が縮むといいますが、

身長って回りくどい言い方をすると、
「立った時の頭から地面までの距離」ですよね。


人間は2本の足で地面に対して垂直に立っているので、
一番重い頭や内臓が詰まった胸郭が足の上にあります。

重い頭や胴体は、常に重力によって地面方向への力がかかっていますが、
脚や体幹の筋力でそれが落ちないように常に支えているので、
頭が地面に落ちずに済んでいます。


年齢を重ねてくると徐々に筋力が落ちてきます。
すると、頭を地面から遠ざけておく筋力も徐々に衰えて、
少しずつ頭と地面が近づいてきます。
でも人には骨があるので、極端につぶれる事はありませんが、
背骨のすき間(椎間板などがある)がつぶれたり、
背骨全体が丸まったりして地面と頭が近づいていきます。




(上の姿勢では背中が丸まり、頭と地面の距離が
下の姿勢に比べて近くなっている)


それが加齢による不良姿勢の正体です。



という事で、歳をとっても若く見られ、健康維持につなげるには
重力に抗う筋肉・動作を身につける事が大切です。




という事で、運動指導の現場でも既に高齢者の健康維持のために

「抗重力筋を鍛えましょう」

と推奨されています。


という事で、次に抗重力筋の鍛え方についてお話していきたいと思います。




~よく見かける高齢者向け・抗重力筋のエクササイズについて~


抗重力筋を鍛えるという考え方は良いのだけど、
その方法が合っていないと思います!




高齢者のQOL(生活の質)を上げる・維持するため、
要するに寝たきりにならないために筋力アップは欠かせないと、
そのために、重力に負けないように「抗重力筋」を鍛えようと
偉い先生方が言っておられます。



確かに、先に挙げたように重力に抗う筋力を鍛える事が大事で、
その考え方は同意出来るのですけれど、
実際に「これをやってください」というエクササイズの内容が、
全く合っていないように思うのです。






例えば、低体力の高齢者に向けては椅子に座ってのエクササイズを処方する事も多いです。

私はこの中では座った状態でもも上げをするようなエクササイズが特にダメだと思っています。



高齢者のもも上げエクササイズはダメ!その理由は?




座った姿勢だけではなく、立ってもやらせる事が多いようですが、
もも上げエクササイズは背中が丸まった高齢者には、むしろ逆効果です。
脚の筋肉を鍛えれば抗重力になると考えているのかもしれませんが、
鍛えればいいというものでは無く、
脚のどの筋肉をどう使って鍛えるかが重要です!




座っている事が増えると、体が重力につぶされ、
徐々に背中が丸まってきます。
この状況でもも上げをすると、もっと体は丸くなります。
大きく脚を上げようとするほど背中は丸まります。

背中を丸めた方が、脚は上がりやすいですよね?
頑張って上げようとするので、それで一層腰が落ちて背中が丸くなります。

もも上げ 悪い例



太ももの前側は、みんな強くて硬い!鍛えるなら後側!




背中が丸まったり、腰痛を抱えている高齢者は、
太ももの前側の筋肉がむしろ硬く縮こまっている傾向があります。
むしろ伸ばさないといけないのです。
このもも上げ運動をすると、さらに縮ませる事になり、
さらに姿勢が悪化します。

太ももの前の筋肉は少しは筋力が上がるかもしれませんが、
筋力が上がるだけで抗重力には何の影響もないどころか、
むしろ悪影響があると私は考えます。


むしろ高齢者が鍛えなければいけないのは、
太ももであれば後側の方です。



やらなければいけないのは、
”立つ”動作を鍛える事!



脚の筋力が上がればいい訳ではありません。




体が縮んでしまって姿勢が悪くなっているのだから、
筋肉を縮めて鍛える発想がそもそも間違いなんじゃないでしょうか?



そういう筋肉頭を一旦リセットして、
頭や体と地面(足)が遠ざかるように動作をつくっていくんです。

片足立ち やり方



この時、筋肉を伸ばす方向に筋力発揮をさせてあげるという、
逆の発想をしないとならないんです。





頭を上に上げるには、持ち上げる力が要ります。


その力の1つ目は、体幹です。

体幹の筋肉を伸ばす方向に使い、それで背骨を積み上げます。
それで頭を上へ持ち上げます。
頭の位置を高くするには、体幹の筋肉は伸ばして使うしかありません。



2つ目は、足を体と逆の方向に伸ばす動作です。

脚上げエクササイズなら、足を上に上げる方ではなく
足を地面の方に伸ばす(立っている方の脚)動作がむしろ大事です。


こうする事で、頭は上へ・足は下へと逆の方向へ体が動くので体が伸びます。
この能力が上がると、いわゆる背筋の伸びたキレイな姿勢が維持出来るようになるのです。





高齢者に本当に必要なエクササイズは、
「立つ」ための「伸ばして鍛える」エクササイズ!



では、それを踏まえて、本当の意味での抗重力筋をトレーニングしてみましょう。
椅子を使っても出来るものをピックアップします。



1.体幹を「伸ばして引き上げる」ストレッチ&エクササイズ



この動作で、縮んだ体を伸ばし、

シニアエクササイズ コアストレッチ

背骨やあばら骨・頭を上へ戻します。


お腹まわりやあばら骨のすき間を拡げていきます。
ゴムを軽く伸ばしていくようなイメージでストレッチしていきます。


左右も分けて伸ばします。
肩こり改善ストレッチ

肩が痛くて腕を上げるのがきつい場合は、
このようにして、体の側面を拡げるのを意識してやれば同じ効果があります。

コアストレッチ



2.スクワットは、「足で体を上へ押し上げる」エクササイズ


脚を鍛えるエクササイズとして、スクワットが採用される事が多いですが、
脚の筋肉を鍛えるという事から一度離れ、
「しっかり立ち上がる」練習としてやってみましょう。


座ったところから前に少しお辞儀をして、
そこから足で地面を下へ向けて踏み込みます。

スクワット やり方 高齢者

スクワット やり方 高齢者

それをやって、先ほど伸ばした上半身を
しっかり上まで押し上げます。
スクワット やり方 高齢者



椅子に捕まってやる場合も同様です。


スクワット やり方 高齢者

立ち上がりながら、足と頭が反対方向に伸びていくような意識があるといいです。

スクワット やり方 高齢者

足が体から遠ざかる方向に伸びていくと、
太ももの後側やお尻の筋肉が使われます。
座っていると、膝は骨盤の前にありますが、
立ち上がると共に膝は骨盤の下の方に移動します。
この動作が太もも裏の筋肉を使う動作なので、
この筋肉を使うには、きちんと立てないといけないのです。



そうすると身長が伸びていく方向に体を動かす事が出来ます。
これこそが抗重力筋のエクササイズではないでしょうか?



座り姿勢は、そもそも体にあまり良くない!
エクササイズは、座位よりも寝てやった方が良い!



座って行うエクササイズをご紹介しましたが、
私はあまり椅子に座ってのエクササイズはしません。

座っていると、股関節が曲がったままですので、
やはりその先に全身を伸ばしてのエクササイズが必要だからです。



仰向けやうつ伏せでのエクササイズがおすすめですね。


例えば、こちらの「レッグ・プッシュ・アップ」と名付けたエクササイズ。

レッグプッシュアップ

レッグプッシュアップ

こちらは太もものトレーニングと、
股関節のエクササイズを目的にしているのですが、
ただお尻を上げ下げするのではなく、


お尻を上げる際に、足で床を下に押し出すようにし、
その力でお尻を持ち上げていきます。

「足でお尻を持ち上げる」のですね。
それによって、太ももの後側を使う事が出来ます。


スクワットの前により負荷の低いエクササイズとして効果的です。




頭は上へ、足は下へ。
体の中心(おへその辺り)から体を長細くする意識でいよう!



という訳で、高齢者向けの運動指導を長年行っている私が考える、
高齢者の健康維持に本当に必要な運動方法をお話しました。



一番の問題点・改善点は筋力があるかどうかより、
「姿勢・骨格」が重力によって崩れている事です。
崩れた姿勢を元に戻すためのエクササイズをどうつくればいいかを、
運動指導者は必死に考えるべきですね。



私も普段の現場での運動指導を通じて、
どういう事をすれば最も健康維持・体力維持に効果的なのかというのを、
ずっと検証し続けています。




今のところ、私が思う抗重力に一番必要な意識は、
「縮んだ体を引き伸ばす事」です。

体幹を伸ばして頭や体を上に、足は体から遠くに伸ばす。

この事が含まれているエクササイズこそ、
本当にシニアの健康に役立つエクササイズになっていると、確信しています。

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八巻稔秀
専門家

八巻稔秀(スポーツトレーナー)

TYカラダ調整セラピー

独自のエクササイズ「カラダ調整体操」をベースに、体のゆがみを本来の形に整え、正しい姿勢や動作へ導くトレーニングメニューを提供。スポーツイベントや出張指導で、生き生きとした日常を応援します。

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