”全身運動”を心がけよう！

”○○筋を意識して”は、筋トレでは普通だが・・

一流のランナー・スプリンターの走りを分析するとハムストリングスの動員が大きいから
「ハムストリングスを意識して走れ」とか、
ハムストリングスを鍛えたりする練習をする事も多いようです。

しかし、私は運動時に特定の部位を意識して動作を行うのは
あまり良いことでは無いと思います。



なぜならスポーツは、全身運動です。
全身の筋肉が協調し、競技動作などの1つの動作として成り立ちます。




それは、歩行やランニングの動作でも同様です。
「体というチーム」が、1つの動作をするために、
バランスよく協調しあって働いたときに、最も強い力が働くのです。



おそらくハムストリングスが使えているという一流の選手は
そこを意識して走ったりしている訳では無いはずです。

体を”森”として捉えよう！

栄養の話で、「ビタミンCをとるといい」「○○が美容にいい」
などあると思います。
でもいいからと言って、その栄養素ばかり摂っていればいい訳ではなく、
最終的には「バランスの良い食事を心がけましょう」
ですよね？


体においても、
トップアスリートがどこの筋肉が発達しているからこの筋肉を鍛えようとか、
腰痛にはこのストレッチがいいとか言われますが、
栄養同様、その1点だけトレーニングしても向上・改善はしません。

やはり、そこを含めた全身をバランスよく使えるようにしなければいけないのです。




ランニングの教室なども多くのところで行われていますが、
そこで教えられている事を聞いてみると、
全身の協調動作を阻害してしまっているなと感じるものが、正直多いです。

クライアントさんから伺ったものでは、
「体をひねると体のバランスが崩れるので、体はひねらずに走りなさい」
というのが最近ありました。

体をひねらずに走るという動作、これは体にとって正しいのか？

全身運動を行い、腕脚を動かすと
背骨も連動して動きます。
四肢の動きの大きさにあわせて
背骨が前後左右にしなり、回ります。


体には歩く時・走る時に回旋すべき場所が大きく言って2箇所ありますので、
ひねる動作を意識的に止めると、全身の協調動作が失われてしまいます。


全身の動作がリンクしなくなると、
結局足だけ（とりわけ膝下）で走る事になります。
股関節・全身を使った走りに比べて推進力は当然弱くなります。
また、使われる筋肉も限定されるので、
疲れやすくもなるでしょう。



歩く時・走る時には、
「胸椎」と「股関節」が回旋することが、理想です。
しかし実際には胸椎の回旋まで使って腕を振れて歩いている人も、
股関節を正しく使えて歩いている人も少ないです。

そこを正しく使えていない人に、体をひねって歩いたり走ったりさせると、
ひねって欲しくないところをひねってしまうのです。
そこはどこかというと、
「腰」と「膝」
です。


背骨の中でも、「腰椎」は、回旋しないように出来ています。
そこを無理に回そうとすると、回すことの出来る胸椎の一番下に負担がかかります。
膝も基本的には前後への曲げ伸ばししか出来ません。
捻るべきところを捻れず、捻るべきでないところを捻ってしまうから、
体の動作バランスが崩れ、障害・痛みへとつながってしまうのです。



真横からの画像でも、背中が少し見えるのは、
歩いている時に上半身が捻られている事の証拠と言える



間違って捻ってしまうと、バランスが崩れてしまうところは
前述の通り、あります。
しかし、捻る動作自体を止めてしまうと、人の歩く・走る動作の根本が
成立しなくなってしまいます。


確かに最近のランナーをみると、上半身が板のように固定されて
走っているのをよくみます。
これでは、脚しか使えません。
協調バランスが崩れ、ケガをしやすくなるので気をつけてください。