よくわかる、肩こり発生のメカニズム その3
「肩が上がらない、上げると痛い・・」
四十肩・五十肩って、何で起こると思いますか?
指導で見つけた、四十肩の本当の原因
かつて仕事で行っていた公共施設の利用者の方に当時、
「肩を上げると肩が痛い。どうすればいいですか?」
と、質問をされました。
スポーツジムで、トレーナー・イントラに同じ質問をすると、
大概の場合、チューブなどを使った
「インナーマッスル」を鍛えるトレーニングや、
ダンベルを持って腕を垂らしながら回す「アイロン体操」
なんていうのをアドバイスされる事が多いと思います。
しかし、それだけだとなかなか良くはならないようです。
私が否が実際の指導の中でわかった事としては、
肩のインナーマッスルがどうかというより、
むしろその周りの筋肉の硬さと、
それによる動作の制限によって起こるという事です。
例えば腕をこうして上げる時、
肩の関節が動いて腕が上がる訳ですが、
実際には肩の関節だけでは無く、
体幹も使って体を起こしています。
あばら骨の前側が拡がりながら
背骨が反っていくのと併せて腕が上がっていきます。
ですから、あばら骨の前側が硬く動きの悪い人は、
背骨を肩胸の高さで反る事が出来ません。
肩関節単独ではせいぜい60~70度しか動きませんので、
そこを無理に動かそうとすると関節には負担がかかってくるでしょう。
胸部の動きに腕(青線)を加えてみました。
一番左のように体が反れないと、そもそも腕は上がりません。
真ん中のように体を反れればとりあえずは腕は後ろへ行きますが、
腰だけで反ってしまっているので、
右のように胸部も使って反れるとベストです。
実際に四十肩の方の、肩の前側(胸の筋肉のあたり)を押すと
硬く痛がります。ここをほぐすだけで肩は上がりやすくなります。
※月刊スキーグラフィック2015年8月号より(筆者監修記事)