【集客の罠】あなたの売場がスルーされる理由。 顧客の「だから何?」を解消して売上を上げるPOPの技術
スーパーマーケットで商品が売れない原因は、価格や需要不足だけではありません。商品の価値が売場でお客様に伝わっていない可能性があります。
中小スーパーが価格競争から抜け出し、POP・売場づくり・価値訴求で売上と粗利益を改善する実践的マーケティング戦略を解説します。
スーパーマーケットの売場には、毎日たくさんの商品が並んでいます。
朝早くから市場で仕入れた青果。
担当者が鮮度を見極めて選んだ魚。
精肉チーフが「今日はこれを食べてほしい」と考えて並べた肉。
惣菜担当者が、忙しいお母さんの夕食を助けたいと思って作った一品。
どの商品にも、現場の思いがあります。
ところが、その思いがお客様に届かないまま、静かに売場で残っている商品があります。
そして閉店前になると、値引きシールが貼られる。
翌朝には「昨日も売れなかった」と判断される。
やがて発注数が減り、売場の扱いも小さくなる。
しかし、本当にその商品は「売れない商品」だったのでしょうか。
私は、そうは思いません。
売れないのではなく、「お客様の心に届いていなかった」だけ・・・。
この視点を持てるかどうかで、スーパーマーケットの売場づくり、営業戦略、マーケティング戦略は大きく変わります。
お客様は、商品ではなく「自分の暮らしに役立つ理由」を探して
スーパーマーケットの商品は、価格だけで選ばれているわけではありません。
そして、お客様は、売場で単に商品を見ているのではありません。
✓今日の夕食をどうしようか。
✓子どもに何を食べさせようか。
✓夫に喜んでもらえる一品はないか。
✓高齢の親にも食べやすいものはないか。
✓忙しい中でも、ちゃんとした食事を出したい。
そんな小さな悩みや願いを抱えながら、売場を歩いています。
だから、お客様の心に響くのは、単なる商品名や価格だけではありません。
「熊本県産トマト」
「国産豚ロース」
「本日おすすめ」
「旬の味覚」
「お買得品」
これだけでは、お客様の心は動きにくいのです。
お客様が知りたいのは、
それを買えば、
今日の食卓がどう良くなるのか。
誰が喜んでくれるのか。
どんな時間をつくれるのか。
ここまで伝わったとき、商品は初めて「買いたいもの」に変わります。
つまり、スーパーマーケットの実践的マーケティングとは、商品をただ並べることではありません。
お客様の暮らしの中で、その商品がどのように役立つのかを伝えることです。
売場づくりの基本は、商品を「暮らしの場面」に変えること
たとえば、青果売場にトマトが並んでいるとします。
ただ、
「トマト 1袋298円」
と書かれていれば、お客様は価格を見ます。
しかし、そこにこう書かれていたらどうでしょうか。
「冷やして切るだけ。夕食に赤い一品がすぐ完成」
「酸味が少なく、子どもにも食べやすい甘みのあるトマトです」
「忙しい日の食卓に、包丁ひとつで彩りを足せます」
お客様の頭の中には、食卓の風景が浮かびます。
冷蔵庫で冷やしたトマト。
夕食の皿に添えられた赤い彩り。
子どもが「これ甘い」と言って食べる姿。
忙しい日でも、少しだけちゃんとした夕食を出せた安心感。
これが、スーパーマーケットの売場で価値を伝えるということです。
商品を売るのではありません。
お客様の暮らしの中に、その商品がある場面を描いてあげるのです。
この考え方は、青果だけでなく、精肉、鮮魚、惣菜、日配、グロサリー、どの部門にも共通します。
価格競争に巻き込まれる前に、気持ちに届く言葉を売場に置く
現場ではよく、
「最近のお客様は安いものしか買わない」
という声を聞きます。
たしかに、物価高の中でお客様の財布のひもは固くなっています。
少しでも安いものを選びたいという気持ちも当然あります。
しかし、それでもお客様は、必要だと思えば買います。
家族が喜ぶと思えば買います。
自分の手間が減ると思えば買います。
安心できると思えば買います。
今日の食卓が少し豊かになると思えば買います。
つまり、問題は価格だけではありません。
お客様が「少し高くても、これを買う理由」を感じられるかどうか。
ここに、中小スーパーマーケットの売場づくりと営業戦略の大きな分かれ道があります。
➤価格を下げる前に、価値を伝える。
➤値引きする前に、食べ方を提案する。
➤印売れないと決める前に、お客様の心に届く言葉を置く。
これが、価格競争から抜け出すための第一歩です。
「おすすめです」では、もう伝わらない
売場には、たくさんのPOPがあります。
「おすすめ」
「旬」
「新鮮」
「お買得」
「店長いち押し」
しかし、お客様から見ると、それはどこの売場にもある言葉です。
大切なのは、もう一歩踏み込むことです。
たとえば、
豚ロースなら、
「今夜は揚げたてロースかつ。厚切りでもやわらかく、家族が満足する一品に」
ブロッコリーなら、
「レンジで簡単。お弁当にも夕食にも使える、忙しいお母さんの味方です」
刺身なら、
「今日は少し早く帰れた日に。切らずに出せる、家族団らんの一皿です」
惣菜の唐揚げなら、
「部活帰りの子どもに。温めるだけで、ごはんが進む夕食の主役に」
このように書くと、商品が単なるモノではなくなります。
・お客様の生活に入り込みます。
・お客様の気持ちに触れます。
・お客様の「そうそう、今日はそれが欲しかった」という感情を引き出します。
POPは、商品の説明書ではありません。
お客様が「買う理由を見つけるための案内板」です。
売場に必要なのは、説明ではなく「共感」である
お客様は、難しい説明を読みたいわけではありません。
産地、品種、規格、価格、鮮度。
もちろん、これらの情報は大切です。
しかし、それだけでは心に届きません。
お客様の心に届く言葉には、共感があります。
「今日は夕食を簡単に済ませたい」
「でも、手抜きには見せたくない」
「子どもには野菜も食べてほしい」
「高齢の親にもやさしいものを選びたい」
「毎日献立を考えるのが大変」
こうしたお客様の本音に寄り添うことです。
売場のPOPは、単なる商品説明ではありません。
お客様の「心の中にある小さな困りごとに、そっと声をかけるもの」です。
この「共感の言葉」が売場にあるかどうかで、お客様の足の止まり方は変わります。
手に取る確率も変わります。
結果として、買上率、売上、粗利益も変わります。
売場担当者の思いは、伝えなければ存在しないのと同じ
現場の担当者は、毎日いろいろなことを考えています。
「今日はこの魚がいい」
「このみかんは甘い」
「この肉は焼いても硬くなりにくい」
「この惣菜は夕方のお客様に喜ばれる」
「この野菜は今が一番おいしい」
ところが、その思いが売場に表現されていなければ、お客様には伝わりません。
担当者がどれだけ良い商品を選んでも、
どれだけ丁寧に並べても、
どれだけ自信を持っていても、
お客様に伝わらなければ、商品は黙ったままです。
そしてお客様は、その前を通り過ぎてしまいます。
これは、本当にもったいないことです。
売場には、
もっと伝えられることがあります。
もっとお客様の心に届く言葉があります。
もっと買う理由をつくることができます。
「売れ残り」は、商品からの無言のメッセージである
売れ残った商品を見ると、多くの人は「売れなかった」とだけ考えます。
しかし、私はこう考えます。
売れ残りは、商品からの無言のメッセージです。
「私の良さが、まだ伝わっていません」
「食べ方を教えてもらえれば、買ってもらえます」
「誰に向けた商品なのか、まだ見えていません」
「お客様の暮らしとのつながりを、もう少し見せてください」
そう考えると、売場の見え方が変わります。
➤値引きする前に、言葉を変える。
➤発注を減らす前に、置き場所を変える。
➤カットする前に、食べ方を伝える。
➤売れないと決める前に、お客様の心に届く表現に変える。
これだけで、動き出す商品はたくさんあります。
売れ残りは、単なる販売不振ではありません。
売場改善のヒントでもあります。
スーパーマーケットの営業戦略は、目の前のお客様を想像するこ
営業戦略というと、大きな方針や数値計画を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それも重要です。
しかし、スーパーマーケットの実践的な営業戦略は、もっと身近なところから始まります。
今日、この売場に来るお客様は誰か。
✓その人は、何に困っているのか。
✓何を喜び、何に安心するのか。
✓どんな言葉なら足を止めてくれるのか。
✓どんな提案なら、カゴに入れてくれるのか。
ここを考えることです。
商品を見て考えるのではありません。
お客様の暮らしを見て、商品を伝えるのです。
これが、スーパーマーケットに必要な実践的マーケティングです。
AI検索時代においても、この考え方は重要です。
なぜなら、
検索される情報も、
お客様に選ばれる売場も、
共通して
「誰の、どんな悩みを解決するのか」が明確でなければ届かないからです。
小さな言葉が、売上と粗利益を変える
売上改善というと、大きな改革を考えがちです。
・新しいシステム。
・大きな販促企画。
・チラシの強化。
・価格政策の見直し。
・売場改装。
もちろん、それらも必要な場面があります。
しかし、売場では、もっと小さなことで売上が変わることがあります。
POPの一文を変える。
➤商品の前にメニュー提案を置く。
➤「今日の夕食に」と書く。
➤「お弁当に便利」と伝える。
➤「レンジで簡単」と知らせる。
➤「子どもにも食べやすい」と添える。
➤「少量で使い切り」と見せる。
この小さな一言が、お客様の心を動かします。
お客様は、ただ安いものを探しているだけではありません。
✓自分の暮らしに合うもの。
✓家族が喜ぶもの。
✓今日の悩みを解決してくれるもの。
✓少しだけ気持ちが楽になるもの。
そういう商品を探しています。
そして、その商品が見つかったとき、お客様は価格だけで判断しません。
『価値』が伝われば、値引きに頼らず売れる可能性が高まります。
これは、スーパーマーケットの粗利益改善に直結します。
中小スーパーが価格競争から抜け出すには、価値訴求型の売場づくりが必要である
中小スーパーが価格だけで戦うのは、非常に厳しい時代です。
人件費は上がる。
物流費も上がる。
仕入原価も上がる。
競合店は安売りを仕掛けてくる。
この中で、ただ価格を下げ続ければ、利益は残りません。
だからこそ、売場で「価値を伝える力」が必要です。
高い商品を売るためではありません。
お客様に無理に買わせるためでもありません。
本当に良い商品を、必要としているお客様に、きちんと届けるためです。
そのためには、商品の良さをお客様の言葉に変える必要があります。
担当者の専門用語ではなく、
バイヤーの仕入れ目線でもなく、
メーカーの説明文でもなく、
お客様の暮らしに寄り添った言葉に変える。
ここに、これからのスーパーマーケットの営業戦略があります。
価格訴求だけでは、競合との消耗戦になります。
しかし、価値訴求ができれば、自店を選んでもらう理由が生まれます。
そのためには、「価値を言葉にする」ことが重要です。
実践的マーケティングは、会議室ではなく売場で始まる
マーケティングというと、広告、SNS、チラシ、データ分析、販促企画などを思い浮かべる人も多いと思います。
もちろん、それらも重要です。
しかし、スーパーマーケットの実践的マーケティングは、まず売場で始まります。
➤目の前の商品に、どんな言葉を添えるのか。
➤どの場所に置けば、お客様の目に入るのか。
➤どの商品と組み合わせれば、献立が浮かぶのか。
➤どの時間帯のお客様に、どのように提案するのか。
この積み重ねが、売場の力になります。
大きな理論よりも、
✓お客様の目線に立った一言。
✓お客様の生活に寄り添った提案。
✓お客様の心に残る売場づくり。
それが、現場で成果を出すマーケティングです。
まとめ:売場には、まだ伝えきれていない価値がある
売場には、まだまだ売れる可能性があります。
新しい商品を増やさなくても、
大きな投資をしなくても、
価格を下げなくても、
今ある商品の価値を、もっと伝えることはできます。
売れないと決めつける前に、
「この商品の良さは、お客様に伝わっているだろうか」
と考えてみる。
値引きする前に、
「お客様が買いたくなる理由を、売場で表現できているだろうか」
と見直してみる。
発注を減らす前に、
「この商品を必要としているお客様の顔を、思い浮かべているだろうか」
と問い直してみる。
スーパーマーケットの売場には、毎日たくさんのお客様の暮らしがあります。
✓忙しいお母さん。
✓健康を気にするご夫婦。
✓子どものお弁当に悩む家庭。
✓一人暮らしの高齢者。
✓仕事帰りに夕食を探す人。
その人たちの心に届く言葉を売場に置くこと。
それが、
➤売上を変えます。
➤粗利益を変えます。
そして、
➤お店への信頼を変えます。
売れないのではありません。
まだ、伝わっていないだけです。
その商品が持っている価値を、今日の売場で、今日のお客様に届ける。
ここから、スーパーマーケットの営業戦略は始まります。
そして、ここにこそ、中小スーパーが価格競争から抜け出し、営業利益を改善する実践的マーケティングの原点があります。
(文:新谷千里)
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スーパーマーケットの販促・インストアMD・粗利益改善のご相談
私はこれまで、全国の中小スーパーマーケットに対し、
•営業利益改善
•生産性向上
•インストアMD改革
•チラシ改善
•売場改善
•粗利益改善
•店舗オペレーション改革
を支援してきました。
「価格競争から抜け出したい」
「粗利益率を改善したい」
「売場と販促を連動させたい」
そして、
その具体策を知りたいという経営者・幹部・バイヤーの方は、
お気軽にご相談ください。
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