商品が売れないのではない。『売れる考え方』になっていないだけ | バイヤー・店長が見直すべき「売上を生み出す視点」

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーマーケットの販売戦略

スーパーマーケットの売上は、商品そのものではなくお客様の行動から生まれます。

バイヤー・店長が「商品発想」から「行動発想」へ転換することで、同じ商品でも売れ方は大きく変わります。

スーパーマーケットの売場を見ていると、同じような商品、同じような価格帯、同じような販促条件であっても、店舗によって売れ方が大きく違うことがあります。

ある店ではよく売れている。
しかし、別の店ではほとんど動いていない。
この違いは、商品力だけで説明できるものではありません。

もちろん、商品や品揃えは重要です。

しかし、現場で売上を左右しているのは、商品そのものだけではなく、その商品をどう捉え、どう伝え、どう売場で表現するかという考え方です。

私はコンサルタントとして、多くのスーパーマーケットの現場を見てきました。

そこで強く感じるのは、
売れる店と売れない店の違いは、
単に商品や価格の違いではなく、
売場をつくる人の考え方の違いにあるということです。

「商品が売る」と考えるか、「お客様の行動が売上を生む」と考えるのか

売上が伸びないとき、多くの現場では次のような話になりがちです。
「この商品は売れない」
「価格が高い」
「競合のほうが安い」
「品揃えが弱い」
「もっと売れる商品を入れてほしい」
もちろん、それらが原因になることもあります。

しかし、ここで一度立ち止まって考える必要があります。

本当に商品が悪いのでしょうか。
本当に価格だけが原因なのでしょうか。
本当に品揃えを変えれば売上は上がるのでしょうか。
現場で最初に確認すべきことは、別にあります。

それは、
その商品の価値が、お客様に伝わっているか
ということです。

商品は、売場に並べただけでは売れません。

お客様が、
その商品に気づき、
価値を感じ、
自分の生活に必要だと思い、
買うという行動を起こして
初めて売上になります。


つまり、売上は商品が自動的に生み出すものではありません。

売上は、お客様の行動が生み出しているのです。

この考え方に立てるかどうかで、売場のつくり方も、POPの言葉も、陳列の工夫も、売れ方も変わります。
売場で考える

考え方が変わると、売場の見方が変わる

「売上は商品が生む」と考えていると、売れない理由は商品に向かいます。

商品が悪い。
価格が悪い。
本部の仕入れが悪い。
競合が強い。
この考え方になると、現場でできる工夫が少なくなります。

売れない理由を外部に求めやすくなり、売場改善の行動が止まってしまいます。

一方で、
「売上はお客様の行動が生み出している」
と考えると、見るべきポイントが変わります。

✓ お客様はその商品に気づいているか。
✓ 立ち止まって見ているか。
✓ POPの言葉は伝わっているか。
✓ 買う理由が売場で表現されているか。
✓ 関連商品と組み合わせて提案できているか。
✓ 今買う必要性が伝わっているか。


このように、売場を見る目が変わります。
すると、改善の打ち手も変わります。

・陳列場所を変える。
・平台の展開量を変える。
・POPの言葉を変える。
・メニュー提案を加える。
・関連販売を組み合わせる。
・重点商品の見せ方を変える。
・声かけの内容を変える。

商品を変えなくても、考え方を変えることで、売場の打ち手は増えていきます。

バイヤーに必要なのは「売れる商品探し」だけではない

バイヤーの仕事は、売れる商品を探すことだけではありません。

これからのバイヤーに必要なのは、
仕入れた商品を、現場でどう売れる状態にするかまで考える力です。

どれだけ良い商品を仕入れても、店頭で価値が伝わらなければ動きません。

たとえば、こだわりの調味料を仕入れたとします。
しかし、ただ棚に並べただけでは、お客様はその違いに気づきません。
「いつ使うのか」
「どんな料理に合うのか」
「普通の商品と何が違うのか」
「少し高くても買う理由は何か」

これを売場で伝えなければ、価格だけで比較されてしまいます。

バイヤーが考えるべきことは、商品選定だけではありません。

この商品は、どの売場で最も価値が伝わるのか。
どの商品と一緒に売れば買いやすいのか。
どんなPOPならお客様が立ち止まるのか。
どの客層に、どの生活場面で提案するのか。
店長やチーフに、どのような売り方を伝えるのか。

ここまで考えて初めて、商品は「売れる商品」になります。
商品そのものが売れるのではなく、
売れる状態に設計された商品が売れるのです。
売場で考える

店長に必要なのは「並べる管理」ではなく「買う理由づくり」


店長にとっても大切なのは、商品をただ並べることではありません。

本部から商品が入ってくる。
チラシ商品が決まる。
重点商品が指定される。
そこで、指示通りに売場をつくるだけで終わっていないでしょうか。

店長が見るべきなのは、
お客様が買う理由を売場でつくれているか
です。

たとえば、
青果売場でトマトを販売する場合でも、考え方によって売場は変わります。
「トマトを売る」と考える店は、トマトを積みます。
しかし、
「お客様に今夜の食卓を提案する」と考える店は、
サラダ、冷やしトマト、カプレーゼ、夏の簡単メニューとして提案します。

精肉売場で豚ロースを販売する場合も同じです。
「豚ロースを売る」と考える店は、商品を並べて価格を出します。
しかし、
「家族が喜ぶ夕食メニューを提案する」と考える店は、
ロースかつ、しょうが焼き、下味冷凍、時短メニューとして価値を伝えます。

考え方が変わると、売場の表現が変わります。
売場の表現が変わると、お客様の反応が変わります。
お客様の反応が変わると、売上が変わります。

会議で「お客様」という言葉が出ているか

スーパーマーケットの会議では、商品名、売上金額、前年比、荒利益率、ロス率、在庫、価格の話が多く出ます。

これらはもちろん重要です。
しかし、会議の中で、
「お客様」
という言葉がどれだけ出ているでしょうか。

売上が悪いときに、
「なぜお客様は立ち止まらなかったのか」
「なぜ手に取らなかったのか」
「なぜ買う理由が伝わらなかったのか」
「どの生活場面に提案できていなかったのか」
という話ができているでしょうか。

数字は結果です。
商品は手段です。
売場は表現です。
そして、売上を生み出すのは、お客様の行動です。

この順番を間違えると、改善の打ち手も間違ってしまいます。

売上改善は「商品発想」から「行動発想」へ

これからのスーパーマーケット経営に必要なのは、
商品発想から行動発想への転換です。

商品発想とは、
「何を売るか」から考えることです。

行動発想とは、
「お客様にどう行動してもらうか」から考えることです。


・何に気づいてもらうのか。
・どこで立ち止まってもらうのか。
・何を見て価値を感じてもらうのか。
・どの商品と比較してもらうのか。
・どんな食卓を想像してもらうのか。
・どう納得して買ってもらうのか。

この発想がある店は、同じ商品でも売り方が変わります。
そして、同じ商品でも売れ方が変わります。

まとめ:売れ方を変えるのは、考え方である

売上が伸びないとき、商品や価格のせいにするのは簡単です。

しかし、そこで考え方を変えられるかどうかが、バイヤーと店長の力の差になります。

商品が売れないのではありません。
「価値が伝わっていない」のかもしれません。
「買う理由が売場にない」のかもしれません。
「お客様の行動を設計できていない」のかもしれません。


売上は、商品が自動的に生み出すものではありません。
売上は、お客様の行動が生み出します。

そして、
その行動を生み出すのは、売場をつくる人の考え方です。

バイヤーは、
商品を仕入れる人ではなく、売れる状態を設計する人。

店長は、
商品を並べる人ではなく、お客様が買いたくなる売場をつくる人。
この考え方に変わったとき、同じ商品でも売れ方は変わります。
(文:新谷千里)


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