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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

どうして設計事務所が必要なのか

2019年8月1日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

一般の方が抱いている設計事務所への誤解

お問合せの中で、最も多く尋ねられるのが、「お宅に依頼すると、坪幾らで建てられますか?」と云う質問です。
私も少々意地悪で、いつも聞き返します。「坪幾らで建てて欲しいのですか?」
何を云いたいのか、端的に云いますと、坪単価が幾らの建物でも作れてしまうのです。
ハウスメーカーやこだわりの工務店が持っている「標準仕様」を設計事務所は持っていません。
基本はお客様のご要望に合わせて、一つ一つオーダーメイドで家を設計します。
お客様の要望に沿った建物単価になってしまうので、事前に「坪幾らで建てて欲しいのですか?」とお尋ねするのです。

予算を事前に言ってしまうとボッタクラレル?

予算を事前に言ってしまうと、その予算からちゃっかり自分の利益だけ差し引いて、残りの予算で家を考えられてしまいますよね。
だから、事前に想定している予算を話すのは、損な話しだ・・・・・そう思っていませんか?
設計と施工を同時に工務店さんや、ハウスメーカーに依頼するのであれば、その考えは正しいです。
でも、設計事務所に相談される場合、その考えは間違いなのです。
何故ならば、設計事務所は建築工事に参加しないからです。
設計事務所はお客様と設計契約を結びますので、工事費から利益を抜き取る事は考えません。
お聞きした予算目一杯を使って建物を設計するのです。

それじゃ設計費用だけ損じゃない?

工事代金以外に設計事務所と設計契約するなら、設計費用だけ損じゃない?
いえいえ、損ではありません。私も工務店さんからの依頼で、設計業務を受ける事もあります。
別にタダで設計していません。ちゃんと工務店さんに設計費を請求しています。
しかも、工務店さんからの依頼であれば、私にしてみれば、工務店さんがお客様ですから、工務店さんの仕様に合わせ、工務店さんが仕入れの割安なメーカーの製品を設計に盛り込みます。
たとえ、お客様が要望していないメーカーであっても、工務店さんから、「このメーカーで」と指定を受ければ従わざるを得ません。

設計と工事を分けて発注する方が安くつく

設計事務所と設計契約すれば、自分の要望を設計図に盛り込む事が可能です。工務店の都合により、仕様や工法が決まる事はありません。
また、特定の工務店に縛られる事もありません。ひとつの設計図書で、複数の工務店から見積もりを取る事も出来ます。
一つの工務店に縛られてしまうと、提出されば見積書が安いのか高いのか、素人の方には判断がつきません。比較検討する為にはどうしても複数の工務店から見積もりを取る必要があります。
その時の工務店の忙しさや、工法の得意不得意、工事現場までの距離等々の理由により、競争見積もりさせると、一割以上の差が出るのは当たり前です。
2000万円検討の図面では、安い業者で1800万円。高い業者で2200万円の見積もりが出てくるのは普通なのです。
一社にしか見積もりを依頼しなければ、2200万円で工事を発注しなければならなかったかも知れません。
結局、設計料を工事代金と別に支払っても、トータル金額は安くつくのです。

公共工事では、設計と工事を分離するのが当たり前

公共工事や、大きなビルの建設工事は、設計と工事を分けて発注するのが当たり前です。先程の一つの設計図書で、複数社から見積もりを取る為です。
昔は、住宅設計と云えば比較的簡単でしたので、工務店さんでも簡単な間取り図だけで、工事を請け負ったりしていました。
耐震構造・省エネ設計・快適性能・経済設計等々住宅の性能に要求されるものが、増えてしまった現在では、簡単な間取り図面だけで工事発注するのは、建築トラブルの元です。
私は、住宅設計に特化した設計事務所です。耐震構造・省エネ設計・快適性能・経済設計を満たした家を数多く設計しています。

この記事を書いたプロ

福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

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