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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

中古住宅を買って自分達の好みに改造して住む事が流行っています。

2018年8月9日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

何故中古住宅か

どうせなら、新築住宅をと考えるのも心情です。予算が許せば、新築に越した事はありません。しかし、土地代も含め総予算のある中で、物件を探して行くと、希望する立地条件では、新築に手が届かない場合も出て来ます。その際に立地条件をもう少し妥協して、土地値が安い場所に新築するか、立地優先で中古住宅に甘んじるかの選択に迫られます。
これら、新築・中古のどちらが良いかは、住まう人の置かれた生活環境や、年齢、等々の要因で答えが180度変わってしまいますので、一概には言えないのですが、定石の様なものは存在します。
それは建物の寿命から逆算して、生涯不動産投資金額を類推しながら、選ぶと云う方法です。
新築の場合、耐震等級3を取得していれば、余程条件が悪くない限り、50~60年は大きなメンテナンスをしなくても大丈夫でしょう。
中古の場合、地盤に対する検討がなされずに建てられた建物が多いので、いくら耐震改修を行っても、震度6程度の大きな地震が発生すれば、相当なダメージを被ります。その事を念頭に寿命を予測すれば、南海地震が30年以内に70~80%の確率で発生すると云われている現状からは、最長30年と見込むのが妥当かと思います。つまり、30年ほどすれば、再度不動産(土地は既に確保していますので建築代金)に投資しなければならない事を意味しています。
そこで、建物の寿命とご自分の年齢を考えれば、新築が良いのか中古でも良いのか、凡その判断が見えて来ます。

若い人は中古住宅を買うと損?

生涯不動産投資金額だけで考えると、50歳以上の方は中古住宅の方が経済的だし、若い方は新築の方がコスパが良くなりますが、簡単にそう割り切れるものでもありません。
50歳以上の方は子育ても終わり、ご自分の人生の行方が見え始めていますので、中古住宅でも自分の好みに合わせて改造して住む事が出来ます。
しかし、若い方は、長寿命な新築住宅を建てても、ライフスタイルが全く変わってしまう事もあり得ます。若いころは、機能優先でコスパの良い家を求めても、社会的地位が高くなると、それなりのステータスも求める様になったり、家族構成の変化により、手狭になったり、広すぎたりすることも考えられます。
そうなれば、若いうちに新築を建てて、そこに一生住まうのも窮屈かなぁと考えだしてしまうのです。
それであれば、若いうちは中古住宅を自分に合う様に改造して住み、子育てが終わるころ(人生の行方が見え始める頃)本当に自分が住みたい家を新築して、次世代に不動産を残す方が、快適な一生になるのではないでしょうか。最近そう考える若い世代が増えている様に思います。

中古住宅の再生に補助金が出たり、低金利の融資が受けられる

そう言う流れを反映してか、又は中古住宅の空き家問題が表面化した為か、国も中古住宅を長期優良住宅化する事業を勧めています。中古住宅の長期優良住宅化リフォーム事業です。中古住宅を長期優良住宅化するのに最大250万円の助成金がでます。
中古住宅の状況調査(ホームインスペクション)を行い、その調査に沿って、耐震改修・断熱改修を行い、長期優良住宅に準じた性能の家に改造するのが目的です。元々自分達の好みに合わせて改造する気なら、もう少しだけお金を掛ければ、長寿命な家になりますので、あわよくば、最も不動産投資金額の最も少ない
選択枝になる可能性もあります。
また、住宅金融支援機構も中古住宅のフラット35を用意しています。フラット35の基準に適合していない中古住宅でも、適合するよう改修すれば中古住宅でも低利のローンが組めます。改修する為の工事費用もフラット35と同じ金利で融資を受ける事も可能です。
長期優良住宅の技術基準とフラット35の基準は似ておりますので、両方選択する方が経済的に有利かと思います。

この記事を書いたプロ

福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

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