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コラム
使い込む程値打ちの出る家
2013年5月18日
「畳と嫁さんは新しい方がいい」橋下さんと同じくらい女性を蔑視することわざです。女性も負けていません。「亭主元気で留守がいい」お金さえ運んでくれば後は用無しだと云う事を適確に捉えています。
高度成長期にはこの様な夫婦関係を倦怠期と呼んでいました。今はもう倦怠期なんて云う言葉は死語になっています。不景気な時期には夫婦協調して乗り越える方が得策なのでしょう。夫婦仲は景気の良い時期に比べ良い様に感じます。
景気が良い時は、何でも新しい方が良いとスクラップアンドビルドを繰り返すのですが、不景気な今の時代、使い込めば使う程愛着の沸く道具を身の回りで探してみると以外と多く出てきます。
例えば、野球のグローブ。(私は再来年還暦ですが、まだ現役のソフトボーラーです)新しいグローブは試合では使いません。革が固く自分の手に馴染んでいないためです。練習で使って自分の手の形に合わせてからでないと使いません。
大工さんのカンナも同様です。刃の砥ぎをしてからでないと新品のまま使い始める事はありません。
そんな目で住宅を見てみると、工業化された素材は寿命が短い様に思います。新品の時が最も性能・品質が良くて時を経るに従って、徐々に性能・品質が劣っていく様に思います。
ビニルクロス・プリント合板・合板フロアー・住設機器・サイディング。企画住宅に用いらている建築素材の殆どが、工業化された素材で出来ています。その方が均質でメンテナンスが楽と云うメリットもあるのですが、長い目で見ると30年もすれば建替えられてしまう運命にあるようです。
自然素材は自然が相手ですので、手入れが大変です。手入れしていても、ひねり・そり・割れはついてまわります。しかしそれらを味わいとして許容出来るのであれば、使い込む程味わいのある素材となります。桧の床板は乾拭きしてやると、工業製品では出せない色艶が出てきます。
メンテナンスフリーが叫ばれて久しいですが、結局のところ手を掛けてメンテする事が愛着につながって家を長持ちさせることにつながるのではと考えています。造り方としては、メンテナンスフリーを志向するのではなく、メンテが楽しい家造りを目指す事ではないでしょうか。
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