再開発が進む大阪、街選びで大切にしたい視点
こんにちは、大阪市西区で不動産仲介をしているクレアクロスの重村です。
今回の忘備録は、管理をお手伝いしているマンションで、入居者さんから「家賃が払えない」と打ち明けられた日のことです。
数年前の春、大阪市内の1Kマンションのオーナーさまから電話がありました。
「2か月分の家賃が入っていない。連絡もつかないし、鍵を替えて荷物を出してしまえないか」
お気持ちはよく分かります。ローンの返済も固定資産税も、家賃をあてにして回っているからです。
それでも私は、その場で「それだけはやめましょう」とお伝えしました。
①家賃を払ってもらえなくても、鍵の交換や荷物の撤去はできない
日本の法律では、裁判所の手続きによらずに自分の力で権利を実現する「自力救済」は、原則として認められていません。
滞納があっても、無断で鍵を替えたり、室内に入って荷物を運び出したりすれば、オーナーさまのほうが損害賠償を求められたり、住居侵入などの問題になったりするおそれがあります。
2022年12月には最高裁判所が、家賃保証会社の契約にあった「一定の要件を満たせば、明け渡したものとみなす」といった条項について、消費者契約法に反し無効と判断しています。
契約を解除して明け渡してもらうには、話し合いで合意するか、最終的には訴訟などの手続きを経る必要があります。滞納の期間や事情から、貸主と借主の信頼関係が壊れたといえるかも個別に判断されます。
②まず「なぜ払えないのか」を聞きに行く
私はオーナーさまの了解をいただき、手紙を入れたうえで、日中にお部屋を訪ねました。
出てこられた30代の男性は、勤め先の業績悪化で職を失い、次の仕事を探している最中でした。「合わせる顔がなくて、電話に出られなかった」と頭を下げられました。
責める言葉より先に、今の収入と次の仕事の見通しを伺いました。逃げていたのではなく、どうしていいか分からなかったのだと感じました。
③払える形を一緒につくり、書面に残す
オーナーさまと相談し、滞納分は毎月の家賃に一定額を上乗せして分割で払っていただくことにし、金額と期日を書面で取り交わしました。
あわせて、お住まいの区の生活困窮者の相談窓口をご案内しました。離職などで収入が減った方は、一定の要件を満たせば、家賃相当額(上限あり)を自治体が原則3か月、延長により最長9か月、貸主へ直接支給する「住居確保給付金」を利用できる場合があります。
この方は給付金の決定を受け、2か月後に新しい職場が決まりました。滞納分は半年ほどで払い終え、その後も2年あまり住み続けてくださいました。
まとめ
滞納は、オーナーさまにとっても入居者さまにとってもつらい状況です。
ただ、感情のままに動くと、正しいはずの側が不利な立場に立たされてしまいます。
まずは事情を聞く、払える形を書面で決める、使える公的な制度を一緒に探す。それでも難しいときに初めて、法的な手続きを考えます。
入居者さまの暮らしと、オーナーさまの大切な資産。その両方を守る道を探すのが、管理に携わる私たちの仕事だと、この日にあらためて教わりました。
家賃の滞納でお困りのオーナーさまも、支払いに悩んでいる入居者さまも、ひとりで抱え込まずにご相談ください。
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