再開発が進む大阪、街選びで大切にしたい視点
こんにちは、大阪市西区で不動産仲介をしているクレアクロスの重村です。
今回の忘備録は、売主さまの「うちは雨漏りなんて一度もないですよ」というひと言を、そのまま告知書に書かなかった日の話です。
①「ない」と言われても、調べることを提案した理由
ご相談は、大阪市内にある築30年を超える木造一戸建てのご売却でした。長く住まわれてきた売主さまは、「雨漏りは一度もない。告知書にも『なし』で書いておいて」とおっしゃいました。
嘘をついているとは思いませんでした。ただ、室内を拝見した際、2階の押入れの天井にうっすらと輪じみのような跡が見えたのです。住んでいる方が気づかないうちに雨水の浸入が進んでいることは、決して珍しくありません。
そこで、建物状況調査(インスペクション)をご提案しました。宅建業法では、既存住宅の媒介契約を結ぶ際に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を書面に記載することになっています。形式的に「あっせん無」で済ませることもできますが、この家は調べたほうがいいと判断しました。
②調査で分かったこと、売主さまが選んだこと
既存住宅状況調査技術者の資格を持つ建築士に、小屋裏(屋根裏)まで確認してもらいました。その結果、屋根の一部から雨水が入った跡があり、周辺の木材に湿りが見られることが分かりました。
売主さまは最初、「調べなければ知らずに済んだのに」と少し複雑な表情をされました。それも正直なお気持ちだと思います。
それでも、知ったうえで選べることがあります。売主さまは屋根の部分補修を行い、雨水の浸入跡があったこと・補修した内容・調査結果を、告知書と重要事項説明で買主さまにお伝えする道を選ばれました。価格は当初のご希望から少し調整しましたが、買主さまからは「ここまで開示してもらえるなら安心できる」と言っていただき、ご契約に至りました。
③「知らなかった」より「伝えていた」が売主を守る
民法では、引き渡した建物が契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して修補や代金減額、損害賠償、契約解除を求められる可能性があります(契約不適合責任・民法562条〜564条)。個人の売主さまの場合、特約で責任を免除したり、期間を短くしたりすることも一般的です。
ただし、売主が知りながら告げなかった事実については、免責の特約があっても責任を免れることはできません(民法572条)。もし輪じみに気づいていながら「なし」と書いていたら、後から争いになったときに説明がつかなかったかもしれません。
なお、建物状況調査は目視などを中心とした調査で、欠陥が一切ないことを保証するものではありません。それでも、売り出す前に建物の状態を知り、それを正直に伝えることは、引渡し後のトラブルを減らす確かな方法だと考えています。
まとめ
中古住宅の売却では、「言わなくていいこと」を探すより、「伝えておくべきこと」を一緒に整理するほうが、結果的に売主さまご自身を守ります。
これから売却をお考えの方は、担当者に「この家は建物状況調査をしたほうがいいですか?」と聞いてみてください。理由まで含めて答えてくれるかどうかが、信頼できる担当者かを見極める一つの目安になると思います。
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