梅雨の不動産市場、実は穴場の季節って知ってますか?
①なぜ「いい物件ですよ」が通じなかったのか
不動産仲介の仕事を始めて間もない頃、私は「いい物件を紹介すれば喜んでもらえる」と信じていました。
ある日、30代のご夫婦が「大阪市内で3LDK、予算4000万円以内」で中古マンションを探しにいらっしゃいました。条件に合う物件をいくつかピックアップし、「これはお買い得ですよ」「立地も良くて管理もしっかりしています」と矢継ぎ早にアピール。
ところが、奥様の表情がどんどん曇っていくのが分かりました。内覧を終えて事務所に戻ったとき、ご主人が静かに言いました。「私たちが何を不安に思っているか、一度でも聞いてくれましたか?」
言葉が刺さりました。私は何も聞いていなかったのです。
②「なぜ今、購入を考えているのか」が本質だった
後日、あらためてゆっくり話を伺うと、実はお二人の間には大きなすれ違いがありました。奥様は「また転勤になったら?」という不安を抱えており、高額な買い物に踏み切る自信がなかった。ご主人は「早く落ち着きたい」というプレッシャーを感じていた。
二人の気持ちのベクトルが、全く違う方向を向いていたのです。
物件のスペックや価格の前に、このご夫婦には「お互いの不安を共有し、同じ方向を向く時間」が必要でした。私はそこに気づかず、ただ物件を並べていた。
それ以来、最初の面談では必ず「なぜ今、ここで探そうと思われたのですか?」と聞くようにしています。
③失敗が教えてくれた、仲介の本質
この経験は、私の仲介スタイルを根本から変えました。
不動産の売買は、金額が大きいだけではありません。生活環境の変化、家族の将来設計、時には夫婦間の価値観のすり合わせという、非常にデリケートなプロセスです。私たち仲介業者に求められているのは、物件の紹介者ではなく「判断を一緒に整理してくれる伴走者」なのだと、あの日気づきました。
あの苦い経験がなければ、今の私はなかったと思います。
まとめ:言葉の奥にある気持ちを聞く
仲介の現場で大切にしていることを一言でいうなら、「言葉ではなく、その奥にある気持ちを聞く」ことです。条件は後から変えられますが、不安や期待は最初にしっかりほぐさないと、どんないい物件を紹介しても心に届きません。
もし今、不動産のことで迷っているなら、まず「自分が本当に何を求めているのか」を整理することから始めてみてください。私たちはその整理のお手伝いから、喜んで承ります。


