賃貸借契約を行う際の賃貸借契約書と重要事項説明書チェックポイント
「申込はしたけれど、もっと条件のいい部屋が見つかってしまいました。今からキャンセルしたら、払った申込金は返ってきますか?」
賃貸のご相談で、実は少なくないのがこのご質問です。
人気の部屋は内見したその日に申込を入れないと埋まってしまうこともあり、大阪市内でも転勤や入学のシーズンには「とりあえず押さえておきたい」と思うのは自然なことです。
ただ、「申込」と「契約」は別物です。
今日は、申込から契約までのどこで何が決まるのか、キャンセルするときのお金のルールを3つに分けて整理します。
①申込みは「契約」ではありません
賃貸の流れは、おおむね
「入居申込み → 入居審査 → 重要事項説明 → 契約書の締結 → 契約金の支払い → 鍵の引渡し」
という順番です。
入居申込書は「この条件で借りたい」という意思表示で、審査に通った時点でもまだ契約は結ばれていないのが一般的です。
宅建業者は、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士による重要事項説明(宅建業法35条)を行わなければなりません。これを受ける前は、まだ条件を確認している途中の段階だと考えてください。
ですから、契約前であれば申込を撤回することはできます。
キャンセルを決めたら、できるだけ早く、電話だけでなくメールなど記録に残る方法で不動産会社に伝えましょう。貸主さんはその間ほかの募集を止めていることもあります。早い連絡がいちばんの誠意です。
(契約の直前に一方的に撤回し、貸主に具体的な損害が出たようなケースでは、例外的に責任が問われる可能性もゼロではありません。迷いがあるなら早めに、が鉄則です)
②契約前の「申込金」「預り金」は返してもらえます
申込のときに「申込金」「預り金」「申込証拠金」といった名目で、1万円から家賃1か月分程度を預けることがあります。
宅建業法47条の2第3項と同法施行規則16条の12では、申込を撤回した相手方に対して、すでに受け取った預り金の返還を拒むことを宅建業者に禁じています。
「キャンセル料として差し引きます」「申込金は返金できない決まりです」という説明は、契約前であれば通りません。
預けるときは必ず預り証を受け取り、名目・金額・返還の条件が書かれているかを確認しておくと安心です。
万一、返還を拒まれた場合は、その会社に免許を出している行政庁(大阪府知事免許であれば大阪府の宅建業の相談窓口)に相談することができます。
③契約書に署名した後は「解約」になります
注意したいのは、重要事項説明を受けて契約書に署名・押印(電子契約なら電子署名)した後です。ここから先のキャンセルは、契約の「解約」として扱われます。
入居前であっても、契約書の解約予告期間(たとえば1か月前)に応じた賃料のほか、礼金・仲介手数料・保証会社の保証料などが戻らないことがあります。短期解約違約金の特約が付いていれば、その確認も必要です。
「とりあえず契約して、合わなければ解約すればいい」は、思った以上に費用がかかります。
迷いが残っているうちは、重要事項説明の日程を決める前に、正直に担当者へ伝えてください。
先日も、春から社会人になる方から「親と相談したら、別の部屋のほうがいいと言われて…」と申し訳なさそうにご連絡をいただきました。
まだ審査中の段階でしたので、すぐに管理会社と貸主さんへお伝えし、お預かりしていた申込金は全額そのままお返ししました。
言い出しにくいことほど、早く伝えていただけると誰も損をしません。
まとめ
・審査に通っても、重要事項説明と契約締結までは「契約前」
・契約前の申込金・預り金は、返還されるのがルール
・契約書に署名した後は「解約」となり、費用が発生することがある
申込は気軽に、契約は慎重に。
お部屋探しで不安なことがあれば、契約の前にいつでもご相談ください。
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