不動産の生前贈与で後悔しない3つの注意点
「名義だけ先に子どもへ移しておけば、相続の時にラクになりますよね」
生前贈与のご相談で、こう切り出される方は少なくありません。大阪市西区で不動産仲介をしておりますクレアクロスの重村です。贈与税がいくらかかるかは皆さん気にされるのですが、実は「贈与のやり方そのものを選ぶ場面」で後戻りできない判断をしてしまい、あとで相談にいらっしゃるケースがあります。今回は税額の計算ではなく、名義を動かす前に立ち止まって確認していただきたい3つの点についてお話しします。
①相続時精算課税は、選んだらその親からの贈与は一生この制度
贈与税の課税方式には暦年課税と相続時精算課税があり、2024年1月の税制改正で相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除内であれば申告不要かつ相続財産にも加算されないため、使い勝手が良くなった制度です。
ただし見落とされがちなのが、一度「相続時精算課税選択届出書」を提出すると、その贈与者(親)からの贈与については、以後ずっと暦年課税に戻せないという点です。暦年課税の生前贈与加算期間は3年から7年へ段階的に延長されている最中で、どちらが有利かは財産構成や今後の贈与予定によって変わります。名義を動かす前に、この選択が一方通行であることを踏まえて税理士に相談することをおすすめします。
②住宅ローン付きの家を贈与すると、親にも税金がかかることがある
「住宅ローンの残った家を、ローンごと子どもに渡したい」というご相談もあります。これは負担付贈与にあたり、子どもには時価からローン残債を差し引いた額に贈与税がかかる一方、親の側には時価で譲渡したとみなされる「みなし譲渡課税」が生じ、取得時より値上がりしていれば親に譲渡所得税がかかることがあります。贈与税だけを気にして、譲渡所得税の存在を見落とすケースが実務では珍しくありません。
③贈与契約書がないと、税務調査で「名義預金」扱いに
登記名義だけ子どもに変えて、固定資産税は親が払い続け、通帳や実印も親が管理している。こうした状態は、税務調査で「実質はまだ親の財産」と判断され、贈与そのものが否認されるリスクがあります。贈与契約書を日付入りで作成し、以後の固定資産税や管理費は受贈者本人が負担する。形式を整えることが、あとから覆されない贈与にする一番の対策です。
まとめ
生前贈与は、贈与税の税率表を見る前に、①課税方式の選択は後戻りできるか②負担が付いていないか③書面と実態が伴っているか、の3点を確認していただきたいと思います。制度選択と税額の最終判断は税理士の領域ですが、不動産の現在価値と将来売却したときの見込みを正直にお伝えするのが私たちの役割です。大阪市内は評価額が高く出やすい土地も多く、判断を誤ると影響も大きくなります。迷ったら、まずは今の状態のままお話をお聞かせください。
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