暦年贈与で不動産を少しずつ渡す3つの注意点

重村裕一

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テーマ:不動産の生前贈与

不動産を子や孫に引き継ぐ方法として、「毎年少しずつ贈与すれば贈与税がかからない」という暦年贈与の話をよく耳にします。ただ、現金と違って不動産は分けて渡しにくく、思わぬ落とし穴もあります。今回は大阪で仲介の現場に立つ立場から、暦年贈与で不動産を渡すときの注意点を整理します。

①持分を少しずつ贈与する仕組みと登記コスト
暦年贈与は、1人が1年間に受け取った財産の合計が110万円までなら贈与税がかからない制度です(相続税法21条の5ほか)。不動産の場合は「持分◯分の◯」という形で共有持分を少しずつ贈与していきます。たとえば評価額1100万円の物件なら、10分の1ずつ10年かけて渡せば毎年の贈与は110万円以内に収まる計算です。
ただし注意したいのが登記費用です。贈与のたびに所有権移転登記が必要になり、登録免許税(固定資産税評価額の2%)と司法書士報酬が毎年かかります。相続による移転(0.4%)より税率が高く、回数を重ねるほどコストがかさむ点は見落としがちです。

②「定期贈与」とみなされるリスク
毎年同じ額を同じ相手に贈り続けると、税務署から「最初からまとまった額を贈るつもりだった」と判断され、定期贈与として全体に贈与税がかかる恐れがあります。これを避けるには、毎年その都度贈与契約書を作成し、贈与する持分や時期に幅を持たせることが大切です。私が相談を受けた大阪市内のケースでも、契約書がないまま長年贈与を続けていて、後から証明に苦労された方がいらっしゃいました。

③2024年改正で相続前の持ち戻しが7年に
2024年以降の贈与から、相続開始前の贈与を相続財産に加算する「持ち戻し」の期間が、従来の3年から7年へ段階的に延長されました(相続税法19条)。つまり、贈与した本人が亡くなる直前7年間の暦年贈与は、結果的に相続財産へ戻されて相続税の対象になります。高齢になってから慌てて始めても効果が薄く、暦年贈与は元気なうちから時間をかけて取り組むほど活きる方法だといえます。

まとめ
不動産の暦年贈与は、登記コスト・定期贈与の認定・持ち戻し期間という3つの視点を押さえることが欠かせません。相続時精算課税制度など他の選択肢と比べてどれが有利かは、財産構成やご家族の状況で変わります。税額の具体的な試算は税理士に、登記は司法書士に確認しながら、早めに動くことをおすすめします。判断に迷われたときは、地域の不動産会社にも気軽にご相談ください。

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重村裕一
専門家

重村裕一(宅地建物取引士)

株式会社クレアクロス

大阪で相続不動産の売却・活用に悩むならご相談ください。IT企業出身の異色キャリアを持ち「不動産で損する人をなくしたい」という信念のもと、相続・売買・賃貸・投資まで不動産全般を一貫サポートします。

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