マナーうんちく話269≪顧客満足より従業員満足≫
言葉は時代とともに変化しますが、最近「敬語」の使い方が変わってきたと思う人もいれば、敬語が乱れてきたと捉える人もいます。
どちらでしょうか?
どちらも当てはまっていると思います。
ただプライベートではそんなに堅苦しく考えることはないと思いますが、ビジネスシーンではそうは参りません。
先輩、上司、お客様に対しては正しく敬語を使いたいものですね。
今回はビジネスの世界で頻度が高い「了解しました」「承知しました」「かしこまりました」の言葉について触れておきます。
「わかりました」という言葉は多いですが、相手やシチュエーションにより、その形が変化します。
「了解しました」は日常的に多く使われます。
事情を理解するという意味ですが、現在では上司や目上の人、お客様、取引先には不向きといわれています。
了解しましたは丁寧語ですが、なんとなくぶっきらぼうで、敬意がかんじられないということで、20年くらい前から上司、お客様、取引先などには使用しないほうがいいということになったようです。
一方「承知しました」は「承諾しました」という意味で、上司、お客様、取引先、そして部下など誰に対しても使えます。
従って相手からの依頼や要求を聞き入れる時には、相手が誰であれ「承知しました」を使用すればいいと思います。
さらに「かしこまりました」は、上司、お客様の命令や依頼などを謹んで承る意味で使用されます。
上司、お客様の命令や依頼を前向きに理解するというニュアンスで使用する場合はお勧めの言葉です。
ちなみに私がホテルに勤務していたときには、お客様の依頼に対して「わかりました」と返事するときには、いつも「かしこまりました」を使用していました。
ただ言葉さえ正しく使用すればいいものではなく、返事をする際には姿勢を正し、相手の目を見て、笑顔を添えて下さいね。
またテレビや映画の時代劇で、部下が上司や殿様の命令に対して「御意(ぎょい)」と答えるシーンがありますが、これは上司を敬って「あなたの御心の通りに致します」「命令に従います」「ごもっともです」「おっしゃるとおりです」という意味です。
鎌倉時代から江戸時代にかけて使われたそうですが、その背景には主従関係の存在がありますが、今の主任と係長のような関係でなく、主任と社長・会長のように立場に圧倒的な違があったわけです。
さらに「その通りでございます」の意味で「左様でございます」がありますが、これも現役時代にはよく使用しました。
非常に古い言葉ですが、とても品のある感じで、丁寧な印象を与える気がします。
日本はもともと左上位ですが、国際社会では右上位になっているように、昔は地位の高さを左右で表しており、「左様でございます」はその名残です。
日本で「敬語」ができた背景には「身分制度」があり、目上と目下の関係が存在し、目下は目上を敬わなければいけないので「尊敬語」が生まれました。
やがて「敬う」だけではいけなくなり、さらに相手に対して自分を「さげすます」必要が生じ「謙譲語」が生まれたわけです。
これは言葉のみならず立ち居振る舞いなど多くの場面で見られます。
これは実に美しい作法で、相手を敬う気持ちを形で表現するわけですが、私も「和の礼儀作法講座」では実践しています。