マナーうんちく話53≪接客の歴史と社会貢献≫
年々ビジネスマナーの重要性がクローズアップされ、書店に並んでいる多種多様な関連書がその関心の高さを示しております。
ビジネスに限らずマナーに関しての関心が高まることは大いに歓迎するところですが、気になる点も有ります。
例えば、ビジネスマナーの本のほとんどが学生や新入社員を対象にしており、経営者や幹部社員を対象にした本が見当たらない点と、形に重きを置いた本が多いという点です。
そこで、改めてビジネスマナーとはなにか?
ビジネスマナーの重要性、ビジネスマナーの意義、ビジネスマナーの基本、ビジネスマナーの指導方法等に触れて参ります。
先ず、ビジネスマナーに触れる前に、改めてマナーの基本知識を得る必要があります。
マナーとは「感謝」「尊敬」「おもいやり」の気持ちを抱き、それを言葉や態度、あるいは文章等で具体的に表現することです。
これはどこでも同じですが問題は、表現の仕方がその国々の文化、歴史、気候風土、国民性、そして宗教等により大きく異なる点です。
従って、マナーに精通すると言うことは、文化・歴史・宗教等の知識も当然必要になると言うことです。
特にマナーには「なぜそうなるのか?」と言う合理的な理由が存在しますので、それを正しく理解するには、歴史や文化や宗教に触れる必要があります。
例えば挨拶。
挨拶の目的は、「その人の存在を確認した」という側面と、「その人に敬意を表し仲良くしたい」という側面がありますが、その表現方法は国により全く異なります。
日本は「お辞儀」をしますが欧米諸国では「握手」になります。
お辞儀と握手はそれが成立した社会背景が異なりますから、そのスタイルや思いも大いに異なります。
加えて、マナーには「不易流行的側面」があります。
不易流行とは松尾芭蕉が俳句の中で取り入れた言葉ですが、「時代と共に柔軟に変えて行く必要があるもの」と、「いくら時代が変わろうとも変えてはいけないもの」です。
特に現代社会では時代の流れが激しく、さらに国際化が著しく進展していますので、この点に注意が必要です。
また、マナーは先ずは指導的立場にある人が身に付けるものです。
日本では貴族や武家階級が身に付けましたが、ヨーロッパでは王侯貴族や騎士が率先しました。
以上の事を視野に入れてビジネスマナーとは何か?を改めて考えてみることが大切です。
ビジネスシーンにおいては、様々な立場や年齢の異なる人達に出会いますが、社内においても、社外においても、良好な人間関係を築くことと顧客満足の向上を図ることが大切になってきます。
従って、ビジネスマナーとは、ビジネスシーンにおいて、「ビジネスを円滑に進めるための潤滑油」の役割を果たすものです。
つまり、ビジネスの場面で、共に仕事をする同僚・先輩・上司、さらに取引先の人やお客様に対して、常に感謝・尊敬・思いやりの心を抱き、それを上手に表現して、円滑な人間関係を築くことだといえます。
従って、先ずは経営者や幹部社員等の指導的立場にある人が率先して身に付け、職場で素敵に発揮するものです。