マナーうんちく話2231《幸せを呼ぶ挨拶の心得と作法《和顔愛語 先意承問》
現在日本で行われている乾杯は、主として慶事において行われ、食事の前に、代表者の合図と共に、酒が注がれたグラスを揚げ、「乾杯」と唱和して飲む行為です。
ちなみに、乾杯する時に、音頭を取る人から「僭越ですが、乾杯の音頭をとらせていただきますので、御唱和下さい」と言われた経験をお持ちの方も多いと思いますが。「唱和」とは、「先ず、最初の一人が唱え、続いて他の全員が同じ言葉を唱える」ことです。
会社の理念や万歳や乾杯等の唱和が有りますね。
手順は概ね次の通りです。
《洋食の場合》
司会者の合図で始まります⇒起立します⇒グラスを手に取ります⇒代表の人が乾杯の音頭を取ります⇒代表者の「乾杯」の音頭と共に、残りの人が「乾杯」と唱和します⇒グラスを眼の高さに挙げて酒を飲みます⇒グラスを置いて拍手をします⇒着席後に食事がスタートします。
特に注意して頂きたいポイントは、「一回一動作」の原則です。
つまり、「起立する行為」と「グラスを持つ行為」は別々になります。
要は、グラスは起立して持つということです。
ここは、マナーの差が大きく出るところです。
また、グラスは自分の目の高さを基準にして下さい。
酒が飲めなかったら、仕草だけでも結構です。
グラスは隣の人と合わす必要は有りませんが、求められたら細心の注意を払って下さい。
《和食の場合》
和食の場合、順序は洋食と同じですが、座敷でする時には「座礼」になりますから起立しません。
起立する代わりに、「正座」の状態でするのが理想ですが、高齢者が多い場合は、ひざ痛の人がいないかどうか気配りが必要です。
また、挨拶や乾杯の発生の音頭を取る人も、基本的には立ちません。
座布団から降りて、正座の状態で行うのが理想ですが、ひざ痛などが有る人は一言お断りをされたらいいでしょう。
乾杯の時も全員が座布団から降りてするのが望ましいですが、スペースの関係等で無理なようでしたら、進行係が「座布団に座ったままでお願いします」などとお願いされたらいいですね。
改まった食事会で、しかも和室の場合は、何かとマナーが難しいようです。
進行係がマナーをわきまえ、上手にリードすることが大切です。
ホテルの仕事を通じ、数えきれない位の「乾杯」のシーンを見てきましたが、乾杯の時に一番皆が困るのは、乾杯の発生の音頭を取る人の長い挨拶です。
音頭をお願いする時には、打ち合わせをしっかりすることが大切です。
挨拶が長びくようでしたら、「挨拶」と「乾杯」を分離することがポイントです。
いずれにせよ、乾杯はこれから始まる食事会やパーティーなどを大いに盛り上げる重要な役割が有ります。
乾杯の発生の音頭を依頼されたら、大変名誉なことだと自覚して、先ずは快く受けて頂くことが大切です。
そして、会の趣旨をよく把握して、それにマッチしたテーマを一つに絞り、手短な挨拶と共に、はっきり、明るく、元気よく行って下さい。
なお、乾杯の所要時間は、挨拶も含め90秒くらいがお勧めです。
上手下手よりも経験が大切だと思います。
それに日頃から、信頼関係を築いているか否かが問題です。
人柄をしっかり磨いておいて下さいね。