マナーうんちく話717《家庭や地域で支えたい子どもの門出》
前々回は、自然や人に対して、「優しさ」はとても大切ですよ!と言うお話でした。
しかし、優しさだけでは不十分です。
子育て中の親や、教師、職場の上司は特にそうですね。
「優しさ」と同時に、「厳しさ」が大切です。
子どもや部下に優しく接する親や上司は比較的多いと思いますが、最近は、彼らのために、心を鬼にして、厳しく接することのできる人は少ないようです。
そうでなくても、今の子供や若者は、社会人になっても、充分やっていけるだけの、社会規範や忍耐力が欠けている気がしてなりません。
要は、小さい時に厳しく躾けられていないから、辛抱できないことが多過ぎます。これではいい結果に繋がりません。
頭も良くて、優しい気持ちの持ち主が、ちょっとした苦痛に耐えられないために、職場を去るケースが後を絶たないようです。
先日、厚生労働省が、入社して3年以内に辞めた人の、業種別割合の調査結果を公表しましたが、これによると、大卒では「教育・学習支援」は48,8%、次いで「宿泊・飲食サービス」が48,5%という結果になっています。
充分な経験を積まずして辞めたら、正社員として再就職が難しくなります。
日本は世界屈指の長寿国で、平均寿命は83歳です。
そんな時代に、23歳や24歳位で仕事に躓いたら、その先が長いだけに、今後の生活が大変です。
折角苦労して就活に励んで、やっと実現した就職ですが、必ずしも思い通りになるとは限りません。
学園から職場に入れば、学生時代と違い、苦労があって当然です。
それなりのマナーと、忍耐力は必要です。
マナーや忍耐力は、学生時代には、そんなに表面には出ません。
なぜなら、授業料を払って学校に行くからです。
しかし社会人はそうはいきません。
今度は、お金を稼ぐ立場になるから、マナーや忍耐力の差は顕著に出ます。
しかし、この時点で解ったのでは遅すぎます。
いずれも、社会人になる前に、しっかり身に付けて下さい。
また、親や教師は、子供や生徒・学生に対し、注意したり、叱らなくてはいけない時には、キチンと注意したり怒って頂きたいものです。
このコラムでも、何回も取り上げている「食事の仕方」もそうです。
食べ方は、全ての基本になりますから、姿勢を正す、箸を正しく使用する、
好き嫌いなく食べる等などは家庭でも学校でも厳しくしつけるべきです。
姿勢を正して食べることだけでも、ストレス教育に繋がります。
嫌いな物も感謝の心で、美味しく食べる努力は、やがて忍耐力の向上にもつながります。
褒めることもたいせつですが、注意したり、叱ることも必要だと言うことです。
この際、人前で、感情に任せて注意したり、叱ってはいけません。
だれもいないところで、子どもや部下の健全な生き方を諭すような、注意の仕方や、叱り方が大切です。
これがいわゆる「愛の鞭」ではないでしょうか?
小学校や中学校時代に、優しく接してくれた先生も良かったが、厳しく叱ってくれた先生は、なぜか今でも心に残っています。
「飴と鞭」。
上手に使って頂きたいものです。