マナーうんちく話143≪昔と今、どう違う恋愛事情≫
昔は、夫婦のことを「めおと」とか「みょうと」と呼んでいたのをご存知でしょうか?
例えば、2本仲良く並んで生えている松を「夫婦松(めおとまつ)」と言います。また夫婦お揃いの茶碗は「夫婦茶椀(みょうとじゃわん)」といわれ、結婚式のお祝いなどに人気が有ります。お使いになられている人も多いのでは・・・。
長年ホテルで結婚式の仕事に携わり、最も気に掛けたことは、新郎・新婦とその両親との信頼関係です。そのために、とにかく新郎・新婦と両親の話しをしっかり聴かせて頂くことに専念しました。
新郎・新婦との会話は、出会いや挙式とか披露宴の話しが多いのは当然ですが、その親との会話の内容は様々です。
新郎・新婦やその両親との信頼関係はそう簡単に結ぶことはできませんが、挙式披露宴の契約を頂いてから披露宴が終わるまで、約半年から1年のお付き合いの中で、強い絆を結ぶことができますので、親の本音もしっかり伺うことができます。
互いの親の本音は、生まれ育ち、職業、学歴、価値観等もさることながら、新郎の親としては、自分の息子が選んだ花嫁の「人柄」を気にする親が、一番多いかったように感じました。特に、新郎に女兄弟がいない場合は、花嫁のファッション、言葉遣い、立ち居振る舞い等に向ける視線は、リアルなものがありますが、「息子のお嫁さんになってくれてありがとう。」の感謝の気持ちも強いモノが有ります。
そして花嫁の親は、新郎が自分の娘をこれから大切にしてくれるか否かが一番気になるところです。親心としては当然ですね。
また、二人の結婚を喜ぶ気持もあるのですが、一生懸命育てた娘と、離れ離れになる寂しさをかみしめている親もいます。すなわち、手放しでは喜べない!そんな気持ちでしょうか・・・。
最近は、男女平等とか男女共同参画社会がすっかりなじんできたようですが、良い・悪いは別として、結婚式のシーンでは「男性優位の考え」があちらこちらに根付いています。
また、相変わらず、「嫁を取る」「嫁を貰う」とか、「嫁に出す」「嫁にやる」という考え方も有ります。
前のコラムで、「結婚観」や「結婚のスタイル」は、19990年頃から大きく変化したと言いましたが、日本の社会に長い間根付いてきた、考え方やしきたりなどが、何もかもそう簡単に変わるモノではありません。
「嫁をもらう」「嫁にやる」という考えもしかりです。
嫁にもらう新郎側の親は手放しで喜ぶことができます。
しかし、苦労して育てた娘を差し出す側である新婦の親は、嬉しい半面、寂しくも有りで、何やら複雑な気持ちに陥るのも頷けます。
また、「もらう方」も、「やる方」の親も、不安も有れば心配も多々あります。
また、結納や挙式・披露宴等における希望も考え方も異なります。
だから、新郎・新婦と互いの親が、一同に会し、膝を交えて話し合い、互いの気持ちを理解しあい、尊重し合うことが必要なのです。
それぞれの親の、考え方・希望・不安・心配ごとは異なりますが、新郎・新婦が仲睦まじくいる姿を見る時は、一様に安心し喜びます。
加えて、新郎は新婦を、新婦は新郎を大事にしてくれる姿に感激します。
互いに思いやることですね。
また、相手側の親に対し、新郎・新婦から、笑顔で、「お父さん」「お母さん」と呼ばれて怒る親はおりません。
とかく相手の親には遠慮しがちですが、その懐に飛び込み、甘えて見るのもお勧めです。
確かに、結婚に際し、思い通りの結婚式を挙げることも大事ですが、その後、いかにして互いに仲良い生活をするか、この点をしっかり肝に銘じて下さいね。
例えば、盆・正月は親を交えて一緒に過ごすとか、結婚記念日に親を招待するとか、共に楽しい時間を共有することをお勧めします。
最後に、親への感謝の気持ちも忘れないようにして下さい。