収納を増やす新築・リフォームくらい無駄はない!
誰もいなくなった家は、人が住んでいたときよりも、ずっと早く傷んでいきます。建築家として、そう思ってきましたが、母が施設に入って誰もいなくなった実家で、あらためて実感しています。
実家には、1年に数回帰っています。帰ったら、まず窓を全開にして、空気を入れ替えます。これが一番です。閉め切った家は湿気がこもって、傷みが早くなるからです。
窓の次は、布団を干します。住んでいない家で布団を敷いて寝ると、どうしても湿っぽさを感じるからです。
そして、建物の周りを、ぐるっとゆっくり一周します。下から上へ、順に見ていきます。地面に湿気のある部分はないか。軒を見上げて、樋が詰まっていないか。先日は、実家の樋が詰まっていて、大雨が続いたときに、隣の家に雨水が漏れてしまい、ご近所からクレームになりました。
もうひとつ、庭の木です。誰もいない間に、木は暴れるように伸びて、隣の家にまで入り込んでいきます。住んでいれば、少しずつ剪定できますが、それができなくなると、ご近所に迷惑をかけてしまいます。帰るたびに、その木を刈っていますが、なかなか大変な作業です。
家の中でも、不具合を探します。床がきしむ。隙間風が入る。これは、建具の立て付けが悪くなってきた証拠です。排水の流れが悪ければ、排水溝のどこかが詰まっています。水の出が弱いときは、どこかで漏れている可能性もあります。住んでいれば気づける小さな不具合も、誰もいない家では、直されないまま進んでいきます。
誰もいなくなった家は、建物が傷むだけでなく、ご近所との関係にも影響します。実家の鍵を誰が持っているか。誰が、窓を開けに行くか。家族で一度、話しておくだけでも、傷みはずいぶん変わってきます。


