「カチン」と来た瞬間、優れたリーダーがしていること

小橋広市

小橋広市

テーマ:怒りのエモーションコンディショニング

会議で部下の発言にカチンときた。顧客対応で語気が強くなった。メールの返信が、自分でも驚くほど険しい言葉になっていた──役職や経験を重ねても、こうした瞬間はゼロにはなりません。後から振り返って「あんな言い方をしなければよかった」と後悔した経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

問題は怒りそのものではなく、怒りに飲み込まれた状態のまま反応してしまうことにあります。特にマネジメントや顧客対応の場面では、一度の感情的な反応が、関係性や信頼を大きく揺さぶります。
ストレスを受ける

アンガーマネジメントの先にある視点

企業研修でアンガーマネジメントを伝える中で、「6秒待つ」「深呼吸をする」「その場を一度離れる」といった対処法が広く知られるようになりました。確かに、衝動的な反応を抑える上では有効な方法です。ただ、ビジネスの現場では、6秒の余裕すらない瞬間が次々とやってきます。

会議での発言、廊下ですれ違う一言、即答を求められるメール返信。そこで差を生むのは、感情を抑え込む技術ではなく、怒っている自分を観る視点を持てるかどうかです。NLPでは前者の状態をアソシエイト、後者の状態をディソシエイトと呼びます。

一瞬で視点を外側に置く力

アソシエイトは、自分の目線で出来事の中に入り込んでいる状態です。怒りが湧いた瞬間、相手の言葉や態度がそのまま自分の中に流れ込み、強い反応を引き起こします。
ディソシエイトは、その場面に立っている自分自身の姿を、少し離れた場所から眺めている状態です。「今、自分はどんな表情をしているだろう」「声のトーンはどうなっているだろう」「相手にはどう映っているだろう」と、一瞬でも視点を外側に置く。それだけで感情との間に距離が生まれ、反応ではなく選択ができるようになります。

最初からうまくはいきません。だからこそ普段の小さな練習が効きます。一日の終わりに、今日のひと場面を「その場にいる自分の姿が見えるように」思い出してみる。自分の表情、姿勢、声のトーン、相手への映り方。それを続けていくと、本番の現場でも、ふと自分を観る視点が働く瞬間が増えていきます。

研修を受けた管理職の方からは、「部下が報告に来たときの自分の反応が変わった」「反射的に否定する前に、一拍置けるようになった」という声を多くいただきます。本人にとってはささやかな変化でも、周囲には確かな違いとして伝わっていきます。一拍の間が、職場の空気や関係性を、想像以上に大きく変えていくのです。

ビジネスの場での影響力は、何を言うかと同じくらい、どんな状態でその言葉を発したかに左右されます。怒りをなくす必要はありません。怒りは、自分が大切にしている価値観が触れられたときに自然と生まれる感情です。その感情に気づいたうえで、次の言葉を選び直せる人が、結果的に長く信頼を集めていく人です。

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小橋広市
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小橋広市(講師)

一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会

なりたい自分になる勉強会やセミナーの開催及び、居心地が良い環境の中で、生きやすくなるための講座や相互交流ができる「心ホッとコミュ」というコミュニティを開放しています。

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